スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

H19年民事系第2問(民法・民訴法)

先週の勉強会で検討したH19民事系大大問の答案構成を載せておきます。出来はまぁひどく、伊達に民事系117点を獲ってないというところです。そんなこと言ってる場合ではありませんが。

H19 民事系  問題 出題趣旨
2009.10.24解答

―――――――――
第2問(大大問:民法、民訴法)

[設問1]
第1 課題(a)(Xの主張)
1 Xは以下の主張をなしうる。
①履行遅滞による解除(民541)
②定期行為の履行遅滞による解除(542)
③瑕疵担保責任に基づく解除(570・566)
④それぞれにつき債務不履行による損害賠償請求(415)
以下、順に検討する
2 ①履行遅滞による解除
(1) Xの主張すべき請求原因事実は()XY間での甲の売買契約の成立、()弁済期の経過、()相当な期間を定めての催告、()催告期間経過後の解除の意思表示である
(2) ()売買契約の成立
H17.9.28、X・Y間で代金600万円、目的物を甲、納品日をH17.12.7とする売買契約の締結あり
(3) ()弁済期の経過
H17.12.7経過
Yに不履行がないことはYの抗弁なので請求原因としては不要
(4) ()Xの催告
XはH17.12.12「2月末までに持ってこないと」解除すると伝えている⇒催告
(5) ()解除の意思表示
XはH17.3.5にYに対して解除を伝えている
()の催告は2月末到来を起源とする停止期限付解除の意思表示ともいえる
(6) 抗弁に対する見解
ア Yは甲が特定物であり、債務者の帰責事由がないため534の債権者主義より債務不履行が否定されると主張するであろう
But ①Yには帰責事由あり、②ないとしても本件で534の適用はない
イ Yの帰責事由について
本件はXの元への持参債務⇒Xまでの輸送がYの債務
Bに依頼してから生じた傷も、Bを履行補助者として義務を果たそうとした以上、責任を負う
ウ 危険負担の適用について
534は支配可能性ない物品損失につき債権者にリスクを負わせるので不合理
⇒制限的に解すべき
本件ではXまで甲を届ける契約→危険負担の移転はXの受領時という黙示の合意あり
そうでなくても534Ⅰの合理的解釈として占有移るまで危険負担は移転しないと解すべき
3 ②定期行為の履行遅滞による解除
(1) 本件ではH18.2末を期限とする定期行為契約が成立しているので無催告解除可能(①請求の予備的請求原因)
(2) 本件では契約締結時及びH17.12.12などに2月末までの納品が確認されている
YはD主催の美術展の存在、Xがこれに出展するため甲を購入したこと、そのため2月末までに納品すべきことを知っていたはずである⇒当事者の意思から542の定期行為契約となる
(3) よって無催告解除できる
4 ③瑕疵担保責任に基づく解除
(1) 本件は売買契約が問題になっている
⇒Yは570の瑕疵担保責任を負う
同条は特定物についての法定責任を定めている
甲はAが一品物として作成した美術工芸品であるから特定物、よって適用アリ
(2) 隠れた瑕疵はあったか?
扉の可動部分の根本に剥落があり、開閉に支障⇒瑕疵アリ
(3) よって解除を主張できる
5 ④損害賠償請求
(1) 上記①~③とともに、Yが債務の本旨に従った履行をしなかったことから、415による損害賠償請求が可能
(2) では、ケース代解除費用の8万円と賃料10万円が損害賠償の範囲内か?
416Ⅰは「通常損ずべき損害」の賠償認めている
⇒甲保管用のケースは、甲が600万円の高価品であり、Xが美術品収集家であることから「通常生ずべき損害」といえる
416Ⅱは予見可能性あれば特別損害も賠償認める
⇒YはDの美術展の存在やXの出展予定を知っていたから予見可能性あり、賃料も請求可
第2 課題(b)(Yの反論)
1 Yのなしうる反論は以下の通り。
⑤ Xの請求原因①②に対して、帰責事由のないこと
⑥ ①②に対して、債務の履行があること
⑦ ②に対して、定期行為性の否認
⑧ ③について、瑕疵担保責任の性質を争った上で瑕疵修補権がある旨の主張
⑨ ④について、過失相殺の抗弁
⑩ ④について、損害賠償の範囲を争う
2 ⑤Yに帰責事由がないこと
(1) 履行補助者の過失
本件でBには過失はないし、直ちにはBの責任を負わない
本件での目的物はP国で生産される⇒輸送のため専門業者が利用されることをXは当然了解していたはず
よって、Yは債務履行のためBのような業者を利用して輸送を依頼すれば責任を一応果たす
その上で高価品のための注意や適切な業者の選定をしているならOK
(2) 本件における評価
ア Bの海上輸送中の事故⇒鯨によるこれまで経験のないもの、回避も困難
偶発的事故につきBは対処すべくもなかったから過失無し
イ Yは甲の高価品であることを伝え、運送の専門業者Bに依頼⇒過失なし
(3) よってYには帰責事由なし、債務不履行責任としての解除も主張できない
3 ⑥Yは債務を履行していること
(1) Yは本旨弁済(493)をすれば債務を免れる
特定物たる甲については、現状による引渡しでよい(483)
⇒H17.12.5にXに甲が届いた段階で履行アリ
(2) Xは危険負担がYにあると主張
But それは上述の債務の履行を否定するものではない
また534を条文どおり解せば特定物の危険負担は債権者Xが負う
4 ⑦定期行為の合意がないこと
本件では定期行為であるとの合意がない
∵ YはXが2月末までに甲を必要とする理由を知らないし、2月末までという指定は、Yのメモでの提案に対する納品日の変更に過ぎない⇒定期行為ではない
5 ⑧瑕疵修補権の行使
(1) Xは瑕疵担保責任を法定責任説と理解
But 明文でも適用対象は特定物に限定されない
⇒瑕疵担保は債務不履行責任の特則として、買主のための無過失責任と売主保護のための短期時効を定めたものと解すべき(契約責任説)
(2) 契約責任説から、債権者は瑕疵修補請求権を有し、その反面債務者には瑕疵修補権が認められる
本件ではYは弁済期前のH17.12.5に甲の瑕疵につき知らされ、瑕疵修補権に基づきこれを修理し、H18.3.5に引き渡したので、これにより有効に債務を弁済したといえる
6 ⑨過失相殺の抗弁
XはH17.12.12、甲の修理につき話し合う前に怒ってYを追い返した
⇒甲の修理が遅れ、その2週間後になった、これはXのせい
もしXがきちんと相談に応じていれば2月末までに修理できた可能性は十分アリ
⇒Yの債務不履行にはXに過失があるから、418に基づく過失相殺を主張できる
7 ⑩損害賠償の範囲
(1) アクリルケースの解除費用について
アクリルケースは特注、また20万円と高価⇒通常の損害とはいえない
Yはそのような支出について予見できない⇒特別損害としてもダメ
(2) Dへの賃料について
YはXが美術展に出展することは知らない
Dの美術展のテーマが甲のようなものであるというだけで出展を予見できるものではない
⇒予見可能性なし、損害賠償の範囲外
[設問2]
1 小問(1)について
(1) 陳述①=甲4号証成立についての理由付否認
文書はその成立の真正について証明する必要アリ(民訴228Ⅰ)
それにより形式的証拠力が認められなければ書証を事実認定の基礎と出来ない
その立証責任は文書提出者
⇒陳述①は立証責任負うXにその負担を負わせたままにしておくもの
(2) では、Yが認否しなかった場合はどうか?
Yが認否しなかった場合=擬制自白(159)、その事実につき不要証効が生じる(179)
しかし、本問で自白の対象となっているのは文書の真正という補助事実、これに自白が認められるか?
この点、自由心証主義を害するので補助事実に自白を認めない見解がある
But 一般的にはそうでも、文書の真正については法が証書真否確認の訴えを認め、当事者が処分可能なものとしている(134)
また、形式的証拠力を認めても実質的証拠力で自由心証を働かせることができる
⇒文書の真正については自白を認めるべき
よって、Yが認否しないと、擬制自白が成立し、裁判所は真正を否定できなくなる
(3) これに対比させると、陳述①のごとき否認は、裁判所への拘束力も不要証効も生じさせないから、Xは甲4号証の成立の真正を証明する必要がある
具体的には、同書面の署名がFのものであること(228Ⅳ)を示す必要がある
2 小問(2)について
(1) 陳述②の訴訟法上の効果
ア Yは第1回口頭弁論期日の「200万円返してもらう」発言の存否について認めたが、陳述②でこれを否定しようとしている。これが許されるか?
第1回口頭弁論期日の認否に自白が成立しているか、しているとして撤回できないかが問題
イ 自白の成否
陳述②にかかる第1回口頭弁論期日の認否=債務不履行解除の要件事実たる解除の意思表示に該当する事実
自白の成立には、不利益事実の承認である必要がある
この不利益要件は自己が立証責任を負わない事実の承認であると解すべき
法律要件分類説によれば、解除の意思表示の事実の立証責任は解除するXにあり
⇒Yの認否は不利益要件満たし、自白成立
ウ 自白の撤回の可否
では、自白の撤回は可能か?
自白は争わない旨の意思表示⇒錯誤に基づくものであれば撤回できる
But 自白成立による相手方の信頼を保護するため、反真実要件も要求される
本件では錯誤も反真実も認められないから自白の撤回はダメ
エ 結論
陳述②には訴訟法上の効果なし
(2) 陳述③の訴訟法上の効果
ア 陳述③も陳述②同様、認否をひるがえすもの⇒自白の撤回?
But 陳述③の対象は事実ではなく法的評価の問題、これは裁判所の専権
⇒かかる問題につき自白の成否は問題とならない
イ しかし陳述③は弁論準備手続の終了後、弁論終結期日にはじめてされている
⇒時期に後れた攻撃防御方法(157)として却下されないか
以下、要件の検討
(ア) 「時機に後れて提出」されたか
「時期」=156にいう訴訟の進行状況に応じているかを基準とすべき
本件では弁論準備手続後にされている
弁論準備手続では主要な争点が全て形成されることが目的とされている(168)
⇒ここで陳述③も提出されるべき、時機に後れている
(イ) 「訴訟の完結を遅延させる」ものか
これは認めた場合と認めない場合を比較して遅れるかどうかをみるべき(絶対的遅延概念)
本件では陳述③によって、解除の意思表示の有無につきさらに慎重に審理する必要があり、さらなる期日を必要とするかも⇒遅延アリ
(ウ) 「故意又は重大な過失」があるか
この要件は157条の趣旨が適時主張立証の促進と遅延当事者への制裁ということから、当事者の意図やより早い主張可能性の有無、他の主張との関係などから判断すべき
本件ではより早い主張可能性はあった
But Yは終始請求を争っており、契約解除の明言がないとも述べており、陳述③はYの真意に基づく
また、陳述③が遅れたのは、弁論準備手続後にXの発言の意図に気づいたからにすぎないと解される
⇒故意・重過失はない
ウ 結論
陳述③は有効、これにより解除の意思表示の有無につき争ったことになり、弁論の全趣旨(247)として考慮される
[設問3]
1 方法①
(1) 方法①は訴え取下げ(261Ⅰ)を合意する契約
これにより有効に取下げがあれば訴訟は終了
また、合意のあったことを主張すれば訴えの利益を欠くので裁判も却下される
⇒Yの望みどおり
(2) But 終局判決のない時点でされると再訴禁止効がない(262Ⅱ)
⇒一旦合意があっても再び訴えてくるとまた応訴する必要アリ
⇒紛争解決できず、選択すべきでない
2 方法②と③
(1) 方法②と③はともに確定判決と同一の効力(267)
既判力もある(114Ⅰ)、よって再訴提起の心配はない
もっとも、ともに裁判所の公権的判断そのものでなく、当事者の意思を基礎とする
⇒既判力は制限され、錯誤に基づく無効等の主張がありうる(制限的既判力説)
(2) では、②と③の違いは?
③訴訟上の和解では、訴訟終了が和解契約に基づく
⇒和解契約が解除されると再訴可能になる
和解条項の内容への不満を理由とした解除はできないが、乙の瑕疵を理由とする債務不履行解除という主張はありうるから、この場合Yは応訴を強いられる
また、和解契約解除による再訴は、新しい紛争との実質から新訴提起によることが予想される
⇒訴訟資料引継ぎなく解決遅い
一方、請求の放棄の錯誤無効であれば旧訴復活として期日申立てによる訴訟状況引継ぎが可能、より迅速に
3 結論として、再訴可能性の低さと、再訴の際の解決の早さから、方法②によるべき


消費時間 3:47(民法2:10 民訴法1:37)
答案枚数 12枚弱(民法6.5枚 民訴法5枚少々)


―――――――――
【反省点】

民法:
全体として整理できていない答案になってしまいました。変な通し番号をつける必要はなかったです。あと、課題aとbを分けずに、Xの請求原因事実とYの抗弁・反論、Xの主要な再抗弁として請求原因ごとに分けたほうがよかったかもしれません。少なくとも、抗弁と再抗弁はbでまとめて論じるべきでした。
内容面についてはいろいろありますが、とりあえず以下のようなところが特にヤバいかと。

1.要件事実理解の不備
債務不履行解除には弁済期の経過は不要であること、その代わりに違法性阻却事由(同時履行の抗弁)を消滅させるための弁済の提供を主張すべきことが飛んでいました。これはいかんですね。
要件事実については、今回のように大量の事案とともに考えさせられるとなかなか書けないものだなぁという感じです。このへんはもっと勉強しないとダメですね。

2.履行期の抗弁をなぜ書かない
Yとしては、履行期が遅くなっているという抗弁を出すべきでした。というか、それを主張しないと、弁済の抗弁も成立しないところがあるので、履行期についてはもっと丁寧に論じるべきでした。日付がたくさん出てきたのでめんどくさくなったというのが本音ですが、そんなこといって落ちたらどうしようもないです。

3.請求相互の関係、とりわけ瑕疵担保責任の理解
これは検討中に分かったのですが、瑕疵担保責任につき法定責任説を取ると、特定物について債務不履行がありえなくなる(瑕疵のあるものの給付でOKなので)ということで、そもそも債務不履行責任の請求がダメになってしまいます。なのにXの請求で履行遅滞と法定責任説に基づく瑕疵担保責任を並列に論じるという、分かってない答案を書いてしまいました。そもそも瑕疵担保については、本件では後発的瑕疵なので関係ないのではないかという問題もあります。
ちなみに、Xに法定責任説を主張させたのは、Yに瑕疵修補権なる謎の抗弁(?)を主張させるためです。内田民法でウロ覚えしていたものを適当に書いてしまい、相当よくない記述を形成してしまいました。瑕疵修補権の存在から566条の「契約をした目的を達することができないとき」を否定する議論につなげれば一応理由はあったと思いますが、説明が全く足りませんでした。
請求相互の関係といえば、損害賠償請求について履行遅滞と瑕疵担保で同じものを請求しようとするのも粗すぎでした。


民訴法:
何か聞きたいことが分かったようで分からなかった問題です。民法であせった反面こちらは早く終わりましたが、もっと考えて書くべきでした。

1.小問(1)はきちんと問いに答えたか?
小問(1)では、認否不明の場合と対比させて訴訟法上の効力を論じろという話なので、そのように答えるべきでした。具体的には、否認しているので不要証効がなく、Xが署名のFによることを証明しないといけないということを明快に書くべきでした。補助事実に自白が成立するかどうか(ここも通説に乗らなかったのは無駄な冒険ですね)は、不要証効には関係がないので、そもそも重要ではなかったのでしょう。

2.小問(2)は陳述対象の意味についてもっと考えるべきだった
これは解答中も謎だったのですが、陳述②と陳述③の認否対象はいったい何にあたるのかという点は、もっと明示的に検討対象にすべきだった気がします。両方とも解除の意思表示についての事実(?)ですが、僕は②で出ている具体的発言を主要事実とし、③で争っているのはその法的評価にすぎないと理解して答案を書きました。そのくせ③ではその認否が問題になり得るという前提で答案を書いてしまい(②で自白の撤回を否定したので、時機に後れた攻撃防御方法を③で書かないといけないと思ったから。②で並列的に論じれば足りたはずですが…)、最後は「弁論の全趣旨」なるぶっ飛び結論に至ってしまいました。
もう一つの理解としては、②での発言は間接事実であり、③にいう「解除の意思表示をした」という抽象的事実が主要事実であるというものがありえたでしょう。すると②について間接事実の自白の議論が出てきてそれを否定した上で時機に後れた攻撃防御方法を論じ、③については権利自白が問題となったのかもしれません。しかし、要件事実論的にはちょっと無理がある気がしないでもありません。

3.設問3はもっと整理すべきだったか
設問3は、内容的にはこんなものではないかと思うのですが、もっと整理してもよかったかもしれませんね。方法②と方法③を一緒に論じるのではなく、別々に論じた上で最後に比較するというほうが分かりやすかったでしょうか。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。