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2009年新司法試験不合格答案再現(3.公法系第2問:行政法)

続いて行政法。憲法で2時間つかったので残り2時間でした。




2日目 公法系第1問・行政法(100点)  問題

*得点:135.54/200(憲法含む)

〔設問1〕
1 建築確認の取消訴訟
(1)Fらとしては、本件建築物の建築を阻止するため、EがAに対してした建築確認(建築基準法6条)の取消訴訟(行訴3条2項)を提起することが考えられる。
 本件では、審査請求の前置(行訴8条1項)や出訴期間(行訴14条1項)、建築確認の処分性に問題はないから、訴訟要件としてはそれぞれの原告につき原告適格(行訴9条1項)の有無が問題となる。
(2)原告適格の評価
ア 原告適格は、取消訴訟が国民の権利救済及び行政の適法性担保を目的とすることから、そこから外れる訴訟の乱発を防ぐために設けられた要件である。
よって、原告適格は、処分により法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害される者に限って認められるが、「法律上保護された利益」には、法律が当該利益を一般的公益の中に吸収解消させるにとどまらず個別的に保護する趣旨である場合も含まれる。その判断に当たっては、処分の根拠法令の文言だけでなく、関連法令も含めた一連の法体系の趣旨目的を考慮すべきである(行訴9条2項)。
イ そこで、本件確認の根拠法令たる建築基準法のほか、目的を共通とするB県中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(以下「紛争条例」とする。)につき、その趣旨目的を考察すると、以下の通りである。
(ア)建築基準法は、1条において国民の生命、健康及び財産の保護を目的に掲げ、そのために、大規模建築物につき耐火基準への適合を義務付け(21条)、建物敷地と道路の関係につき避難や通行の安全の見地から規制を設けている(43条)。
(イ)紛争条例は、1条で地域の生活環境維持向上を目的としており、生活環境に及ぼす影響についての紛争を関心対象としている(2条2号)。
(ウ)以上より、建築基準法と紛争条例は、近隣の住民に対し、建築物から生じる災害から生命、健康及び財産への被害を防ぐことにつき、個別的な保護を与えているものと解される。
ウ そこで進んで、本件原告であるF~Iの原告適格につき検討する。
(ア)Fは、本件土地から10メートルの地点にあるマンションに居住しており、本件建築物の災害により生命や健康が害される危険があるから、原告適格が認められる。
(イ)Gは、Fの居住するマンションの所有者であり、本件建築物の災害から生命や健康が害されるものではないが、かかる災害により所有物たるマンションに財産的被害を受けるから、原告適格が認められる。
(ウ)Hは、本件土地から500メートルの地点に居住しており、居住地において危険を受ける者ではないが、本件建築物の至近にある本件児童室に毎週通い、本件土地について近隣の住民といえる関係を持っている。そのため、本件建築物の災害により生命、健康に被害を受ける可能性があるから、原告適格が認められる。また、Iについても、Hの父親として、Hの生命や健康に重大な利害関係を有するから、原告適格が認められる。
エ よって、本件ではF~Iの全員に原告適格が認められる。
(3)以上より、Fら原告は、B県を被告とし、B県の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所に対し、本件確認の取消しを請求できる(11条1項、12条1項)。
2 建築物完成に備えた執行停止
(1)本件確認の取消前に本件建築物が完成し、完了検査を経て検査済証が交付されると(建築基準法7条5項)、その後で建築確認が取り消されても検査済証が失効するものではなく、また建築確認の不存在が建築基準法9条の是正措置を義務付けるものともいえないため、本件建築物の完成によって本件確認の取消訴訟の訴えの利益は消滅する。
 そこで、原告としては、本件建築物の完成を防ぐため、本件確認の効力の執行停止(行訴25条2項)の申立てを検討すべきである。執行停止の積極要件は、①重大な損害の存在、②緊急の必要、③効力停止につき補充性(以上行訴25条2項)であるから、以下これらにつき検討する。
(2)ア 重大な損害の判断では、回復の困難性や損害の性質・程度などを考慮すべきである(行訴25条3項)。 
 これを本件について見ると、防災上問題のある本件建築物で火災などが発生すれば周辺住民の生命身体を侵害し、取り返しのつかない事態となるから、本件確認は重大な損害を生じさせるものといえる。
イ また、かかる損害の重大性や、本件確認の存続により本件建築物が完成してしまえば、その危険性を是正することが著しく困難となることから、執行停止の緊急性も肯定される。
(3)本件確認はさらなる執行やこれに続く手続を予定するものでなく、建築を中止させるには本件確認の効力を停止するほかないから、補充性も肯定される。
(4)公共の福祉への影響についても念のため検討すると、本件では未だ建築物は完成しておらず、これを中止させても大きな損失はない。
(5)よって、原告らは取消訴訟に加え、本件確認の効力の執行停止を申し立てることができる。
〔設問2〕
 以下、本件確認につき主張しうる違法事由につき、それぞれ、①違法事由とその根拠、②Fに主張適格があるか、③違法事由が認められるか、の順で検討する。
1 本件道路の瑕疵
(1)違法事由と根拠
ア 道路と敷地の接する長さの不足
 本件建築物は延べ面積2万1643平方メートルであり、建築基準法43条2項及びこれを受けたB県建築安全条例(以下「安全条例」とする。)の適用を受けるところ、安全条例4条1項によれば、本件建築物は敷地と10メートル以上の長さの道路と接すれば足りるとされており、これによれば、30メートルの長さで本件土地と道路が接している本件では問題はないとも思われる。
 しかし、同項は、消防活動や避難のために建物の規模に比例した長さの周辺道路への接続を要求する趣旨に出たものと解されるところ、同条は3000平方メートル以上の建築物につき一律に10メートルの長さで足りるとしており、上記の趣旨に反する。本件建築物の延べ面積と同条の表から比例的に考えれば46メートル以上の長さの接続を要するといえ、本件建築物には実質的に安全条例に反する違法がある。
イ 道路幅員の不足
 本件建築物は延べ面積3000平方メートル以上、高さ30メートルであるから、安全条例4条2項の適用を受け、幅員6メートル以上の道路に接する必要がある。これは、防災上、消防車などの十分な活動を可能とする必要性に基づく規定と解される。
 しかるに、本件道路の幅員自体は6メートルであるものの、その道路に至る入り口に遮断機が設置されている。非常時に遮断機が上げられるという保証がないこと、上げたところで3メートルしか通行幅がなく車両の進入が妨げられていることから、防災上の必要性との関係で実質的に必要な幅員の道路が備わっているとはいえず、違法である。
(2)Fの主張適格
ア 行訴10条1項は、自己の法律上の利益に関係ない違法の主張を禁じている。同項の趣旨は、取消訴訟が権利救済の目的であることから、その必要性を超える主張を審理の遅延などにつながる無用なものとして制限することにある。よって、「自己の法律上の利益」の判断基準は、違法事由との関係での原告適格の判断と共通する。
イ そこで上記違法事由を見ると、本件道路の瑕疵は防災上の危険につながる違法であり、近隣に住むFにつき法律上保護された利益といえるから、Fに主張適格が認められる。
(3)違法が認められるか
ア 接する長さの不足については、規模に関わらず一定以上の長さで接していれば避難や消火活動に支障が生じるとは考えられない。安全条例4条3項も、知事による裁量を認めており、条例上要求される10メートルを大きく上回る30メートルの接続に支障がないとする判断に特段の不合理も認められない。よって、この点に違法はない。
イ 幅員の不足については、安全条例4条2項の趣旨が防災の面にあると考えられる以上、その幅員は実質的な通行可能性に求められるべきであり、遮断機によって最大3メートルの通行幅しかない本件道路は同項に違反する。
2 駐車場出入口の違法
(1)違法事由と根拠
 本件建築物は本件児童室の専用出入口から約10メートルの地点に地下駐車場出入口を設けており、安全条例27条4号に違反する。
(2)Fの主張適格
 安全条例27条4号は児童など弱者の安全を保護する規定であるところ、Fは児童や老人など弱者ではなく、自動車の走行により危険を被るものでないから、この点につき主張適格を有さない。
(3)違法が認められるか
 この点、本件児童館が同号の「児童公園、小学校・・・その他これらに類するもの」に該当するかが問題となるが、これは前述した同号の趣旨から、児童の利用が予定されるかどうかで判断すべきである。
 本件児童館は、児童関係の図書が集められ、児童用の座席やトイレ、遊び場など児童の利用しやすい環境が整っていることから、児童による利用が予定され、その専用出入口も児童による通行が見込まれる。よって、その専用出入口は同号の対象であるといえ、地下駐車場の収容台数の多さから、交通の安全上支障がないとはいえず、安全条例27条の除外事由も認められないから、本件建築物は同条に違反する。
3 手続上の違法
(1)違法事由と根拠
 紛争条例6条1項によりAは説明会の開催義務を負うところ、本件では形式的に説明会が開催されたものの、質問の機会もなく情報開示も不十分なため、実質的に開催義務を満たしたとはいえず、同項に反する。
 また、同条例が周辺住民の利害を考慮している以上、このような場合には行政手続法10条による公聴会を開催しなければならないというべきであるが、知事にはこれを怠った違法がある。
(2)Fの主張適格
 Fは本件建築物の近隣関係住民であり、紛争条例により説明を受ける権利があるから、この点につき主張適格を有する。
(3)違法が認められるか
ア 上記違法は手続の瑕疵に存する違法であるが、手続瑕疵による取消しをしても再度同様の処分がされるだから、理由附記など重大な手続の瑕疵を除き取消事由とならないとの見解もある。しかし、これは手続の価値を軽んじ、裁判所による判断代置を安易に肯定するものであり支持できない。
そこで、当該手続の趣旨が国民の権利保護を目的とするものであれば、その正しい履践を保障するため手続瑕疵による取消しを認めるべきと考える。
イ 本件では、Aは実質的に住民への説明義務を果たしておらず、紛争条例6条1項に反する。同条例は近隣住民の健全な生活環境保護を目的としており、住民には説明手続が保障されているといえるから、Aの義務違反は取消事由に当たる。
 また、紛争条例3条及び6条2項から、Aが説明会を有効に開催しない場合、知事は適切な是正措置として、行政手続法10条の公聴会開催が条例上義務付けられると解すべきであるから、この点で知事が公聴会を開催しなかった点も違法というべきである。

<反省>
行政法は割と得意なほうで、この答案もまだマシな出来だと思っていたのですが、今思えば不出来な点が多くあります。

原告適格の認定は、紛争予防条例の近隣関係住民の定義を活用すべきでしたが、完全に抜けていました。道路との設地不足の議論は屁理屈みたいになってしまい、その分手続的瑕疵やその他の当てはめを充実させるべきでした。
最後のほうは全然時間がなく、字もひどければ内容もひどいというものですので、その辺は全く点数がついていないんじゃないかと思います。

<得点を受けて>
公法系が跳ねたのは行政法のおかげなのでしょうか。一応一通りの議論を処理しきったというのはよかったのかもしれません。

今年は書きやすかったので、それなりの時間をかければこのレベルの答案は書けるはずです。なので、来年も同じようにいくと考えると足元をすくわれそうです。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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