スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

H19年公法系第1問(憲法)

H19の公法系の勉強会があったので、早めに答案構成をまとめておきます。

H19 公法系  問題 出題趣旨
2009.11.10解答

―――――――――
第1問(憲法)

[設問1]
第1 「C市まちづくり条例」(条例)の法令違憲
1 条例が都計法の範囲を超えていること
(1) 本件では条例18条により計画が妨げられている
しかし同条例は都計法の既成を逸脱し、憲94に反する
(2) 具体的には、都計法は「都市の健全な発展と秩序ある整備」を目的とし、「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動」や「土地の合理的な利用」を念頭に都市計画を規律し、これを基準に開発許可を定める⇒それ以外の規律を許容しない
But 条例は上記目的にない「安心・安全」や「環境保護」などの目的を付け加え、周辺住民の同意など都計法にない規律を設けている⇒法を逸脱
(3) よって条例が違憲、それに基づく処分も違法
2 条例がB教団の信教の自由を侵害し違憲であること
(1) 本件不許可処分はB教団の協議が要請する集団居住・修行をする場所を奪い、宗教的行為の自由(20Ⅰ:信教の自由の一環)を侵害する規制をもたらしている
憲法上の権利は法人にも性質上認められる限り及ぶ、宗教法人は宗教的行為の自由を持つ
信者個人の信教の自由も援用できる
(2) 信教の自由は20Ⅰで無留保の保障を受けている
これは信教の自由が個人の人格の基礎をなす点で特に価値の高いことの現れ
信教の自由は国家から弾圧されてきた歴史もある
⇒特に厳格に判断されるべき
⇒厳格審査基準、すなわち①目的がやむにやまれるもので、②手段が必要不可欠であることが必要
(3) 本件では以下の通り両方ともダメ
ア ①につき、条例の目的は「市民の安心・安全」というが、その規制からは実質的に「周辺住民と折り合いをつける」というものにすぎず、市民の生命・身体の保護は実質的に見出せない
イ ②につき、条例は住民との開発事業協定がないことを理由に不許可処分を可能とする
しかし、事業そのものを中止させずとも、施設建設後に運営状況を調査したり、住民と継続協議させたりして安全・安心は確保できる⇒不許可は過度に強力
(4) 以上より正当化できず違憲
3 条例が乙の財産権を侵害し憲法29条2項に反すること
(1) 本件条例は法律の定めなく乙の土地利用を妨げる
憲29Ⅱは財産権の内容を「法律」で定めるべきとするから、これに反する
(2) 乙はB教団の信徒、B教団のため土地利用しようとしているから、B教団に援用適格あり
第2 本件不許可処分の適用違憲
1 条例が合憲であるとしても、B教団に適用して不許可にすることは信教の自由侵害
その権利侵害の重大性から、かかる処分をするには、開発許可による明白かつ現在の危険が必要
⇒①重大な危険の生じる蓋然性があり、②危険が具体的に切迫しており、③処分がその回避のためやむを得ない場合にのみOK
2 本件ではかかる事情はない
(1) ①危険の蓋然性
B教団は過去にテロをしたA教団と別物
反省の意思を有している
テロの実行犯は全て逮捕され、B教団にはいない
⇒危険なし
(2) ②危険発生の切迫性
B教団はまだ施設近隣住民と運営上のトラブルを起こしていない
テロの兆候もない
⇒切迫性なし
(3) ③手段の必要性
事後的な運営状況の開示などより緩やかな手段でも大丈夫でしょう
3 よって本件不許可処分は不当に信教の自由を制限する形でされており、違憲違法
[設問2]
第1 法令違憲の点
1 条例と都計法の関係
(1) 市の反論
94条は法律の趣旨に反しなければ上乗せ規制も許容する
条例は都計法の目的の延長線上でありその趣旨に反しない
(2) 私見
ア 94条違反の判断基準
94条は地方公共団体の自主性を尊重しつつ、法律に反する条例の規律を禁ずるもの
⇒法の趣旨に反しない限りで上乗せ規制もOK
条例が法律の範囲内かどうかは、文言のみならず趣旨・目的・効果により決すべき
イ 本件についての評価
条例では安心・安全・環境保護に配慮することで住み良い都市環境の形成を目指す
これは都計法1条の「都市の健全な発展」や「健康で文化的な都市生活」を追求・具体化するもの
このように都計法の趣旨を具体化し、周辺住民などの意見を尊重する新たな規制を否定するものではない
条例の規制対象たる「大規模開発事業」(条例2③)と、都計法施行令の定める対象は同一
⇒都計法の範囲内で規制を具体化したもの
ウ 結論
条例は都計法の範囲内であり94条に反しない
2 信教の自由侵害について
(1) 市の反論
ア 条例はあくまで市民生活の安全などを目的としており、宗教的側面に注目していない⇒間接付随的制約
そもそも不許可処分で宗教的行為の自由が全否定されたものではない
条例は宗教との関係で内容中立的規制
積極目的規制だから正当性の審査密度は低くてよい
イ よって合理性の基準、すなわち①目的が正当で②手段が目的と合理的関連性あればよい
(ア) 目的は市民の安心・安全という重要なもの
(イ) そのためにはトラブル発生前に危険のある事業を中止させるべき、これで不審者の居住などを防止できるので関連性あり
(2) 私見
ア 本件侵害状況の評価及び審査基準
(ア) B教団の言うとおり、信教の自由は重要
宗教的行為の自由は教義との関係で代替可能性に乏しい⇒内容中立でも意味はない
規制が許可制と強力であり、それ自体宗教的行為の制約が認められる
But 条例の目的は宗教的側面ではなく、間接付随的制約であることは確か
(イ) 以上より、厳格な合理性の基準、すなわち①目的が重要で②手段が目的と実質的関連性を有しているかという観点から審査すべき
イ 本件についての評価
(ア) 条例は住民の安心安全を目的としており、条例18Ⅱ各号からすると、そこには市民の生命・身体の保護が見て取れる
C市が以前から良好な住環境に配慮してきた経緯からは、これら目的を尊重すべき
(イ) 手段については確かに事後的監視・是正もありうる
But 生命・身体への配慮からは、危険のある計画を事前にチェックし、中止させるべき理由あり
本件条例は規制対象を告知された推進地区に限定しており、大規模開発事業に限っているから、必要最小限の規制といえる
ウ 結論
以上より目的手段ともにOK、合憲
3 財産権侵害の点
(1) 市の反論
条例も議会を通じて民主的に決まっているから法律とイコール
安全保護のための規制は「公共の福祉」のため正当化される
(2) 私見
たしかに条例も法律と同視しうる
But 29Ⅱの趣旨から、財産権の「内容」を定めるには法律によることを要する
本件では財産権の「行使」が制約されるに過ぎないからOK
第2 適用違憲の点
1 市の反論
本件処分はそもそも宗教的行為の制約としてされていない
そうだとしても、①B教団はA教団と実質同一で危険、②事前説明会で暴れていて危険発生の切迫あり、③そのために透明性欠く施設の禁止はやむをえない
2 私見
(1) 不許可処分がB教団の信仰の中核たる集団居住等を制限しているから、明白かつ現在の基準で判断すべき
(2) 本件についての評価
ア 危険の蓋然性につき、B教団にはテロ実行犯はいない
A教団のテロは教団活動としてされていないし、教義も「理想の社会」を目指すもの
⇒テロはこれを曲解しただけで、教義自体の危険性はない
イ 危険の切迫・蓋然性につき、B教団自体は施設建築後トラブルがあったとの事情はない
説明会でのトラブルは敵対的住民の責任もある
周辺住民以外の「不安」は考慮すべきでないところ、条例18Ⅱ②の「災害防止」に準じるテロの具体的危険は現段階ではない
ウ 集団居住の不安性などは事後的調査、報告要求などでカバー可能
(2) 以上より不許可処分は不明確で漠たる「不安」に基づくものに過ぎない
信教の自由侵害への配慮を欠き、憲20Ⅰ違反


消費時間 2:09
答案枚数 8枚ギリギリ


―――――――――
【反省点】

今回は以下のような点が主な反省です。

1.住民の同意要件への評価が足りない
出題趣旨でもある、条例の2段階構造についての論述が不十分だというのが一番の反省です。一応多少は論じていますが、手段としての適切さ、すなわち「住民の『安心』として過半数の同意を求めることが、よそ者だったり宗教的少数者だったりに対して不当に働くのではないか」という問題意識を出していくべきでした。そして、目的との関係で、周辺住民の同意というのが本当に合理的なのかという点を論じていけば、厚みのある議論ができたはずです。
そうなると、目的そのものにつき、「安全・安心」と「個性ある住み良い街づくり」の2つがあることの重要性にも思いが至ります。適用違憲の局面では前者だけが問題となりますが、条例そのものの合憲性で言うなら、後者の目的のためなら住民の同意もあながち不合理ではないし、市長は同意がない場合も許可する裁量があるから、そこで憲法上の権利を不当に害さないようにする(あるいは不許可要件を合憲限定解釈する)などの配慮で、悩みを見せつつ条例を合憲にする議論もできたはずです。
ただ、昨日若干愚痴を書いたように、2時間でそこまで書ききれる処理能力は普通ありませんし、もしあったら今頃こんな勉強してないだろうという感もあります。それでもそれなりに論じるべきことはあったので、ここは素直に反省しておきます。教訓としては、規制手段の検討に当たってはその仕組みをきちんと観察すべきというところですね。

2.94条の議論をもう少し丁寧に
僕にはそもそも94条の議論は無理筋だと思えるのですが、出題趣旨によると勝ち目のある議論だそうなので、ここはもっときちんと書くべきでした。
特に、法律と条例の趣旨目的の関係については、適当に文言を拾って書いてるだけという感も否めません。原告からは、都計法が開発許可を義務的にしていることを引っ張って上乗せ規制を禁止する趣旨を主張すべきでしたし、被告及び私見からは、都計法の趣旨にいま一歩踏み込み、それが都市計画の最低ラインを定める趣旨であると認定してしまい、住民の声など都市ごとの個性を反映させる規制を否定するものではないと論じていけば、もっと説得力が出たでしょう。

3.財産権の議論は必要だったか?
今回の答案は、消費時間の面でも枚数の面でも、僕が物理的に書ける最大の量を書いています。しかし、僕が「書くべき」最大の内容を書けていたかというと、それは疑わしいです(それこそ、住民の同意要件をもっと書けたはず)。
その意味では、財産権の議論を書いたのは不正解だったのかもしれません。論点としては確かに存在します(奈良県ため池条例事件)が、それこそ判例で答えが決まっているものであり、いかに私見で別の学説を持ってきたところで、結論に影響はないわけです。そういう論点をあえて書いてしまうのは、やはりどこかに「知ってる知識を書いてやろう」という、問いに答えない姿勢が出てしまっているということもできそうです。
ただ、難しいのは、どの論点が書いてほしい内容であるかは必ずしも明らかでないことと、論点が存在する以上そこに言及しないのも不安であるということです。後者は前者の裏返しであるので前者について言うと、今回の問題で94条の話を論じるというのは、本当にそこまで意味があるのだろうかという感じです。とりあえず統治分野から出したといいたかっただけなんじゃないかと(この程度の条例で94条違反だったら徳島公安条例事件よりもっといい判例が出ているのでは?)。そういう不安もありますが、今回に関して言えば、合格者再現答案と比べても法律論・事実ともに劣らない水準の内容は書けていると思うので、公法系に関しては「より問題の核心を狙う」という意識をもう少し強くしても、大外しはしないのかもしれません。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。