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2009年新司法試験不合格答案再現(4.民事系大問:民訴法)

続いて民事系の大問です。



3日目 民事系大問・民訴法(100点)   問題

*得点:117.17/300(大大問も含む 3500位くらい)

〔設問1〕
第1 Xの主張
1 ()Yが否認した場合
 建物買取請求権を認めるための要件事実は、①契約更新がないこと、②借地権者が買取請求をすること、の2点である(借地法4条2項)ところ、②の要件を認めるには、本件では借地権者であるYによる請求権行使が必要とされる。
 ここで、「Yが本件建物の買取請求権を行使した」旨の主張はYの訴訟外による買取請求権行使をいうものであり、上記②の要件に関わるものであるところ、Yが否認した場合、これを証拠調べなくして判決の基礎とし、建物買取請求権の成立を認めることはできない。
2 ()Yが援用したとき
(1)YがXの主張を援用した場合、これは建物買取請求権の訴訟外行使の事実についての自白(民訴179条)を意図していると思われる。自白が成立した場合、当該事実は証拠調べなくして判決の基礎とできるが、それでは本件のような援用により自白が成立するか、以下検討する。
(2)不利益要件
ア 自白が成立するためには、それが自己にとり不利益な事実であることが要件であるとされている(不利益要件)。ここで、不利益であるかの判断につき、立証責任の所在を基準として考えると、建物買取請求権の行使は土地所有者の請求に対する抗弁であり、その要件たる権利行使の事実は買取請求権者たる被告Yが立証責任を負うものであるから、その事実につき自白が成立することはYにとり不利益といえず、この点に対するYの自白は不利益要件を満たさず不成立であるとも思われる。
 しかし、不利益要件が求められる趣旨は、自白の拘束力の根拠が、不利益な事実の承認を内容とすることでそれを敢えて争わないという当事者の意思を尊重することに求められるところ、そうであれば不利益性の判断を立証責任の分担に求める必然性はなく、事実上の不利益があれば足りると解すべきである。
イ 本件では、Yによる建物買取請求権の行使は、Xの建物収去の請求を否定することにはなるものの、結果的にはYが代金と引き換えに本件土地を引き渡すことを余儀なくするものである。Yは第1回口頭弁論期日から一貫して本件土地の有効な占有権限の存在を主張し、土地明渡しを拒んでいるから、そのようなYにとって本件土地の引渡しにつながる建物買取請求権行使の事実は、事実上不利益なものということができる。
ウ よって、Yの自白は不利益要件を満たす。
(3)権利自白
ア もっとも、法律問題の判断は裁判所の専権であるから、自白の対象は事実に限られ、法律関係の存否など法律事項に関する自白(権利自白)は認められないとされている。そして、建物買取請求権の行使がされたという事実は、建物買取請求権の成立という法律関係の存在をいうものであるから、この点の自白は権利自白として認められないとも思われる。
 しかし、権利自白についても、①それが法律関係を成立させる前提となる事実についての自白といえる場合、②当事者が当該法律関係の意味につき理解していること、の2点が満たされていれば、裁判所の法律判断を不当に拘束するものとはいえず、当事者にとり不利益ともならないから、自白の成立を認めるべきである。
イ そこで本件でのYの自白対象を検討すると、Yが援用したのは「建物買取請求権を行使した」という事実であり、法律関係の存否にかかるものの、それ自体は建物買取請求権成立の前提となる事実(権利行使の事実の有無)といえる。
 また、建物買取請求権の行使要件は前述の通り①契約更新の不存在と②行使の事実の2つであるから、当事者がその意味につき理解した上で当該法律関係が形成されたというためにはこの2要件につき理解していると認められる必要がある。建物買取請求権は売買のように一般に理解されている法律制度とは言い難いが、Xの主張によれば、Yは弁護士から建物買取請求権の制度につき説明を受けており、不動産鑑定士の鑑定結果に基づく時価での買取請求を申し出ており、Xはこの申出に対して前記①②要件が問題となっていることを確認したところ、Yからそのとおりであると回答を受けたという経緯が認められ、XYともに建物買取請求権の要件効果につき理解していることが分かる。
ウ よって、Yの自白を認めることに支障はない。
(4)以上より、Yの自白は有効に成立するから、裁判所は証拠調べなくしてXの主張を判決の基礎とできる。
 なお、YがXの主張を援用した場合、それは同時に訴訟上での建物買取請求権行使の意思表示とも解しうるが、本件では題意から検討対象外とした。裁判所はこの点につき釈明権を行使することが望ましい(149条1項)。
3 ()Yが争うことを明らかにしなかった場合
 YがXの主張を争うことを明らかにしない場合、その事実を自白したものとみなされる(159条)。この場合、前述した2と同様の結論となる。
 もっとも、同条但書より、弁論の全趣旨からその事実を争ったといえる場合には、自白は不成立となるところ、本件ではYは一貫して有効な占有権限を主張して本件土地の明渡しを拒んでおり、賃貸借契約終了の正当事由についても争っているから、建物買取請求権の要件たる契約更新の不存在についても争っているものといえる。よって、弁論の全趣旨からYはXの主張(Yによる建物買取請求権の行使)を争っているといえ、159条本文による自白の成立は認められないから、証拠調べなくしてXの主張を認めることはできない。
〔設問2〕
1 小問(1)について
(1)Xは第1訴訟において、建物退去土地明渡請求を認める判決を受けており、さらに第2訴訟で建物収去土地明渡請求を求めるものであるが、土地所有権に基づく土地明渡請求の訴訟物はあくまで土地明渡請求権であり、建物退去(第1訴訟)と建物収去(第2訴訟)の相違は履行態様の違いにすぎないから、別個の訴訟物を形成しない。
(2)よって、Xが第2訴訟で得ようとしている権利は、第1訴訟でXが得た土地明渡請求権と同一であり、第2訴訟で新たな地位を獲得できるものではない。よって、時効中断など特別の必要性が認められない本件では、第2訴訟の訴えの利益は認められない。
2 小問(2)について
(1)判決の既判力は、主文に包含するものにつき認められるとされる(114条)。本件第1訴訟では、「本件建物の代金500万円の支払を受けるのと引換えに本件建物を退去して本件土地を明け渡す」旨の判決が確定しており、主文もこれと内容を同じくするものである。すなわち、第1訴訟の既判力は土地明渡しが建物買取の履行と引換えにされること、言い換えれば建物買取請求権が有効に成立したことについても及んでいるのである。
(2)しかるに、Xは第2訴訟において、建物買取請求権の無効を理由として建物収去土地明渡を求めるものであるが、かかる主張は建物買取請求権の有効性を内容とする第1訴訟の既判力に反しており、既判力により主張が遮断される。
 なお、第2訴訟でXが主張する建物買取請求権無効の理由は、第1訴訟の口頭弁論終結時以前にされた本件賃貸借契約の解除であり、第1訴訟で主張できたものであるから、既判力の時的限界の面からも、主張が遮断される。
3 小問(3)について
(1)小問(1)に対して(訴えの利益)
 第1訴訟と第2訴訟の訴訟物が同一であることは認めるとしても、それにより訴えの利益が否定されるものではない。Xが第2訴訟を提起したのは、第1訴訟において付された500万円との引換給付が不要であることを争うためであり、この点に訴訟物の存否とは別途に訴えの利益が肯定されるのである。
 第1訴訟で確定した引換給付判決は、いわゆる質的一部認容であり、原告の一部勝訴にすぎない。すなわち、Xが争っているのは訴訟物たる権利の実現に付せられた負担の存否であるから、この点につきXに不利益が生じており、債務不存在の訴えと同様、別個に訴えの利益が肯定されなければならない。
(2)小問(2)に対して①(引換給付の部分に既判力は及ばない)
 Yは、主文に付せられた引換給付の部分についても既判力が及ぶと主張するが、これは誤りである。なぜなら、既判力は訴訟物の範囲で認められるものであるところ、引換給付の部分は訴訟物ではないからである。引換給付は履行に際して負担が付着するかどうかという、訴訟物の存否とは別個の問題であるから、この点に既判力が及ぶものではない。
 これは、引換給付判決の理由となった建物買取請求権の成立が抗弁であることからも見易いことである。すなわち、抗弁により独立に生じた法律関係については相殺のような例外(114条2項)に限って既判力が認められているところ、建物買取請求権は独立の抗弁であるのに例外として認められていないのである。
(3)小問(3)に対して②(信義則上の遮断効も認められない)
ア 上記の通り、引換給付部分に既判力は認められないが、判例の中には、限定承認に基づく留保付き判決の後で無留保判決を求める主張が既判力に準じる効力によって否定されるとするものがあるので、本件でその適用がないことを示す。
イ 上記判決は、前訴で限定承認の無効につき争えたにもかかわらず争わなかったことを問題とし、手続保障のあったことと紛争の蒸し返しを防ぐという目的から信義則上の遮断効を認めたものと解され、その趣旨は理解できる。しかし、以下の理由により、本件ではそのような遮断効が認められる理由はない。
ウ 本件でXが第2訴訟を提起し、建物買取請求の無効を主張したことには、正当な理由がある。すなわち、Xは第1訴訟の終了までAY間の賃貸借契約が無効であったことを知らず、そもそも第1訴訟で建物買取請求権の前提の不備を知らなかったのである。そして、XがAからその旨を聞かされておらず、Aは兄のCとだけ相談していたことから、この不知につきXに過失があったともいえない。よって、Xにこれを争う機会が保障されるべきである。
 また、本件では、上記のようなXの不知がYにより作出されたという事情もある。すなわち、Yは過去の契約解除の事実を秘して、Aの他界後にあたかも有効な賃貸借契約が継続していたかのごとく振舞ってXに地代を提供し、その後の訴訟でも賃貸借契約が成立していたと一貫して主張し、さらに訴訟外においても過去の契約の有効性を前提に建物買取請求権行使を持ちかけている。これらは、建物買取請求権行使のためXを欺もうする行為とさえいえ、このようなYに対して主張遮断の利益を認める必要はない。
(4)小問(2)に対して③(主張可能性による既判力の制限)
 たとえ、Yの言うとおり引換給付部分に既判力が認められるとしても、既判力の実質的根拠は訴訟物につき主張立証が尽くされているという点に求められるから、主張可能性のなかった事実については例外的に既判力が及ばないと解すべきである。
 本件では、前述のような事情からXには建物買取請求権の無効を主張する可能性がなかったので、この点については既判力が及ばない。



<反省>
民訴については、もっと基本事項から詰めて書くべきだったのかと反省しています。応用(?)部分も書けてないわけですが。

設問1は、弁論主義の話や主張共通原則について触れておくべきでした。こういう基本的な定義や概念について説明を飛ばすのは昔からのことですが、本当によくないですね。
というか本問は自白についての議論で本当に正しかったのかということすらよく分かりません。落ちてしまった今、何も自信がありません。他の科目もそうですが、一度解説を読む必要がありそうです。

設問2は、内容を整理すべきでした。既判力の制限に関する議論は小問2から展開しておくべきでした。思いついて書いたのがバレバレです(だから仕方ないともいう)。
第1訴訟と第2訴訟の関係についての論述も、果たしてこれでよかったのか、よく分かりません。いろいろ勉強しなおしですね。

<得点を受けて>
民事系の点数は悪かったです。民訴もその原因なんじゃないかと思います。設問1で基本事項を丁寧に書かなかったのが響いているのでしょう。設問2はまた検討しなおしてみることにします。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
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2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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