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H20年刑事系第2問(刑訴法)

前回の勉強会で検討した問題の続きです。刑訴法は試験後全く勉強していないので、まぁひどいものです。

H20 刑事系  問題 出題趣旨 採点実感
2009.10.31解答

―――――――――
第2問(刑訴法)

[設問1]
1 本件ノートの証拠能力につき問題となる点
(1) 立証趣旨の扱い
本件で検察官は「Wと甲の会話状況」「本件覚せい剤を甲から入手した状況及び売却価格」を立証趣旨としている
後者は本件ノート内の甲が発言したとされる内容が問題に⇒伝聞
前者は実質的には甲の供述をその内容とする可能性あり
立証趣旨には拘束力ないので裁判所が別途その趣旨を検討すべき
いずれにせよ実質的立証趣旨との関係で証拠能力を判断することになる
(2) 本件ノートそのものの証拠能力
前提として、本件ノート自体が書証としての証拠能力を有している必要アリ ∵同意なし
本件ノートは「公判期日における供述に代えて」(320)の書面⇒伝聞証拠
伝聞証拠は内容につき供述者の知覚・記憶・表現叙述の各過程に誤りある可能性あり
⇒反対尋問で確認せず証拠とすることは321以下の伝聞例外を除きダメ
そこで以下①本件ノートそのものの証拠能力、②本件ノートの内容と立証趣旨の関係での証拠能力、につき論じる
2 本件ノート自体の証拠能力
(1) 伝聞例外の適用可能性
ア 本件ノートは検面・裁面でないし、専門的知識によるものでもない
では、323Ⅲの書面にあたらないか?
323Ⅲは同Ⅰ・Ⅱに準じて類型的に信用性高い書面に証拠能力を認める趣旨
⇒それらに準じた類型的信用性を認めうる性質が必要
本件ノートはただの日記、類型的信用性なし
よって323Ⅲ書面ではない
イ そこで、個別的作成状況における信用性を理由として321Ⅰ③書面として検討すべき
要件は①供述不能、②証明に必要不可欠、③特信性
(2) 321Ⅰ③の要件充足性
ア ①の供述不能要件は、Wの死亡から充足
イ ②の必要不可欠性要件につき、本件での証拠は覚せい剤とノートしかない
本件ノートしか覚せい剤営利目的所持罪の構成要件該当性は証明できない
⇒要件充足
ウ では③の特信性はどうか?
特信性は内容そのものではなく、外部的状況から信用すべき情況の下作成されたかを判定すべき
そこで()形式面、()内容の特徴、()管理態様の3点から検討する
(ア) 形式面
本件ノートは全て万年筆及びボールペンで書かれており、改ざん・消去は困難
本件ノートは時系列順に空白行・ページをあけずに連続して記載されており、途中に新たな内容を挿入することもできないから改ざんのおそれなし
実際、本件ノートの筆跡は全てWのもの
甲につき言及のある日付についても万年筆・ボールペンが混在しており、改ざんや意識的な記録がされたものではない
(イ) 内容の特徴
本件ノートはH17.10.13~H20.1.15にわたり週3~5回のペースで継続的に記録され、日常についての感想・記録をその都度記録⇒突然作ったものではない継続的記録として信用性あり
最終ページの記述のうち1月6日・1月11~12日の記載は捜査で裏づけあり、内容も事実に基づいているといえる
(ウ) 管理態様
本件ノートはW室内の机の引き出しにあり、引き出しに鍵がかけられていた
その鍵は部屋の鍵とともにWが持ち歩いていた
本件ノートはWのみが記載できるものであり、他人に見せることを予定していない
エ 以上より本件ノートは(ア)改ざん困難な形式で作成され、全てWの手により作成されたものであり、(イ)内容について真実に基づくものとして信用性が高いと考えられ、(ウ)他人に見られることを想定せず、厳格に管理されていたものであるから、特信性あり
(3) 小括
以上より、本件ノートは321Ⅰ③書面として証拠能力あり
3 要証事実との関係での証拠能力
(1) 検察官が「Wが甲方で覚せい剤を発見し、甲と会話した状況」として請求している点
ア 上記請求は実質的には本件覚せい剤と甲の結びつき=甲による所持を立証するもの
内容のうち、Wが白い粉を見つけたところ甲が「それに触るな」と言って取り上げた点が問題となる
イ では、この記載での甲の発言は伝聞証拠にあたるか?
伝聞証拠が禁止される趣旨からすれば、発言の真実性を前提とする場合はその点に誤りが生じうるからで伝聞となる
But 発言の存在自体が問題となる場合、その存否は本件ノートの特信性でカバーされている
⇒加えて別の要件充足は不要(非伝聞)
「それに触るな」という発言は、Wの行為に対してとっさにされたもので、その存在自体が、甲の「白い粉」に対する法禁物としての認識の表れ⇒発言の真実性自体を前提としない
よって非伝聞、そのまま証拠能力肯定できる
(2) 検察官が「覚せい剤の入手状況及び売却価格」の立証のため請求している点
ア この請求は、本件ノートにある甲の発言の真実性を前提としている供述証拠
イ では、これを証拠とするためにいかなる要件が必要か?
320Ⅰは「公判期日における供述に代え」る以外の書面の使用を認めている
よって、書面である本件ノートに記載された被告人甲の供述内容は、324Ⅰにより322の要件を満たせば証拠能力あり
なお、甲の署名要件は、本件ノートの特信性により甲の発言が正確に記載された点がカバーされているので不要
では、322Ⅰの要件たる①不利益性と②任意性はあるか?
本件ノートの記載は、甲と恋愛関係にあるWに対し、自己の犯罪事実につき自ら話したものであり、①②ともに充足
ウ 以上より、証拠能力あり
4 結論
本件ノートはその立証趣旨との関係で証拠能力が認められる
[設問2]
1 本件で問題となる点
本件では①侵入の際にガラス窓を割って入ったことが許されるか、②令状の提示が甲方内に入ってすぐにされなかったことが適法か、が問題となる
2 ガラス窓を割って入った点
(1) Qは令状執行に際し、ドアを開けてもらえなかったので、窓ガラスを割ってそこから入った
捜査のために物を破壊すること自体は法益侵害であり、任意処分とはいえない
But 捜索差押許可状の執行に際してはそのために「必要な処分」ができる(222、111Ⅰ)
必要な処分といえればOK
(2) しかし必要な処分といえども無制限にはできない
⇒必要性・緊急性と被侵害法益・行為態様を比較考量し、相当な範囲内といえる場合に限って適法と解すべき
(3) 本件については以下の通り
ア 必要性
Qは警察である旨及び捜索の意図を伝えたが、甲方の人間は鍵を開けず、Qの侵入を拒んでいる
令状執行のため室内に入るには、甲方に唯一あるガラス窓を破るほかなし
イ 緊急性
本件は覚せい剤の嫌疑、覚せい剤は水に流すなどしてすぐ隠滅可能であり、証拠保全の緊急性あり
本件でもQが声をかけた後、内部で「やばい」として慌しく動いている⇒隠滅行動の疑い
早急にとめる必要あり
ウ 被侵害利益・行為態様
(ア) Qが破ったのは2枚のうち1枚
それも20センチ四方、鍵を外すため最小限の部分だけ
窓ガラスは直ちに修復され、費用も2万と安い
(イ) Qは事前に捜索する旨伝え、その後もチャイムを鳴らすなどしてドアを開けるよう促している
⇒いきなり窓ガラスを破ったものではない
(4) 以上より、Qの行為には高い必要性・緊急性があり、それに対して侵害は少なく、相当の配慮がされているから、「必要な処分」として適法
3 令状の提示が遅れた点
(1) 本件では、Qによる令状提示が入室後直ちにされず、3分後にはじめてされた
⇒令状呈示義務(222、110)に反しないか?
(2) 110の令状呈示の趣旨は、捜査官の職権濫用防ぎ、提示により対象者に受忍すべき理由を伝え、不服申立ての機会を与えるため
とすればこの趣旨を没却しない限り、執行前の呈示は必須ではなく、合理的理由あれば遅れてもよい
現に110も「処分の前に」とはしていない
(3) 本件では前述のように証拠隠滅のおそれがあり、まずはこれをとめる必要があった
Qらは、4LDKと広い室内の全体を確認し、組員の行動を注視できる体制を整えるため、令状執行に先立ち室内の確認をする必要があった
Qは、確認終了後直ちに令状を示しており、呈示前に本格的な捜索をしてはいない
以上より、Qはできるだけ速やかに、合理的理由から事後の令状呈示をしており、3分の遅延は間取りの広さからして適正な範囲
(4) 以上よりQの令状呈示にも問題なし
4 結論
甲方の捜索に違法な点はない


消費時間 1:48 
答案枚数 7.5枚


―――――――――
【反省点】

久々の割には一通り書けましたが、うろ覚えゆえに適当になっているところもあり、設問1では議論の構造が不明確になったという問題があります。以下、簡単な反省。

1.設問1の全体像をクリアに示せていない
設問1の趣旨は、Wの供述を書面で示す関係での伝聞性と、Wが甲の供述を記録した内容を示す関係での伝聞性を分けて論じ、特に後者について立証趣旨との関係で伝聞性の有無及び再伝聞の可否・要件につき検討するというものと思われます。
一応、上の答案でもそれは一通り触れたはずなのですが、そういう構造をきちんと示せたか、とりわけ総論となる最初の項目立てのなかできちんと書けたかというと、全然そんなことになっていません。
二重の伝聞が問題となっていること、最初の伝聞例外(321Ⅰ③該当)では甲の認識した記述の正確性だけがクリアされていて、甲の発言として記載された内容の真実性まではクリアされていないから、別途そこの伝聞例外も問題となるのだという問題意識を端的に記載したかったところです。

2.事実の評価
刑法でもそうでしたが、事実の評価にもう一歩踏み込みたかったです。
例えば、日記が継続的に書かれ、日々の記録をその都度書いているというのは、記憶が新鮮なうちに書き残しているという意味で信用性が認められるのであって、それに絡めて捜査の裏づけがあったことを書くべきでした。
また、Wが日記を他人に見せる予定がなかったというところまで書いておきながら、それがどういう意味を持つのかにまでは踏み込めませんでした。他人による改ざんの可能性という頭でいたのですが、W自身も改ざんや虚偽記載をする動機がなかったという話までいくべきでした。そうやって考えると、本件ノートは甲にとり不利な内容のため請求されているところ、Wは甲の愛人であり、甲に不利益な形で記載する動機がないということも指摘でき、さらに評価に厚みが出たはずです。

3.設問3は法律論をもう少し丁寧に
勉強してなかったこともありますが、もう少し規範を丁寧に立てたかったところです。必要な処分の規律については、安易に51年決定の基準に流し込んでしまいましたが、せめて比例原則に言及していればまだ理由がついていた気がします。
令状呈示の趣旨も、結構適当です。原則事前呈示ということを述べてから、その例外を論じるという形で展開すべきでした。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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