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H20年刑事系第1問(刑法)

H20刑事系の第1問です。昨年解いたので事案は何となく見覚えがありますが、共謀が問題になるよなぁくらいしか覚えていなかったという、去年何やってたんだという程度の記憶しかありませんでした。結果的には忘れていたので勉強になってよかったです。

H20 刑事系  問題 出題趣旨 採点実感
2009.10.31解答

―――――――――
第1問(刑法)

第1 乙の罪責について
1 A方への侵入窃盗について
(1) 後述の通り本件では甲が住居侵入&300万窃取&2万強取
これにつき、乙は実行行為そのものはしていないが、協力している
⇒乙に共同正犯(刑60)は成立しないか?
(2) そこで問題となるのは、実行していない者に共同正犯が認められるか
この点共同正犯が「すべて正犯」とされるのは他人と意思を通じて相互に利用しあうことに法益侵害の危険性があるから
⇒かかる危険性があれば実行行為を分担しない共謀共同正犯も肯定すべき
このような危険性は、自己の犯罪として犯行の重要部分に関与したか、すなわち①関与の重要性と②正犯意思により判断すべき
(3) これを本件について見ると以下の通り
ア 関与の重要性
(ア) 乙はA方への侵入方法の立案指導、甲の犯行現場への送迎を担当
前者については、乙の経験から、Aの生活態様・A方在宅者の有無・侵入経路・財物の在り処まで詳細に伝えるもの⇒犯行に不可欠
これらを図面にし、甲を実地に連れて行った上で交付し、犯行時刻等も含めた計画を甲と共有
⇒計画立案は乙が行ったものと評価できる
後者のA方送迎も犯行にとって重要
(イ) 甲と乙は友人関係、年も近く対等
乙も積極的に情報提供している
⇒乙の主体的な犯行関与
イ 正犯意思
(ア) 犯行動機につき、乙は一旦断っているが、自身が実行しないと聞くと積極的になっている
乙は失業中で金に困っており、Aの会社待遇への不満もあった
⇒乙自身の犯行動機あり
(イ) 乙は300万のうち100万を受け取る約束している
実際100万円交付を受けている
ウ 小括
以上より①乙は主体的に犯行に関与し、犯行に必要不可欠な役割を担っており、②それは乙の動機に基づくから、自己の犯罪として甲の犯罪に関与している
⇒打ち合わせのあったA方侵入&財物窃取の点につき共謀に基づく共同正犯成立
(4) 乙に成立する罪責
ア 甲のしたA方侵入窃盗につき、住居侵入罪(130)と300万の窃盗罪(235)の共同正犯
イ 一方、甲がBを脅迫し、2万円を強取した点は?共謀の範囲内かが問題
本件では甲・乙の計画ではA方居住者不在を前提としており、乙もBの存在を知らず
甲がカッターナイフを準備したことも甲の独断、乙は知らず
⇒強盗までの共謀はない
よって甲の強盗は乙の罪責とならない But これは乙からみると窃盗と思ったら強盗
⇒抽象的事実の錯誤
構成要件的に重なり合う範囲で犯罪成立
乙は財物領得の故意はあり、強盗と窃盗では強取以外の領得行為において構成要件的重なり合いあるから、軽い窃盗の限度で犯罪成立
ウ 乙には302万円の窃盗罪、これにつき甲と共同正犯
2 Bを死亡させた点
(1) 乙はA方から出てきたBを殴打、死亡させた
これに殺人罪(199)は成立するか?殺人の故意が問題
本件では、Bは70歳と高齢
その顔面を力いっぱい殴打→死亡の危険アリ
さらに乙は逃げ出そうとするBを更に攻撃、背部・腹部を動かなくなるまで複数回蹴っている
乙に手加減した事情はない
⇒少なくとも未必の故意あり
よって乙には少なくとも殺人罪が成立
(2) では、犯行完遂のための攻撃として、さらに強盗殺人罪(240)の罪責には問えないか?
事後強盗(238)の成否が問題
ア 乙は甲の侵入窃盗につき共同正犯の関係⇒窃盗として事後強盗の主体となりうる
乙の暴行は「どろぼう」と叫び逃げ出すBを抑圧し、逮捕を免れるため⇒事後強盗要件あり
イ では、事後強盗殺人罪は成立するか?
乙は殺人の故意あるが、240後段が故意ある場合を含むかが問題
この点、240後段が故意を含まないとすると、殺人+強盗致死の観念的競合では死の結果を二重評価し、過失致死と強盗の観念的競合では故意なき強盗致死罪の方が罪が重くなる不均衡がある
よって240後段は刑事学上強盗に伴い死傷させることが多いことに鑑みたものとして、殺人の故意ある場合も含むと解する
ウ 以上より乙には強盗殺人罪が成立
第2 甲の罪責
1 A方に侵入し、300万円を奪った点
(1) 甲はA方トイレから無断で侵入⇒住居侵入罪(130)
(2) 甲はA方書斎の机からAの意思に反して300万を持ち出し占有を得た⇒窃盗罪(235)
以上は乙との共謀に基づく共同正犯
2 Bを脅して2万円を奪った点
(1) その後甲は居間でBに出会い、脅して2万を交付させている
強盗罪(236Ⅰ)は成立しないか?
(2) ア 甲はBにカッターナイフ突き付け、Bの胸倉をつかんだ上、刃先を頬に当てて「騒ぐと殺す」と脅している
これは客観的に犯行抑圧する程度に強力な脅迫といえる
実際にBも威圧されて声も出なくなっている
⇒脅迫により財物奪取といえる
イ それにより2万を渡しているから強取あり
ウ BはAの2万円を手渡しているが、暴行・脅迫は財物所有者だけでなくその管理者に対してされてもいいから、この点は強盗成立を妨げない
エ 以上より強盗罪成立
(3) では、その後Bが逃げ出し、転倒して怪我した点につき甲は罪責を負わないか?
①これに強盗致傷罪が成立するか、②甲の行為とBの負傷に因果関係があるかが問題となる
ア 甲は負傷の故意を有していないが、結果的加重犯たる強盗致傷罪の成立余地はある
しかし、強盗といかなる関係にある障害結果が強盗致傷罪に該当するか
この点、同罪の趣旨は刑事学上強盗の機会に傷害が多いことに鑑みたもの⇒強盗の手段から生じたものだけでなく強盗の機会に生じたものも含む(機会説)
But それでは成立範囲が無限定⇒238の趣旨より事後強盗類似の状況に限定すべき
本件ではBは甲から逃れるため逃げて怪我をした、甲が追いかけていたのは逮捕を免れるため
⇒事後強盗類似の機会に負傷、強盗致傷罪に
もっとも、同罪は結果的加重犯、責任主義から加重結果に過失は必要
本件ではBが高齢、必死で逃げる際に怪我することは予見可能⇒過失あり
イ では、甲の追跡とBの負傷に因果関係あるか?
因果関係は行為の危険の結果への現実化の有無で判断すべき
甲の行為は「待て」と怒鳴っておいかけること、前の脅迫と合わせれば必死に逃亡させるだけのもの
高齢のBにとり、必死な逃走を強いることは危険、Bの負傷もそれが現実化したもの
⇒因果関係あり
(4) 甲のBに対する一連の行為に強盗致傷罪(240前段)成立
3 Bが死亡した点
(1) では、甲は乙がBを死亡させた点につき罪責を負うか
乙は甲と共謀した窃盗につき逮捕を免れるためにBを殺害⇒甲も何らかの罪責を負うべきでは?
(2) But 本件では
)計画ではA方が無人であることが前提で、甲も現場の人通り少ないことを確認して犯行を決意したから、誰かに見つかった際の処理は前提とされていない、)甲は乙に「先に帰れ」と述べており、乙が逃走を助けることは予定されていない、)甲はBの負傷も乙に攻撃されたことも知らない、という事情から、Bへの攻撃につき事前共謀も現場共謀も認められない
(3) さらにBの死亡は甲の追跡行為と何らの因果関係もなく、甲の行為がBの死亡につき帰責される関係もない
(4) よって甲はBの死亡につき罪責負わない
第3 結論
1 共同正犯関係の処理
(1) 甲・乙では領得行為につき強盗致傷罪と窃盗罪で故意を異にする
このとき、共同正犯の成立範囲をどう解するか?
(2) この点、犯罪共同説がある
But 共同正犯は他人の行為を介して法益侵害を実現する点に処罰根拠あり、各共同正犯者はそれぞれに固有の違法・責任に基づき処罰される
⇒構成要件による限定は不要、各自の故意に応じた共同正犯が成立(行為共同説、数人数罪)
2 甲の罪責についての結論
甲には住居侵入罪と300万の窃盗罪、2万円の強盗致傷罪につき乙との共同正犯が成立(60、235、240前段)、住居侵入と後2者は結果手段の関係にあるから牽連犯(54Ⅰ後段)
窃盗と強盗致傷は後者につき負傷という別個の法益侵害があるので、包括一罪にはならず併合罪(45)となる
3 乙の罪責についての結論 
乙には住居侵入罪と302万円の窃盗罪(共謀の中には300万以外の金品奪取も含まれており、乙にとっては全て同じ)について甲との共同正犯が成立(60、235)
Bの死亡につき強盗殺人罪(240後段)が成立
強盗殺人罪は窃盗の事後強盗として成立しているから、最終的には強盗殺人罪の一罪につきの共同正犯となり、これと住居侵入罪が牽連犯の関係に立つ(54Ⅰ後段)


消費時間 2:07
答案枚数 7.25枚


―――――――――
【反省点】

論点的には結構拾えたと思いますが、構成の分かりにくさ、事実評価の粗さが気になるところです。あと、以下のようなことを指摘されたり、反省したりしました。

1.規範が無駄に厚いのではないか
優秀答案の分析によれば、もっと論証は削るべきだそうです。個人的には抵抗感があるのですが、確かに共謀共同正犯の成立根拠とか240条後段に故意ある場合を含むかどうかの議論などを厚く書いたところで、点がつかないのであれば単なる自己満足にすぎません。
まぁ論点についてメリハリをつけるべきというのはその通りで、その意味でも問題がありそうなので、基本的には論証は最低限に絞り、特に重要そうな部分で多少厚く書くというくらいのバランスがよいのでしょう。このへんは自分でも研究してみます。

2.事実の評価をもっと厚く
事実は一応拾っているが、それに対する評価をもっと頑張ると点が伸びるようだということです。確かに、100万円の分け前が多いのか少ないのか、といった評価もできますし、他にもいろいろ深くつっこむところはあります。法律論よりこっちのほうが配点が多そうだということもあるので、次から意識していきたいところです。
あと、事実の評価という点では、Bへの脅迫が相手を畏怖させるに十分なものかどうかという点についてはもっと議論すべきだった(カッターナイフで本当にビビるのか、ということ。僕はチキンなので普通に畏怖すると思ってしまいました)し、乙のBへの殺意の認定は無理があるのではないかという指摘もありました。ちょっと感覚がずれているのかなぁ…?

3.もっと構成を練って、論点ごとに分かりやすく区切る
今回は昔に比べると答案構成をじっくりした方なのですが、それでも途中で気づいた論点があったり、うまく整理できていなかったりした点が多々あります。みれば分かるとおり、同じラベルの中に複数論点があったりして、ちょっとなぁという感じです。
現物の答案は字が細かくて汚いため、さらに読みにくい代物であるので、せめて構成だけでもすっきりさせないと、試験官が読んでくれなさそうです。とくに刑事系は答案構成が重要だと思われるので、いろいろ試行錯誤していきたいです。


なにせ今年の本試験でひどすぎる点を取ったもので、刑事系には変な苦手意識がついてしまった感があるのですが、論点的には一回ノートまとめしたこともあってかなり食らいつけるようになった気がするので、あとはシャープな答案と充実した事実評価をできるように演習あるのみですね。もちろん知識の確認も怠るべきではありませんが。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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