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2009年新司法試験不合格答案再現(7.刑事系第2問:刑訴法)

これで答案再現は最後です。
貼るだけとはいえ、ちょっと時間を使ってしまったので、今日はこのくらいにして勉強することにします。9月中は基本書の読み直しで頭を回復させられればというところ。しかし昨日内田民法を1冊読んだところ「またこれを読むのかぁ」と萎えまくってしまいました。昨年のツケなのでしょうがないです。



4日目 刑事系第2問・刑訴法(100点)  問題

*得点:66.50/200(刑法含む)

〔設問1〕
1 捜索差押中の写真撮影の適法性判断基準
(1)写真撮影は、五感を用いて事物を認識するための一手段であるから、刑訴法上の検証(刑訴128条)に該当するものと考えられる。とすれば、捜査機関による検証は原則として裁判官の発する令状によらねばならず(218条)、本件の写真撮影はいずれも無令状でされているから違法になるとも思われる。
(2)ア この点、222条が準用する111条から、写真撮影が必要な処分として許されると解する見解もある。しかしながら、写真撮影が令状発付を要する強制処分だとすれば、これを「必要な処分」として可能とすることは強制処分法定主義に反することになり、支持できない。
 イ そこで、写真撮影は一律に強制処分とはいえず、任意処分として許容される場合があるものと考えるべきである。すなわち、強制処分とは①相手の意思を制圧して②重要な権利利益を侵害する行為であると解されるところ、これに当たらない程度の写真撮影であれば、任意処分として捜索差押えとともに行うことも許されると考える。
 もっとも、任意処分としても、何らかの法益を侵害することは否定できないから、比例原則の観点から無制限には行えないと解すべきである。具体的には、必要性、緊急性と被侵害利益を比較考量し、社会通念上相当といえない行為については、任意処分の限界を超えるものとして違法とされる。
(3)さらに、写真撮影の内容によっては、それが撮影対象の捜索差押えと同視できる場合が考えられる。この場合、強制処分たる捜索差押えとして捜索差押令状の範囲内でのみ許容される。捜索差押えと同視できるかどうかは、撮影対象の性質や撮影内容から、撮影対象が含む情報が取得され、差押え同様のプライバシー侵害がされたかどうかにより判断すべきである。
 また、この場合、令状の範囲内に形式的に含まれるだけではなく、個々の撮影行為につきその必要性と相当性が満たされなければならない。令状主義は処分時においても事件との関連性や処分の必要性・相当性について判断することを要求しており、令状審査もそれを前提としてされているからである。
2 写真①撮影の適法性
(1)写真①は、室内の壁面を撮影したものであるが、これは捜索を受けた者の黙示の意思に反しうるものの、捜索を受けている部屋の壁面を撮影するにすぎず、プライバシーの強度な制約とはいえないから、重大な権利利益の制約といえず、任意処分の範囲内である。
(2)そこで、任意処分として許容されるものであるかどうかにつき検討すると、以下の通りである。
ア 必要性について、写真①は「1/12△フトウ」と書かれた跡を撮影したものであるが、供述調書によれば、甲が1月11日に乙に電話し、「明日の夜(1月12日)、M埠頭でVを殺す」旨話しているとされ、この供述と壁面の跡は日付、場所(△にはMが入ると思われる)の点で一致する。そして、撮影対象が電話台の上の、カレンダーで隠れた壁に記された文字の跡であることを考えると、これは乙が甲の電話を受けて密かに覚え書きをしたものと強く疑われる。よって、事件との関連性があり、これを保存すべき必要性が肯定される。
イ 緊急性について、撮影対象には消し跡があり隠滅が図られているから、早急に保存しないと完全に消されてしまうおそれがあり、緊急に撮影すべき事情がある。
ウ 撮影による被侵害利益について、撮影は壁から30センチメートルの近距離からされており、文字の記載部分のみを撮影し、他の物が映らないよう配慮されているため、プライバシーの制約は低い。
(3)以上より、写真①の撮影は、高い必要性と緊急性が認められるのに比して、侵害される利益は小さく、社会通念上相当な行為といえるので、任意処分として適法である。
3 写真②撮影の適法性
(1)写真②は、Aが名義人であるX銀行の預金通帳につき表紙及び印字されている全てのページを撮影したものである。ここで、預金通帳は、その名義人のほか、印字されている預金額やその変動を情報内容とするものであるから、これを全て記録するような写真撮影は預金通帳の差押えと同視すべきである。
(2)ア そこで、この写真撮影が令状の範囲内であるかどうか検討すると、令状記載の差押対象には預金通帳が含まれており、令状の範囲内とも思われる。しかし、Bの発言や通帳の名義によれば、X銀行の通帳はAの所有物であるところ、場所に対する令状の効力が場所内にある他人の物にまで及ぶかが問題となる。
イ この点、差押えにおいて対象の明示が要求される(憲法35条)理由は、それにより捜査機関の権限濫用を防ぐ目的のほか、対象を明示した上で差押えの必要性や事件との関連性など「正当な理由」を判断することで不当な権利侵害を防げるということにあると解される。ここからすれば、捜索場所にある物についても、捜索場所を管理する者の管理権下にあれば、事件と関連する証拠が存在する蓋然性において同一であるといえ、令状の効力が及ぶと解せる。
 本件でのX銀行通帳は、乙が代表取締役として管理している会社の中にあり、乙のパスポート等が入っていたレターケース内に入っていたものであるから、捜索場所の管理者たる乙の管理権が及んでおり、令状の効力も及ぶ。
(3)そこで進んで、写真②の撮影が必要性、相当性を有するか検討すると、以下の通りである。
ア X銀行の通帳には、1月14日の取引欄に現金30万円の出金があり、その右横に「→T.K」と書き込みがある点に特徴があるところ、甲の供述調書によれば、甲は1月15日にVを殺害した報酬として乙から30万円を受け取っており、甲(甲野太郎)のイニシャルがT.Kであることからすると、金額の一致や書き込みとイニシャルの一致から、通帳の記載は乙が甲への報酬支払いの前日にこれを用立てるため出金したことをうかがわせ、事件との関連性が認められる。よって、差押えの必要性がある。
イ X銀行の通帳は現在も使用されているが、預金の出し入れについては不定期のものが多く、日常生活に用いているものとは見えないため、プライバシーの程度も高いものではなく、これを撮影することは相当といえる。
(4)以上より、写真②の撮影は、実質的に差押えであるが、その要件を具備しているため、適法である。
4 写真③撮影の適法性
(1)写真③も、預金通帳の表紙及び全部の印字部分を写真撮影したものであるから、実質的な差押えであり、また捜索差押令状の範囲内にある。
(2)そこで写真③の撮影の必要性と相当性を評価すると、以下の通りである。
ア Y銀行の通帳には、カードによる不定期の出金はあるものの、事件との関係で疑わしい記載はなく、書き込みなどの特徴も見られず、差押えの必要性は認めがたい。
イ 同通帳は、T社からの入金が定期的にあり、T社からの給与振込みと考えられるから、T社社員で通帳名義人であるAが使用する口座の通帳であると思われる。そして、電気代や水道代などの出金があるから日常的に使用する口座と思われ、その内容は生活態様などの高度なプライバシーに関わるから、これを差し押さえることは相当ではない。
(3)よって、写真③の撮影は、必要性・相当性を欠く差押えとして違法となる。
5 写真④撮影の適法性
(1)写真④はパスポート、名刺、はがき、印鑑などを名義の部分や刻印部分につき撮影したものであるが、これらの撮影物は名義を示した部分に重要な情報があり、当該部分の撮影は差押えと同視すべきである。
(2)そこでかかる差押えが認められるか検討すると、捜索差押許可状の差押対象にパスポートなどは含まれておらず、これらを「メモ」や「ノート」と捉えることもできない。
(3)よって、写真④の撮影は令状範囲外の差押えとして無効である。
〔設問2〕
1 (1)検察官は本件の実況見分調書を被告人の犯行可能性を示す立証趣旨として証拠調べ請求しているが、裁判所は検察官の立証趣旨に拘束されるものではなく、その実質的な事実との関係で証拠能力を判断すべきである。
 本件実況見分調書は司法警察員Pが実験結果を記載したものであり、321条3項の書面と思われるが、その実質は被告人による犯行再現として、弁護人の主張するように被告人の自白を内容とする部分が含まれると考えられる。そこで、以下①そもそも犯行再現が許されるか、②犯行再現の記録が実況見分調書となりうるか、③犯行再現の記録の証拠能力を認める要件、につき検討する。
(2)まず前提として、被告人に犯行再現をさせることが許されるか。犯行再現の強要は被告人の尊厳を無視するものであり許されないとの見解もある。しかし、任意である限り、かかる再現行為が違法とはいえない。
(3)では、被告人の犯行再現を記録したものが実況見分調書となりうるか。この点、そのような記録が321条3項の「検証」といえるかが問題となるが、再現方法などを被告人に指示し、再現の準備をした上で周囲の環境との関係で被告人の犯行再現状況を記録することは、捜査官がその専門知識に基づき調べた結果の記載といえるから、実況見分調書としての性質を有し、321条3項の適用を受ける。
(4)もっとも、犯行再現の記録が実況見分調書となる場合も、それは実質的には被告人が犯行につき供述し、自白している内容であるから、321条3項の要件だけで証拠能力を認めるべきでなく、自白につき規律する322条1項の要件も満たすことが求められると解すべきである。
2 (1)以上を前提に、本件実況見分調書の具体的な証拠能力を検討する。なお、調書の内容は可分であるから、その証拠能力は個々の記載ごとにその性質を判断して決するべきである。
(2)ア 調書のうち、岸壁から5メートル離れた地点に停止した車両を甲が指差している写真、人形を引きずっている場面の写真、運転席に入り操作をしている場面の写真と、それぞれの説明記載は、被告人が犯行態様につき説明し、被害者に見立てた人形を用いて犯行を再現した動作による供述といえるから、被告人の自白を内容とするものである。
イ 一方、車両が岸壁で止まっている場面の写真、甲が同車両の後部バンパーを持ち上げている写真、車両が海中に転落した場面の写真、車両底部の損傷箇所の写真と、それぞれの説明記載は、被告人が自動車を岸壁から持ち上げて落とすことができたこと及びその結果の客観的な状況を内容とするものであり、検察官の立証趣旨に反しない。
(3)よって、イの内容については検察官の立証趣旨通り、実況見分調書として321条3項の書面といえ、Pの尋問により真正な作成がされた旨の供述があれば証拠能力が認められる。
 他方、アの内容は、実質的に甲の自白として不利益な供述を内容に含むから、Pの尋問に加え、322条1項により、任意性と甲の署名押印が要求されるところ、本件実況見分調書にはPの署名押印しかないから、証拠能力は否定される。


<反省>
刑訴法は2時間残しでしたが、時間に追われて書いた記憶があります。どの科目も時間は厳しかったのですが、刑法がやばかったという精神的プレッシャーがあったのでしょう。

設問1は、授業でやったけど思い出せないという最悪のパターン。ここでなぜ酒巻説(必要な処分説)を蹴ったのかと。それで任意処分説とは、愚かしいですね。おかげで当てはめも微妙な感があります。

設問2は、30分くらいしか時間がなかったので相当適当に。写真と説明部分を分けないというのもアウトですし、判例がうろ覚えだったので規範も適当に。そのくせ謎の少数説(犯行再現違法説)なんかにも言及しちゃったりして、司法試験というものを全然分かっていません。

<得点を受けて>
これもひどいですね。設問1は基本的法律構成を誤ったのがよくなかったのでしょう。
設問2も、伝聞法則の趣旨などを全くスルーし、写真と供述を分けなかった点を中心に、全体として詰めが甘いです。多分そこそこの答案が揃っている刑訴でこういう穴があるとよくないということですね。



というわけで、僕は落ちるべくして落ちたということになります。
ここから何を積み上げていくのか、あるいは何を切り落とすのか、9月中にじっくり考えてみたいところです。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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