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H18公法系第1問(憲法)

過去問の演習をやったので、反省点など含めて答案構成を載せておきます。

H18 公法系  問題 出題趣旨
2009.10.21解答

―――――――――
第1問(憲法)

[設問1]
第1 T社の損害を回復するための訴え
・警表法の違憲を理由とした国賠請求(国賠法1Ⅰ)
・警表法の合憲を前提とした損失補償(憲29Ⅲ)
第2 国賠請求について
1 T社は警表法により警告文表示を義務付けられ、かかる表示のないたばこの販売を禁止された
  ⇒前者につき憲21Ⅰ、後者につき憲法22Ⅰ・29Ⅰ違反
2 憲法21条1項違反の点
(1) 権利侵害の存在
ア T社は法人だが人権享有主体性あり
イ 警表法は包装面積の大部分に警告文表示義務付け⇒そこに広告等表示できず、表現の積極的自由を侵害
ウ 警告文は危険性の一面だけ取り上げた過激なもの、T社の見解に反する
かかる表現の強制もまた消極的表現の自由侵害となる
∵ 表現の自由は表現内容の選択の自由を含む、その裏面として望まない表現を強制されない自由も保障される
(2) 違憲審査基準
ア 表現の自由は精神的自由の中核、自己実現の基盤として優越的
これは営利的表現でも同様に重要
イ 本件規制は特定の表現強制であり内容規制なので強力かつ恣意的
ウ 以上より厳格審査基準
①目的がやむにやまれるもので、②手段が目的との関係で必要最小限度でないとダメ
(3) 本件についての評価
ア 目的の重要性はやむにやまれるものといえる
イ 手段の相当性は
(ア) 目的達成のため必要か?
⇒ 調査によれば肺ガンレベルのリスクは広く知られていた
  従来の注意表示に加えて警告すべき理由はない
(イ) 必要最小限度か?
⇒警告文が大きすぎるし過激すぎ、そこまでいらないはず
  一般警告文だけの表示や、政府の広報などより緩やかな手段でも足りたはず
経過措置もない
ウ 結論、違憲
3 憲法22条1項、29条違反の点
警告文欠くたばこの販売禁止、経過措置無し⇒販売できなくなりたばこ廃棄を余儀なくされた
これは職業遂行・営業の自由侵害
第3 損失補償請求について
1 たとえ違憲主張が認められなくても、憲29Ⅲから直接損失補償請求できる
2 T社は規制で製品廃棄や商品イメージダウンなどの大きな損害あり
  これは社会の健康増進のためT社ら特定販売業者に特別の犠牲を課したもの⇒補償受けるべき
[設問2]
第1 国家賠償の点
1 警表法は憲法に優位する条約に基づくこと
(1) 憲98Ⅱ=条約遵守義務
   憲98Ⅰ・81の文言に「条約」はない
   ⇒条約優位説
   ⇒条約に基づく法律は違憲となる余地なし
(2) 警表法は日本も参加する「たばこの規制…条約」に従い、その内容を満たす形で制定
   ⇒条約に基づくから合憲
2 警表法は憲法21条1項に違反しないこと
(1) 保護範囲に含まれない
ア 営利的表現
T社の表現は営利的表現⇒自己統治の価値なし
表現の自由の優越的地位は自己統治の価値が根拠、これを欠くのでダメ
イ 消極的表現の自由は保護されない
表現の自由=表現したいことを表現することの自由
特定表現の強制は憲19で保障されるにとどまる、But本件表示は世界観や倫理的見解でなく19条と関係ない
そもそも本件では警告文は法律の要求によるものであることが明らか、T社の表現と認識されること自体ない
(2) 違憲審査基準
ア 上記事情に加え、規制目的が未成年含む国民の保護にある⇒間接付随的規制
∴ 合憲性は緩やかに判断してよい
イ そこで合理性の基準、①目的が正当であり②手段に目的との合理的関連性があれば合憲
(3) 本件についての評価
ア 目的は、たばこリスクが広まっていないことに鑑み、7兆4000億の損失軽減と、未成年・胎児を含む国民生命の保護⇒極めて重要
イ 手段は、従来の表示が十分効果を挙げておらず、たばこの依存性から喫煙者が減らないことに鑑みてされたもの
  実際喫煙者減少の効果あり
ウ よって目的・手段とも合理的、合憲
(4) 国会賠償法上の評価
国賠法上違法と評価されるのは憲法の一義的明文に反するといった例外的状況に限られる
本件はそれにあたらない
第3 損失補償の点について
T社の損害は特別犠牲でない
警告文表示に伴い業者全体に反射的に生じただけ
[設問3]
第1 国家賠償について
1 憲法と条約の関係
憲法が条約に優位する
∵ 条約の締結手続は憲法より軽い
  ⇒条約で憲法が改正されるというのは不合理
  文言についても条約に対し憲法の最高法規性を否定する趣旨ではない
⇒国の主張は採れない
2 保護範囲論及び違憲審査基準
(1) 営利的表現でも表現の自由として保障される
  ∵ 表現活動自体の高度な精神性・自己実現の価値が本質、経済活動にも妥当する
But 営利的表現は経済活動に関するので影響大きい反面規制必要性大
   営利動機があるので萎縮の危険小さい
    ⇒保護価値は低い
(2) 表現の自由は消極的表現の自由を含む
∵ 何を表現するかの自由は必然的に何を表現しないかの自由を含む
T社自身によるものと認知されないとしても、T社が自身の表現媒体について自己の負担で望まない表現に変更された点に問題がある
(3) 違憲審査基準
表現の自由が制約されている+消極目的規制、裁判所の判断能力あり
But 国の言うとおり間接付随的制約
   営利表現なので規制は正当化しやすい
∴ 厳格審査基準、①目的が重要で、②手段に実質的関連性があるか(より制限的でない他の手段の考慮)を満たせば合憲
3 本件についての評価
(1) 目的は国の言うとおり極めて重要
(2) 手段について
調査によれば成年者であっても心臓病などのリスクは半数以下しか知らず
未成年者はおそらくもっと知らない
⇒より強い規制を課す必要性あり
たばこの依存性、喫煙者が自らリスク情報を集めないと思われる点から、必ず目に入る包装に警告文表示させることが必要不可欠
警告文は実際に喫煙者減らしており、高い効果上げている⇒目的達成
(3) よって、目的手段とも要件クリア、合憲
4 規制自体が正当なので営業の自由侵害ともいえない
第2 損失補償について
(1) 損失補償の要否について、特別の犠牲か否かで判断する見解がある
But 特別犠牲でも受忍すべきものあるはず、妥当でない
そこで、当該財産権に内在する制約なら補償不要、それ以外は特別犠牲か否かで区別する基準が妥当すべき
(2) たばこには発がん性その他様々なリスクあり
これを知らしめた結果の売上減少等はたばこ販売に内在するもの
⇒T社に補償は認められない


消費時間 2:05
答案枚数 8枚(ほぼギリギリ)


―――――――――
【反省点】
こんな内容で8枚とはいったい何を書いてるんだ…という感じではあります。
反省点はいろいろありますが、主に以下の点が重要でしょうか。

1.消極的表現の自由の議論
本問のキモの一つだと思われますが、今ひとつ明快な議論ができず。
出題趣旨を読むと、警告文に名義が載っていないという点を指摘すべきとあり、これはその通りだと感じました。原告は「T社の見解として読まれてしまう」と主張すべきでしょう。
この点、僕の頭の中では、こんなの法律の規定って分かるに決まってるだろ(たばこ吸うな、みたいな文章もあったし。なら売るなって話です)、というところがあり、それを被告に言わせたのですが、その後特に触れることなく。
落ち着いて考えてみると、本問で消極的表現の自由が侵害されているというのは結構きついんじゃないかと思います。というのも、上述の通り警告文がT社の表現でないことは通常人からすれば明らかです。言うならば、国が無料でたばこの包装に広告を出しているのと変わらないものともいえそうです(T社の表現ではない、ということ)。表現が過激であるからこそ、T社が表明しているという違和感が消え、表現の自由としての保護範囲からは外れていくような気がします。
とすれば、消極的表現の自由は否定しつつ、広告場所を奪われた分についての積極的表現の自由に限定しつつ、これは営利的表現であるとして、職業遂行の自由・営業の自由などと並列的に論じるという私見もありえたかもしれません。

2.営業の自由の手抜き
メインでないと判断したため、営業の自由の話は相当適当に書いてしまいました。経過措置云々の話や、たばこ業者にパッケージ変更の負担を負わせている点などを捉えて、もう少し丁寧に議論してもよかったかもしれません。
本問に限らず、権利侵害が競合している場合の処理をどうすればよいかというのは悩みどころです。両方ともフルに論じる時間・紙面はないし、そこまで要求されていないとも思うのですが、さりとて論じないのも勇気が要りますので。

3.憲法と条約の関係?お前何言ってやがるんだ
条約を見てつい調子に乗ってしまいました。この病気は治さなければなりません。
中身についても考えてみたのですが、条約優位説が言えたとしても、それは条約を違憲といえないというだけであって、条約に基づく国内法が違憲にならないというのはもう一歩論証がいると思うのです(文言上国内法の「法律」は違憲審査対象になっているし)。
というかそもそも、こんなこと書いていること自体が誤りであると言うべきです。

4.損失補償が適当すぎる
これは普通に勉強不足なので、基準を整理しなおせば書けるものだと思います。

5.事実をもっと拾うべき
今回は資料も多かったので、たばこの具体的なリスクをあげつつ、それとアンケートとの関係でどのような警告が必要とされているのか、といった話をもっと丁寧にすべきだったと思われます。
今年の本試験でも当てはめ・評価の部分は不満足だったので、これから規範を整理して覚えることで時間を節約し、当てはめなどに時間を割けるようにしたいところです。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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