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再チャレンジ成功までの記録(5.まとめ)

5.まとめ

以上が、僕が不合格になってから今年合格するまでにやってきたことです。具体的な内容については、勉強日誌として各日に書いていた通りです。

ここまでご覧になっていただいた方には分かると思いますが、僕がやってきた勉強内容は決して多くないし、特別なことをしたわけでもありません。司法試験は毎年2000人が合格できる試験であって、特別な試験ではないし、頭が良くないと受からないというものでもなさそうです。逆に、(僕はそうではないですが)優秀な方でも順位が振るわなかったり、落ちてしまうということもある試験です。そういう試験への対策というのは、必然的に「普通の勉強」ということになるのだと思います。
試験で求められていることをきちんと把握した上で、とにかく基本的なこと、法律学として当たり前のことを、普通に淡々と書いていけば、合格の枠に入る。僕はそう信じてやってきたし、その結果何とか合格することができました。しかし、不合格から再試験までの8ヶ月間を通じて実感したのは、その普通のことをきちんとできるようにすることはものすごく大変なことだということです。終わってみればなんということのないように思われる試験でも、その結果に至るまで受験生はみんな必死に勉強しています。不合格を期に受験に正面から向き合って、そんな当たり前のことに初めて気づくことができました。

昨年の僕と同様、試験で失敗してしまった方に向けてのメッセージを述べさせていただくと、それは「失敗から逃げず、諦めないでやれば、絶対上手く行くはずだ」ということに尽きます。
司法試験合格者の中には運がよかったという人もいるでしょうし、僕の成績がそれなりに良かったことについても、運の要素が含まれていると思います。しかし、その反対である不合格について言うなら、そこには必ず自分に原因があります。それを認めるのは辛いことですが、その分析から始めなければ、確実に合格することはできません。今年失敗した方にとって今が一番辛いときだと思いますが、ここで負けては本当に失敗したままで終わってしまいます。
一番よくないのは、自分には実力がないとか、頭が悪いとか、そういった良く分からない理由で諦めることです。実際、僕も落ちた翌日くらいは、自分には試験は向いてなかったんじゃないかとか、今年の問題でダメだったのは頭が悪かったからだろうとか、そういう不安でいっぱいでした。そんな理由で失敗をごまかすことは実は簡単で、自分が勉強できていなかった事実を受け入れて勉強をやり直すことのほうがより辛いことでしたが、その辛さから逃げたらすべてはおしまいです。もちろんいろいろな事情があるでしょうし、法律家としての道は数ある進路のなかの一つにすぎませんから、司法試験と異なる道を歩むことが間違っているとは全然思っておりませんが、その理由が自分に自信を失ったということであれば、それはとても残念なことです。
僕は偉そうなことを言えた立場にはないのですが、僕自身は友人たちに励まされて前向きになることができたので、敢えてこういうことを書かせていただきました。今年不本意な結果に終わった方も、自分に自信を持って、あきらめずに挑戦すれば、必ず成功するはずです。むしろ、失敗という経験がある分、それがない受験生より有利だと考えるべきです。

これからはじめて司法試験を受験されるという方に対しては、繰り返しになりますが「普通のことを普通に書けるようにしよう」ということを述べておきます。焦らず欲張らず淡々と学習を積み重ねていけば、結果はついてくるはずだということです。
これから受験される方は、今年の問題や出題趣旨を見て、とてつもない試験だと思われるでしょう。実際、本試験はすごくレベルが高い問題です。しかし、その全てに答えきる必要はありません。自分のできる範囲を少しずつ広げていけば、出題趣旨の7割8割に手が届き、その結果何とか合格している、そんな試験だと思います。偉そうなことを言っているローの教授だって、実際に7科目で完全な答案を書けるわけではないだろうし(書ける人もいるのかもしれないが、そういう奇人は少ないので気にする必要はない)、実務家だって自分の司法試験受験時にそんなすごい実力を発揮できていたとは思えません。要求が高まっているとしても、自分がやれることは限られているし、またその限られたことをしっかりやるだけでも、合格に十分な実力はつくはずです。
自分もそうでしたが、ロー生活の中で授業についていくにせよ、自分で勉強するにせよ、自分を律して学習するということは容易ではありませんし、何となく合格するんじゃないかという気分になってしまいがちです(そういう人間は往々にして勉強が足りていないので気をつけるべきでしょう)。でも、今年勉強してきて分かったことは、勉強したこともしなかったことも、全ては裏切らずに結果に現れるということです。今年僕が比較的書けたように思った部分は事前に学習していたことだし、書けなかった部分はノートまとめを怠ったりしていた分野でした。やれるだけのことをやっておくという、これまた当たり前のことが、司法試験においては全てです。結局、自分との戦いだということです。

受験について長々書いてきましたが、最後に、僕自身が不合格を経て感じたことを書いておきます。
昨年不合格になって、様々な方に迷惑をかけてしまいました。自分自身にとっても、1年間法律家としての進路が遅れてしまい、正直なところ不毛な回り道だったということは否めません。
しかし、僕は不合格をきっかけとして、さまざまなものを得ることができました。試験と正面から向き合ってこられかった自分の弱さに気づけたということもそうですし、そんな弱い自分を支えてくれるたくさんの友人・親などのつながりがあることを改めて知ることができました。法律家としての進路についても、一つ上の63期にはローの同期などたくさんの友人がいて、そして今年64期の司法修習生として、新しい人とのつながりを作る機会を得ることができます。その意味で、僕には不合格をきっかけとして二倍の同期ができるのだということで、前向きに思っています。
再チャレンジを成功させ、このように思うことができたのも、このブログの読者も含めた、たくさんの方々の支えのおかげです。本当にありがとうございます。このお礼は、僕が法律家として成長していくことを通じて、返していく所存です。


さて、今後のこのブログについてですが、もう試験について書くこともありませんので、おそらく新しい記事を書くことはないと思います。ただ、せっかく試験について記録を残してきたということもあるので、参考にされる方が少しでもいればということで、何か問題がない限りはこのまま残しておきます。
個人的な進路について言うと、実は合格発表前に昨年の内定先から再度内定をいただいており、そこで弁護士として働かせていただく予定です。というわけで割と余裕はありますので、もし何か僕に答えられることなどあれば、コメント欄に書いていただければ可能な限りお答えいたします。ただ、所詮は普通の受験生にすぎませんし、実際に面識がないと適切なコメントをすることは難しいと思いますので、そのあたりは最初にお断りしておきます。
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No title

はじめまして。いつもブログ拝見させていただいています。HRという者です。
本年度司法試験合格、本当におめでとうございます。

私は、今年司法試験を受験し、不合格となってしまった者です。 このブログに励まされて、すこしずつ勉強も再開しました。

ひとつ質問があります。
眠れる豚さんの再現答案を拝見しますと、各科目いずれも自分では信じられない分量の文章を書けている(しかも、流れよく)のですが、普段から速記等の意識はありましたか?
やはり本番は、早く書くという能力が必要不可欠で、ふだんからそのような意識をもって勉強・起案をしていたかをお聞きしたいです。
もし、コツや心がけもあれば、できたらお聞きしたいです。


当方、敗因の一つとして各科目非常にあっさりになってしまったことを考えており、質問させていただきまし

来年に向けて頑張ってください

>HRさま
コメントありがとうございます。
今年は不本意な結果だったのことで残念ですが、これからの努力次第でいくらでも挽回できると思います。来年の成功を願っております。

以下、質問の答えです。

速記しているという意識はないのですが、普段から思ったことをざっと書いてしまう性格で、気を遣ってゆっくり書いているとイライラしてしまうので、結果的に多く書いているとは思います。その分とても字が汚く、実際の答案はなかなかひどいことになっています。
高い評価を受けている答案の中には少ない起案量のものもありますし、同じ内容であれば短く読みやすいほうが断然良いはずなので、量が多くないとダメということはないでしょう。

ただ、たくさん書くべきことがある試験であることもまた事実ではあります。これについては、書くスピードを早くするというより(それで字の可読性を損ねたら元も子もない)、答案構成をスピーディーにしたり、書くべき内容をさっと思い浮かべられるようにするというトレーニングをすべきではないでしょうか。問題集で答案構成の練習をしたり、基本的な論証を理解してさっと表現できるようにするということについては、学習で気をつけてきたつもりです。

自分の答案の流れがよいかどうかはよく分からないのですが、理解した内容をできるだけそのまま表現しようということは気をつけたつもりです。「どうしてその問題が気になったのか」ということはそのまま問題提起につなげているし、悩んだ内容(結論に反する事実の存在や、ありうる反対説)はそのまま法解釈や事実評価として書いています。また、思考過程を省略しない(イチから書くということ)も、流れのようなものを自然に作っているのかもしれません。
分かっていることと書けることは違うし、書けることと実際に書くこともまた違うので、きちんと書けるように理解を定着させるという学習と、そうやって深めた理解をきちんと答案に書くという場面は、意識的に分けて気をつけるとよいかもしれません。前者の場面については、論点を丸暗記するのではなくどうしてそういうことになるのか考えながら理解すること、後者の場面については答案作成上のテクニック・心構えとして、それぞれフォローしてきたつもりです。

その上で、勉強会などで人に答案を見てもらい、また人の答案を見るという中で、いろいろ学ぶところもありましたので、そういう機会を持つとよろしいかもしれません。

ありがとうございます

とても丁寧な返信ありがとうございます。本当に参考になりました。

特に

>「どうしてその問題が気になったのか」ということはそのまま問題提起につなげているし、悩んだ >内容(結論に反する事実の存在や、ありうる反対説)はそのまま法解釈や事実評価として書いて>います。また、思考過程を省略しない(イチから書くということ)も、流れのようなものを自然に作っ>ているのかもしれません。

の部分については、眠れる豚さんの答案が、悩みを見せ、丁寧に考えた上答えを出しているという点で、流れのよい高評価の答案になったことが良く分かりました。

私は、全科目「守りの答案」を目指していたのですが、結果として論点に対する自分の考えをミスを恐れるあまりしっかり論じない、逃げの答案になっていたのだと思います。
特に、眠れる豚さんの会社法の答案を見ると、見せ金の効力、株式発行の効力のいずれも、対立する考え等を考慮して自分の考えを示せており、理由ひとつであっさり流す私の答案との違いを感じさせられました。

ふだんから、自分の思考過程を順序だてて論ずるよう、答案構成段階でも心がけたいと思います。

貴重なアドバイス、本当にありがとうございました。

勉強方について

はじめまして。昨年からブログを拝見させていただいています。新司法試験合格、本当におめでとうございました。
私は現在、法科大学院の3回生で、来年5月の試験に向けて勉強中です。しかし、この期に及んでなお、なかなか勉強方法を確立させることができず試行錯誤を繰り返している状態であり、試験までに勉強が間に合うのか不安でいっぱいになってしまっています。そこで、眠れる豚さんのご意見・アドバイスを頂戴したいと思い、質問させていただきます。
(なお、コメントが不適切でしたら、削除していただいて結構です。)

【現状】
私は大学の学部が法学部で、既修者として京都大学法科大学院に入学しました。しかし、今まで予備校等に通ったことがなく、また学部の講義にもほとんど出ていませんでした。ロー入試のときは試験対策として漫然と基本書を読み、辰巳の「えんしゅう本」を2回くらい読んだだけでした(ロー入試も、かなりギリギリの合格でした)。ロースクールに入学してからも、講義の予復習に手一杯で新司法試験の対策などはほとんど行ってきませんでした。そして、(講義のレベルに付いて行けず、自分で講義を消化しきれていなかったので)定期試験対策は友達が作った論証ノートをもらって、それを覚えていくだけでした。それでもなんとか真ん中よりは上の点数を取ることができていました。しかし、定期試験終了と同時に付け焼刃で覚えた知識もどんどん抜けていっているのを自覚しています。
このままではいけないと考え、夏休みから肢別本で短答式試験の勉強を始めました。夏休み中に、民法と商法以外の科目は一度解いて間違いを復習しました。現在は①平日に肢別(商法・民法の1回目と各科目の2回し目)を解いていく+論文過去問の検討(週2問(たとえば憲法H18とH19)ペース)+講義(週6コマ)、②土曜日に択一の過去問検討、③日曜日に一週間分の講義の予復習と論文過去問の検討を行っています。

【質問】
眠れる豚さんのブログをはじめ、他の多くの優秀な合格者の方々のお話を伺ったり、出題の趣旨・ヒアリングを読んでいると、眠れる豚さんがおっしゃっているように、「当たり前のことを当たり前に書く」ということが大切なのだということがわかりました。そして、今までの私の勉強は、細切れの知識を、テストなどのその場に必要な限りで一夜漬けで頭に押し込むというものでした。教科書の通読やまとめノート作りなども、何回か試みましたが最後までやり切れたためしがありません。
そのため、答案を書いたり、友人と議論をしていても、当たり前のように引用される法律用語・制度の意義や判例の知識などが抜けているなと感じています。また、全体の法体系についても、あまり把握できないでいるなと感じます。
そこで、眠れる豚さんに質問です。

1.まず、【現状】で述べた現在行っている勉強について、何かずれているなといった違和感や、止めた方がよいなどという感想を抱かれますか(抽象的な質問ですみません)。
2.基礎知識の習得のために、眠れる豚さんは「だいたい10日で1科目」のペースで「基本書の要約に近い形で」まとめ作業を行ったとおっしゃっています。私もこういった作業を行いたいと思っているのですが、どうも私は眠れる豚さんのように早く教科書を読むスキルがないようで、自分のペースで計算してみたところ、まとめ作業を行っていては絶対に試験に間に合わないことが判明しました。そこで、
(1)眠れる豚さんは基本書の要約作業を「実はそんなに大変な作業でもない」とおっしゃっていますが、何かコツと言いますか、まとめるときに意識していることはあるのでしょうか? たとえば、教科書の内容を全部まとめられたわけではないと思うので、まとめる対象を選別するときの基準のようなものなどがあったりしたのでしょうか?
(2)私は時間のなさを痛感しており、最悪、①択一の勉強のときに重要そうな論点をピックアップしてPCに書き留めておいて、それを後から見直す、②辰巳から出版されている「趣旨・規範ハンドブック」に載っている定義や論点について自分の論証を作り、それを覚えるという作業で「当たり前の知識」の把握に充てようかと思っているのですが、それではやはり「細切れの知識」にしかならないでしょうか? 
(3)今までのまとめのような質問になってしまうのですが、眠れる豚さんは「基本知識の習得」の方法論について、「3.2§1論文用のインプット」で述べておられるのですが、より具体的に(①使用教材、②ノートの形式、③まとめるときのルールなど)教えていただけないでしょうか?

以上です。とても長くなってしまい、本当に申し訳ありません。分かりにくい質問などもあり恐縮ですが、お答えいただければ幸いです。よろしくお願いします。失礼しました。

質問へのお答え

>ポコさま
どうもはじめまして。昨年から読んでいただいていたようで、ありがとうございます。
以下、ご質問に答えさせていただきます。

1.現在のポコさまの学習についての感想
短答式の学習を始めているというのは、まずは順調なスタートだと感じました。ただ、(僕もやってなかったので偉そうなことは言えませんが)受験生の中には、春から、あるいは2年のうちから(!)短答対策をしている人もいるようなので、決して早いスタートではないということは意識すると危機感が持ててよいかと思います(その点は大丈夫そうだとお見受けしますが)。個人的には、短答に限って言えば夏以降でも合格点は十分取れるようになると思います。

論文対策については、学部・ローの定期試験対策と新司法試験対策は異なるので、論証ノート的なもので短期的に詰め込む方法では失敗する可能性があるかと思います。というか僕自身がそういうところがあった気がします。
これは伝聞ですが、京大ローの同級生などに聞く限り、少なくとも民事系と刑訴では京大ローの授業で試験に十二分に対策できそうな感を受けました。講義内容をしっかり理解すること、それと並行して基本書などで抜け漏れをサポートする(講義でやっていないところもあれば一応押さえる)といった作業で体系的に学習する作業をするのがよいかと思います。今のところそのような学習はやっていないようなので、少しずつでも始めていくとよいのではないでしょうか。
講義がいくら素晴らしくても、毎回の講義に対して予習・復習をするというスタイルだけだとどうしてもまとまった理解につながりにくいところがあると思いますので、一度全体を復習しなおすなどして、「全範囲が出題される」本試験対策として学習する必要があるということです。

あと、論文過去問検討については、もしひとりでやっているということでしたら、友人との勉強会などにしてしまって人に答案を見てもらう機会を作るべきです。自分の答案のクセは自分では気づかないので、人に指摘してもらう機会や、人の答案を読んで気付きを得る機会は必要です。

2.ノートまとめについて
(1)の「まとめる対象」については、みんなが知っていそうなこと、問題を解く際に必要になりそうなことをまとめるといったことに尽きます。
特に後者については、過去問を解いたりする中で、どういう形で出題されるのか、どういうことを書くことが要求されているのかというのが自分なりに感覚としてつかめてくるので、その後で基本書を読むと違って見えてくる気がします(短答も同じで、問題を一通り解いた後に基本書を読むと「こういうのが聞かれそうだな」という感覚があると思います)。
予備校の問題や演習書(どう見てもマニアックな解説のあるものを除く)を眺めることでも、まとめる必要がありそうな事項の相場観を掴むことは可能でしょう。そういう相場観を掴むこと自体が、答案作成時に触れるべき内容を漏らさないという意味で得点力につながるように思います。

(2)については、個々の定義や論点を覚えているだけだと、それがどういう位置づけで出てくるのかが分かりにくいので、いざ試験で問われたときに困ることがあるかもしれません。
理想的には、基本書のような順番で、体系的にまとめたほうがよいのではないかと思います。そうやって学習しておくと、この議論をするときには他にも書くべきことがあるはず…といった形で記述を思いつくことがありますし、答案の流れみたいなものもよくなる気がします。何より、そうやって勉強するほうがまだ楽しいと思います。

(3)について。
使用教材については、過去のエントリで一通り書いてあるのでそちらを参照してください。自分の持っている講義ノートなども当然活用すべきです。京大ローならなおさら。
http://lawnin.blog83.fc2.com/blog-entry-225.html

ノートの形式は、ベースとした基本書の項目順に沿って(要らないものは省いている)、適宜章立てをしてまとめています。以下のエントリのコメント欄に憲法ノートの一部を載せてありますのでそちらも参考になるかもしれません。詰まるところ、自分にとって分かりやすいかどうかが全てではあります。
http://lawnin.blog83.fc2.com/blog-entry-224.html

まとめるときのルールというとそこまで意識していなかったところもありますが、判例がある論点については、自説がどうであれ判例の結論は必ず言及するようにすることには気をつけました。
また、細かいけど書かないと不安だなぁという事項については、思い切って省くか、注の形にしてポイントを落として載せておくという形でメリハリをつけています。


以上、参考になれば幸いです。
これから試験までの期間でのやり方次第で、合格には十分手が届くと思います。少なくとも不合格だったときの僕よりずっと意識が高いようにお見受けされるので、このまま順調に行けば僕のような失敗は避けられるはずです。頑張ってください。

No title

>眠れる豚さま

ご丁寧にお答えいただき、ありがとうございます。また、以前の記事で言及されている事柄について重ねて質問してしまい、申し訳ありませんでした。

1.「現在の学習についての質問」についてのご感想について
その場限りの勉強では失敗する危険がある旨のご指摘、ありがとうございます。私も感覚として漠然とそう感じていたので、「やっぱりか」という感じで、とても参考になりました。また、ご指摘の通り、京大の民事系及び刑事訴訟法は、きちんと消化できれば、新司法試験対策という意味でもとても力が付く講義だったと思います。講義にはまがいなりにも懸命に取り組んできたので、「講義内容をしっかり理解すること、それと並行して基本書などで抜け漏れをサポートする(講義でやっていないところもあれば一応押さえる)といった作業で体系的に学習する作業」も勉強計画に取り入れていきたいと思います。アドバイスありがとうございました。
また、論文過去問の検討は友人たちと勉強会を組んで行っています。こちらもペース・方法を含め試行錯誤を繰り返していますが、自分一人の検討では気づかないようなところ、自分が分かっていないことすら分かっていなかった箇所などを発見でき、有意義であると感じています。

2.「ノートまとめ」について
今まで挫折を繰り返してきたノートまとめも、過去問を検討してから「新司法試験の問題を解く際に必要になりそうな箇所はどこか」という意識を持って見ると、ポイントを特定しながら進められる旨のご指摘には、なるほどと思いました。今までは過去問を検討しないまま、ただ知識不足から来る不安を解消するためだけにまとめノートを作ろうとして頓挫してきたので、今後意識を変えて取り組んでみたいと思います。

3.最後に
長々とした質問にご丁寧にお答えいただき、本当にありがとうございました。特に、「これから試験までの期間でのやり方次第で、合格には十分手が届くと思います。」という言葉には、とても励まされました。方向性を見失うことなく、最後まで頑張り抜きたいと思います。
最後になりましたが、眠れる豚さまの今後の司法修習生・弁護士としてのご活躍をお祈りしております。長文失礼しました。

No title

眠れる豚 様

いつも司法試験受験中は、ブログを拝見し、励まされてきました。

本当に合格おめでとうございます。

私は、今年も不合格になり、2振しました。

もう、受験はしないと思います。

就職活動にて、ようやく内定を頂ました。 (半年かかりました。)

試験に合格すると、いろいろと動き出し、人間前向きになれるのですね。

本当に合格はすばらしい。

いい法曹になってください。

他で、司法修習中もブログを続けていただけることをお願いします。




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コメントありがとうございます

>gonntiさま
お祝いの言葉、どうもありがとうございます。

gonntiさまは不合格だったとのことですが、就職活動で成功されたとのことで、おめでとうございます。大変な道のりであったとお察しします。

最近は昨年合格した友人や、今年の試験で合格した人、残念ながら落ちてしまった友人など様々な人と会う機会がありましたが、それぞれに自分なりの進路に向かって努力しており、改めて昨年の、そして現時点での自分の至らなさを感じているところです。
試験の結果やその先の進路は人によって異なりますが、試験を通じて自分と向き合う機会があったことは、それ自身が意味のあることなのだと思います。司法試験から撤退して働いている方にもお会いしたのですが、その方も同様のことをおっしゃっていて、とても充実した生活を送っておりました。
そういう次第で、自分も試験結果に満足するのではなく、法律家として職責を果たせるように励んでいきたいと思っております。gonntiさまにおかれましても、進む道は異なりますが、つらい試験に挑んできた経験を生かして頑張ってください。成功をお祈りしております。

修習がはじまりますと今までより自由時間がなくなるであろうこと、また内容についても今まで以上の配慮が必要であることから、ここに書く内容があるかどうかはわかりません。ただ、少なくない方にご覧になっていただけているようなので、もし何か受験等に関係して何かしら有益なことが書けそうでしたら、機会を見つけて記事を書ければと考えております。

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Re: 就活について

管理人向けコメントで以下のような質問がありましたので、お答えいたします。

Q:一振り後の就活はどのようになっているか?

A:
プライバシーの問題もありますので、いろいろぼかして回答させていただくことをご了承ください。

僕が今年内定をいただいたのは、企業法務を中心としている、いわゆる大手事務所です。
昨年は不合格により迷惑をかけてしまったのですが、幸いなことに昨年の担当の先生に評価していただいていたようで、今年もエントリーさせていただいた上、再び内定をいただくことができた次第です。
ただ、後で書きますが、今年は就職もかなり厳しいようで、例年はそれなりに再オファーというものがあったと聞いていたのに、僕の内定先で再オファーをもらえた人はとても少なかったようです。昨年の僕の就職活動は、夏のインターンシップに行っていたこともあり、ほとんど試されることなくすぐにオファーをいただくことができたのですが、今年は連絡もなかなかこなかったし、訪問させていただいた際にも、不合格理由の自己分析や今年の受験の感触などを中心に、割と厳しい質問がありました。

就職活動の一般論として言うと、比較的早めに、それなりの人数を採用していた企業法務系の事務所も、昨年までで一通り必要な数を取り終えたようで、今年からは特に採用を絞っているということを聞きました。リーマンショック以降の不景気ということもあり、採用環境は明るくないのが現実です。昨年までなら呼ばれた上でオファーもありえたような成績でも、面接に呼ばなかったりするようです。
周囲の合格者も、合格後の就活もなかなかに厳しいということを話しており、企業法務に関しては必ずしも希望通り就職できない可能性もあること、また一般民事でも希望の地方によっては大変であること(東京は倍率が高そうです)、公募以外の可能性を探るべきではないかという話がありました。

さて、一振り後の就職活動ですが、僕は正直なところ上記のような厳しい事情を知らずに(実家にいたので…)内定先以外の事務所にアクションを起こしておらず、本当に運良く拾っていただいたようなものなので、コメントする適格はないように思います。その上で、あくまで私見として、推測するところを述べさせていただきます。
いわゆる四大事務所やその他大手のような、合格発表前から内定を出す事務所の場合、学部・ローの経歴や成績を中心とした形式要件でそれなりの足きりラインがあると考えられます。短答の成績も要求されるので合格しそうにないと思われた場合は呼ばれないでしょうが、呼ばれさえすれば短答の出来はあまり考慮されないのではないでしょうか。
問題は一振りしたことがマイナスになるかどうかということですが、致命的ではないものの考慮されている可能性は否めません。年齢が一つ増えるということもありますし。ただ、僕に関して言えば、今年の再オファーが遅かったりしたのは、一振りして採用担当の先生が交替し、インターン時に評価していただいた方が直接採用に関わらなくなったこととが大きいと感じています。

もし事務所に内定をいただいていたのに落ちてしまったという方がいらっしゃるのなら、速やかに不合格の報告をして謝罪した上で、その後少し落ち着いたら就職についての相談などしてみてはどうでしょうか。
事務所の方針で再オファーがないのだとすれば(そのような事務所もあるようです)、その旨教えてくれるでしょうし、再度チャンスがあるのだとすれば、熱意を伝えることで来年も訪問を受け入れてくれるかもしれません。また、場合によっては、他の事務所を紹介してくれたり、企業法務部向けの紹介状を書いてくれるということもあるようです。

一振り後に面接を受け入れていただいた場合には、なぜ昨年失敗したのか、今年は自信があるのか、どのように勉強してきたのかといったことを聞かれることは避けられません。このような質問に対して誠実に応答し、自分が失敗を踏まえてどのように勉強してきたか、一度迷惑をかけた事務所に再び応募するに足りるだけの積み重ねをしてきたのかということを伝えることができれば、再度声を掛けていただける可能性はあるはずです。
このような応答が出来るようになるためにも、今は就活のことに気を取られるのではなく、失敗を受け止めた上で来年確実に合格するための学習に集中すべきだと思います。

一振りした人に限らない一般論として大手事務所への就職についてコメントすると、多くの事務所は学歴・成績という形式要件で絞りをかけてくるので、そのことについては覚悟する必要があると思います。僕はロー入学時は今のような進路を特に意識していませんでしたが、企業法務を志してロー入試に挑むという場合、どのローに入学するかということは極めて重要です(更に言うなら、学部がどこかということも問われるでしょう。個人的にそれが正しいと思っているわけではないのですが、そのような世界であることは否定できません)。
インターンを受け入れている事務所の場合、それに参加することは必須ではないとはいえ、是非応募すべきです。インターンシップへの参加は事務所への理解を深めるための貴重な機会ですし、事務所から評価してもらえるきっかけになります。そして、インターンの参加資格としても成績は重要です。とりわけ、2年次からインターンを受け入れている一部事務所に対しては、学部の成績(どこの大学かということも当然含む)が主要な参考資料ですから、学部生の大手志望者はそのことも強く意識すべきです。

ただ、最終的には、インターンなり面接なりに呼ばれた際に、事務所の先生方とうまくコミュニケーションを取り、波長が合うということが決定的なのだと思います。僕はそれほど多くの事務所を回ったわけではありませんが、同じ大手事務所でもカラーは違いますし、評価してくれるポイントも微妙に異なるように感じました。法曹のキャリアを踏み出す一歩となる事務所選びですから、どこでもいいというのではなく自分にとっても納得の行く事務所を選ぶべきですし、事務所の側としても、そのような意識から積極的に疑問をぶつけてくるような訪問者であることを望んでいるのだと思います。

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民法のまとめについて

昨年からブログを拝読している受験生です。いつも貴重な記事を提供して下さって感謝しています。司法試験合格、おめでとうございます。ノートのまとめ方について以前から不安を抱いていたため、勉強方法の記事やコメント欄で(憲法25条のまとめ)具体例を紹介して下さって大変有り難く思っています。

同じ内容の質問で申し訳ございませんが、民法のまとめ方についてお伺いしてもよろしいでしょうか。私は今年の新司を受験しましたが、民事の出来が特に悪い成績でした。敗因は、要件事実の理解不足の限られるわけではありませんが、要件事実の学習が他の受験生に比べてかなり劣っており、改めて勉強し直す必要性を感じています。多くの合格体験記等で、要件事実対策として「紛争類型別」と「問題研究15題」を読んだと伺うのですが、私はこれらの教材を十分に使いきれていない状態です。法科大学院での予習復習も不十分だったと反省しています。
そこで、2点お伺いしたいと思います。

(1)眠れる豚様の2009年9月19日の記事で、「民法は要件事実中心にまとめるのがよいかと思い、類型別をベースに手持ちの教科書で実体法的議論を追加していく」というまとめ方をなさっていると拝読しました。もしよろしければ、類型別ベースの民法のまとめノートを一部見せていただくことは可能でしょうか。
(2)また、民事法を解いていらっしゃったと拝読しましたが、要件事実の理解度を試すには、この演習書が適切でしょうか。(旧司の論文民法は要件事実の訓練よりも、知識・論点の確認に向いているようにも感じています。)

お忙しいときに申し訳ございませんが、どちらかのみでも、お伺いできれば幸いです。

*事務処理上の都合により管理人が代理投稿

質問ありがとうございます

>受験生さま
民法はそれほど得意ではないのでうまく答えられるか自信がありませんが(そんなことばかり言ってしまっています…)、一応お答えさせていただきます。

先に(2)から。僕がやった問題集についてですが、『事例研究民事法』は、要件事実の出題もありますが、網羅的ではありません。日本評論社の『民事法(Ⅰ~Ⅲ)』も要件事実への言及はありますが、要件事実用のものではありません。
定評ある教材としては、『要件事実論30講』や、岡崎基一『要件事実問題集』などがあると思います。前者は知識整理という意味でも有用です。後者はやってはいないのでコメントできませんが、ちょっと難しすぎるという噂はきいたことがあります。

要件事実対策というのも、結局は実体法の理解をちゃんとするのと、要件事実的思考やポイントとなる要素など、各ロースクールで行われている実務家教員の授業内容を定着させること、そして解答のフォーマット(僕の場合は結論⇒該当しうる要件がなぜ必要/不要かについての実体法的説明⇒必要な場合は要件に当てはまるかどうかの事実の評価、という順番)を用意するということが大事で、全てのありうる要件事実を覚えないとだめというものではありません。というか無理です。
そこで、ここでも教材を絞って、要件事実プロパーは問題研究と類型別、おまけで要件事実論30講など+αくらいで勉強するというので必要十分だと考えます。問題研究は(現在修習に向けての予習で痛感していますが)覚えるとかではなく当然のように理解すべき事柄です。類型別は細かいのもあるのと、ややもすると実体法的理解なしに読んでしまいがちなので、重要だと思ったところは基本書と照らし合わせつつ精読するのがよいです。類型別に載ってるものが出題されたら知らないとは言い訳できないし、載ってないものが出たら自分で考えて解けということでしょう(載っていても自分で考える必要はありますが)。

続いて(1)のノートについて。基本書ベースでないこともあってフォーマットも含めて人に見せられるレベルの出来でないのですが、参考までに、実体法的理解で気づくことが多かったと思っている債権譲渡の部分の一節を以下に載せておきます。
(斜体の部分は字のポイントを落としている注の部分です)

*************
8.5 債権二重譲渡の場合の攻撃防御方法
債権者AがXとBに債権を二重譲渡し、譲受人のうちXが債務者Yに請求した場合

8.5.1 第三者対抗要件の抗弁

§1 要件事実 
① BがAとの間で債権の売買契約を締結したこと

② ()AからBへの債権譲渡につき、それ以後AがYに対し譲渡の通知をしたこと、または()AからBへの債権譲渡につき、YがA又はBに対し承諾したこと
*債務者対抗要件を具備したにすぎない譲受人の地位につき、各譲受人は確定日付がなくても債務者には対抗できる以上、いずれの譲受人も債務者に履行を請求できるという立場があるが、譲渡人の通知は譲渡の事実を事実上推定させるものの、二重にされるとその推定が崩れ、過失が認められ準占有者への弁済として免責されないこともありうるから、債務者の危険において弁済を強制させることは債務者に不当な不利益を負わせることになるため、各譲受人は互いに優先できず、債務者はいずれの譲受人に対しても弁済を拒絶できると解すべきである(第三者対抗要件の欠缺を主張する正当な利益を有する)
*債務者がいずれかに弁済すれば有効になることはありうる
*譲受人相互の優先関係が問題になるのは、債権譲渡が行われかつ債務者対抗要件が具備された段階であるから、①と③だけでなく②も主張立証しなければならない
*譲渡前の債権譲渡通知は無効であるから、この点に注意する必要がある

③ AからXの債権譲渡につき、Aが確定日付のある証書による譲渡の通知をし又はYが確定日付のある証書による承諾をしない限りXを債権者と認めない
*後述する第三者対抗要件の抗弁は、債権が二重に譲渡された場合の優先関係を問題としているが、債務者対抗要件の抗弁は債権の行使要件の存否を問題とするものであり、前提とする法律関係が異なるから、これらの抗弁は選択的関係にある

§2 再抗弁
譲受人は、確定日付のある証書による譲渡の通知又は承諾による第三者対抗要件の具備を再抗弁として主張立証することができる。

8.5.2 第三者対抗要件具備による債権喪失の抗弁 
§1 要件事実
① BがAとの間で債権の売買契約を締結したこと

② ()AからBへの債権譲渡につき、それ以後AがYに対し確定日付のある譲渡の通知をしたこと、または()AからBへの債権譲渡につき、YがA又はBに対し確定日付のある承諾をしたこと
 
§2 再抗弁
① XがAとの間で債権の売買契約を締結したこと

② ()AからXへの債権譲渡につき、それ以後AがYに対し確定日付のある譲渡の通知をしたこと、または()AからXへの債権譲渡につき、YがA又はXに対し確定日付のある承諾をしたこと
*Xの第三者対抗要件具備がBに先立つことについては主張立証不要(Yの再々抗弁)である。なぜなら、到着の先後不明や同時到達の場合、各譲受人は第三者対抗要件具備によって債務者に対する関係では完全な権利者としての地位を取得し、債務者に対してはいずれも債権全額を請求できる(判例)から、他方の譲受人に優先することまでいえなくても債務者に請求ができるからである
*確定日付のある証書による通知がされた場合の二重譲受人相互の優劣につき、通知に付された確定日付の先後で決する見解(確定日付説)もあるが、債務者への通知が第三者対抗要件とされた趣旨は債務者に情報を集めることにあるから、債務者にとって優先劣後を明確ならしめ、かつ通知そのものを急がせて債務者の情報充実を図るため、確定日付のある通知・承諾の日時の先後で決するべきである(到達時説・判例)
*同時到達や到達の先後不明の場合、通知の発信や債権譲渡の先後を優劣決定の副次的基準とする見解もあるが、これは債務者の認識困難な事情により優劣を定める点で債務者保護に欠け、対抗要件具備の先後で優劣を決する467条の趣旨に反するから、同時到達では譲受人相互間に優劣関係はないものと解すべきである(判例)
*同時到達や到達の先後不明の場合に各債権者がいずれも債権全額を請求できるというのが判例であるが、互いに他の譲受人に対して自己のみが唯一の優先的譲受債権者であると主張することは許されない(判例)。また、そのような場合に供託された供託金還付請求権については、公平の原則に照らして按分で分割取得される(判例)
*第三者対抗要件具備による債権喪失の抗弁は債権が確定的に第三者に帰属したという法律関係を問題とする一方、第三者対抗要件の抗弁は債権の帰属が不確定な場合の優先関係を問題とするものであるから、前提とする法律関係が異なり、別個の法的観点を指摘する選択的な抗弁となる

8.5.3 債権の二重譲渡人に対する弁済の抗弁
・債務者Yは、二重譲渡の後にBに対して弁済したとの抗弁を主張できる

・弁済の抗弁に対し、譲受人Xは再抗弁として、弁済に先立つ第三者対抗要件の具備を主張立証できる
*弁済前に譲受人のいずれかが第三者対抗要件を具備した場合、その優劣は債務者にも効力を及ぼし、債務者は優先する譲受人に弁済しなければならないから(判例)

・この再抗弁に対し、Yは再々抗弁として、弁済に先立つBの第三者対抗要件具備を主張立証できる
*両譲受人が第三者対抗要件を具備している場合、優劣関係が不明の場合はいずれも優先できず、債務者はどちらに弁済してもよいから、Bの対抗要件具備がXに先立つことは主張しなくてよい。Xの先立つ対抗要件具備の事実はXの再々々抗弁になる

(以下略)
*************

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趣旨からの論述について

はじめまして。

非常に有益内容でとても参考になります。

数点質問させてください。

行政法について再現答案を拝見しましたが、趣旨から徹底的に論じてあり非常に感銘を受けました。

これらの趣旨は現場で推論されたのでしょうか。未だに趣旨から行政法を書くという手法が徹底できておらず、行政法の勉強が進まず、混迷しています。

また、

「趣旨から論じなければいけないという姿勢でしっかり勉強する」

という記事を拝見しましたが、より具体的に教えていただけたらありがたいです。

また長くなってしまいましたが…

>あおいさま
ご質問ありがとうございます。

行政法の答案で書いた趣旨については、現場で考えています。他の多くの受験生と同様、地方自治法を意識的に学習したことはありませんでしたので。ただ、公平のため競争入札が原則であるという程度の知識は一般常識として(法律学習の過程で得た知識ではなく)知っていました。

行政法の答案作成に際しては、誘導から論じるべき問題点を把握し、その問題点に関係する個別法の条文を発見し、問題点の論述に必要な趣旨解釈を行うというパターンの確立が前提となります。
その上で、個別法の趣旨規定や規制態様、文言などを踏まえて趣旨を論じ、あるいは想像することになるのですが、これは慣れの部分もあるかと思います。個別法解釈では、緩い方向で解釈するか狭い方向で解釈するかという大まかな方向性があって、それをどうやって理由付けるかが趣旨等の役どころです。義務を認めさせたり例外条項を適用させたい人の相談に乗る際には緩く解釈する方策を検討し、規制文言を逃れたい人の相談に乗る際には狭く解釈する方策を検討するというのが基本的な考え方なので、その方策の一つとして趣旨をひねりだすことになります。

行政法における具体的な思考過程については、過去エントリ「再チャレンジ成功までの記録(4.具体的な学習方法・各論)」のコメント欄に書いていますので、参考にしていただけましたら幸いです。
*コメント欄で解答を差し上げることが多くなっており、僕自身は一向に構わないのですが、ご覧になっている方にとっては情報が集約されておらず分かりにくいかと思いますので、また余裕が出来ましたら、僕の方で回答事項をまとめて記事の形にさせていただく予定です。

「趣旨から論じなければいけないという姿勢で勉強する」というのは、上記のエントリ(学習方法各論)で書いた部分のことを指しているのだと思います。どちらかというと解答時の心がけなのですが、学習の際にも気を付けてはいました。
これは言ってしまえば、暗記ではなくきちんと理解するよう心がけるという、よく言われることと一緒のことです。これは、判例や学説の解釈論を単に覚えるのではなく、なぜそのようになるのか、そのように解釈しないと何が困るのかというところをしっかり押さえるということです。そもそも丸暗記は効率が悪いということもありますし、理由から押さえていれば、似た論点・事案に対しても対処できるので守備範囲も広がるということです。

行政法は個別法解釈という要素があるので「趣旨を論じる」という部分が目立ちますが、やっていることは他の法律科目と一緒だと思っています。ただ、他の科目は趣旨も含めて解釈してくれている確立された判例があったり、学者が論じてくれているのでそれを援用できる(すべき)というだけです。はじめて見る論点があったら、それは行政法でなくても趣旨解釈をしなければなりません。
ただ、本当は確立された議論があるにもかかわらず、勉強不足で知らないだけで「趣旨から論じないと」と解き、新しいことを書いてしまうというのは大失敗につながりうるところです。そうならないように、満遍なく基本的な学習をしておけば、本番で知らなかった部分について安心して、その場での趣旨思考に臨めます。

以上でお答えになっておりますでしょうか?

No title

ご回答ありがとうございました。迅速に返信をしていただいたのに、私の方が遅くなってしまい申し訳ないです。
コメントをいただいて、私の中で何か大きなヒントを得れた気がします。
何でもかんでも趣旨でというのはよく聞くのですが、新しい趣旨を書くとき(書こうとするとき)の基準のようなものがよくわかり非常に感銘を受けました。

行政法の答案については、記事と重複しないよう気をつけていたのですが、重複して失礼しました。コメント欄を拝見しました。非常に充実した内容で見落としていた自分が残念でした笑。
ぜひ参考にさせていただきつつ勉強していきたいなと思います。
本当に質問ありがとうございました。

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質問への回答

管理人向けコメントとして以下のような質問がありましたので、お答えさせていただきます。
なお、質問に関しては、公開したくないという特段の事情がなければ、匿名でも構いませんので公開コメントで書き込んでいただけましたら幸いです。

Q:司法試験の論文の再現答案の多くが、表現の自由に関する法令違憲を主張する際、『表現の自由というのは、自己実現、自己統治の価値を有しているので…』と論証して、違憲審査基準を定立しています。違憲審査基準を定立する際には、なぜ、このような論証が必要なのでしょうか?このような論証をする意義が分かりません。

A:あくまで私見ですが、思うところを述べさせていただきます。

違憲審査基準を定立する際には、権利の性質、重要性を論じる必要があるでしょう。権利が重要であるからこそ、それを制限する際の慎重さが求められてくるからです。特に、新司の出題形式では、最初に原告の主張を論じますから、原告として厳格な違憲審査基準を提案することを正当化するために、権利の重要性を強調する必要があります。
権利の性質は、審査基準を強める場合だけでなく、弱めるように働くこともあります。例えば、レペタ事件では、筆記行為の自由は、「憲法二一条一項の規定の精神に照らして尊重されるべきである」が「憲法二一条一項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから」厳格な基準では判断しないのだと判示されています。違憲審査基準の理由付けに着目して百選判例を読むと、権利の性質や重要性から審査基準を導いている判例もいろいろ見つかるはずです。

そこで「自己実現」「自己統治」というキーワードがふさわしいのかというのは、別途問題になるでしょう。芦部先生も用いるキーワードですし、論証に入れること自体はよいと思うのですが、こういう抽象的なキーワードを並べるだけでなく、それを具体化して文章にするほうが、説得力は高まるでしょう。
特に、事案との関係で、そこで制約されている権利がどういうものかをしっかり論じるというのは必須だと考えています。例えば、同じ表現の自由であっても、政治活動のビラ撒きが規制されている場合と、わいせつ表現が規制されている場合では、そこで制約されている表現の自由の性質は異なってくると思います。特に後者のような規制の場合に、何も考えずに「自己統治」を指摘するのは、印象が良くないのではないでしょうか。この場合は自己実現ないし自律の側面から権利の重大性を基礎付けることになるでしょう。

論証として必要だから書く…という姿勢では、ヒアリングで過去に言われている「自動販売機」という批判を免れないでしょう。新司憲法の試験は、原告被告双方の立場を踏まえて自説を論じる出題形式なので、それぞれの立場の問題意識から必要になるので解釈論を展開するのであって、それは「論証」というより「説得の理由付け」というニュアンスになると思います。
そういう意識で答案を書くようにすれば、自然と答案の文章も事案に即した具体的なものになり、説得力が増すのではないでしょうか。もちろん、そのような記述を行う前提は、判例や学説からエッセンスとして抽出された、いわゆる「論証」として整理された知識ではあると思うのですが、(こういう語法が正しいかは措くとして)「論証」とはそのまま書き出すために覚えるものではなく、自分の知識の整理のために抑えておく内容ではないかと考えています。

質問者様が論証の意義について疑問を感じておられるのは、お決まり的に書くというところへの違和感に原因があるのではないかと思い、上記のようなことを書かせていただきました。
民事系や刑事系ではいわゆる典型論点への回答という形でお決まりの記述が出てくることはある気もしますが、当事者のやり取りという側面が強い憲法の試験では、教科書引き写しのような答案が特に浮いてしまうということはありそうで、その意味で「論証」という考え方にはひっかかるところがあることも否めません。

憲法について

修習前の忙しい時期にもかかわらず、直ぐの、ご返事誠に有り難うございます。
眠れる豚様のご回答により、憲法における論証の意義が、ようやく分かりました。心の中のモヤモヤがすっきりしました。
ところで、もう一つ質問があります。
過去のブログを見る限り、眠れる豚様は、事例研究憲法の問題につき論文を作成しておられますが、その作成した論文について、他人による添削を受けて無いように見受けられます。眠れる豚様が自分自身で答案を添削していたとすると、どの点に着目しつつ自己添削していたでしょうか。すなわち、眠れる豚様が、事例研究憲法の問題の答案を添削依頼された場合に、どのような点に着目しつつ添削するのかを教えて頂ければありがたいです。

ひきつづきお答えします

>くぅちゃんさま
ご質問ありがとうございます。

事例研究憲法も後半の問題の多くは答案構成だけでやってしまっているのですが、その時に気をつけていたことを中心にお答えさせていただきます。

憲法に限った話ではありませんが、答案を読む上で一番重要なことは、その問題で当然書かなければならない、多くの人が書けるはずの事項について、きちんと論じてあるかということだと思います。憲法であれば、問題となっている侵害状況と類似した先例(判例)が意識されているか、考えられる理論的問題に触れているか(例えば、検閲該当性が疑われる場合に問題提起できているか、私人間効力が問題となる場合に言及できているかetc)という部分が、それに当たります。

その上で、そうした論点に触れつつ、全体の構成が分かりやすいか、個々の論述内容に不備はないかということを見ていくことになると思います。
構成については、新司の設問と同じような出題形式の問題に限っての話になりますが、事案から権利侵害の疑われる部分を抽出し、それがどんな基本権を侵害しているといえるかの指摘(いわゆる三段階審査の前2つ)、正当化可能かについての検討…といった基本的な流れがスムーズに展開されているかどうかがポイントになると考えます。それから、そうした議論が適切な段落分け、ラベル付けによって整理して書いてあるかどうかも、形式面で無視できないポイントです。
論述内容については、事例研究の解説内容のうち高度なものについては脇において、判例・通説の議論を正確に指摘・展開しているかということ、それと事案を照らし合わせて議論できているかということに気をつけていました。特に当てはめ・評価にあたる部分は、事案の特徴的部分を漏れなく拾えているかということ、それが判例・通説やそれと異なる私見の処理枠組に沿って検討されているかということがポイントになるところです。
違憲審査基準論については、前の回答内容とも関連しますが、原告・被告の立場から指摘されるべき有利な要素――権利の性質、規制態様、規制対象の特徴など――を説得的に挙げているかどうか、私見で採用された基準が十分な理由付けに基づいているかという点が問題となるでしょう。

事例研究憲法は解説が必ずしも司法試験適合的でないものが含まれているようにも思いますが、それを意識し、判例・通説をベースにして(必ず言及して)議論する姿勢で回答した後に読めば、気づかされる点も多々あります。
解答例がない(あったとしてもおそらく新司答案としては微妙になりそう)ことはどうでもよくて、答案作成上のノウハウはヒアリング・優秀答案の研究や自分での答案作成などで身につけるしかないということでしょう。上記の「添削するとしたらチェックするポイント」は、そうやって僕なりに身につけたノウハウからきたものです。もちろん、それが正しいかどうかは保障できませんが…。

これでお答えになっておりますでしょうか。

事例研究憲法の件について

おはようございます。
眠れる豚様、毎回、迅速な回答、本当に有り難うございます。お礼が遅くなってしまい、申し訳ありません。事例研究憲法の使い方、大変、参考になりました。
ところで、また、質問なのですが、よろしいでしょうか。
教授等が、『法律の勉強には、体系的理解が必要不可欠である。』と、いつも言っています。しかしながら、私は、『体系的理解』の意味が良く分からないのです。そこで、私は、教授等に『体系的に理解するとは、どういう意味でしょうか。具体例を挙げて教えて下さい。』と尋ねると、教授等は、『目次である。』と言われます。『目次である。』と言われても、全然意味が分かりません。
もし、眠れる豚様が、生徒から、『体系的に理解するとは、どういう意味でしょうか。具体例を挙げて教えて下さい』と尋ねられた場合、どのように答えるでしょうか。
また、法律を体系的に理解することで、どのような意義があり、それは、試験にどのように繋がるのでしょうか。
『体系的理解』などという、初歩的な質問で恥ずかしいのですが、眠れる豚様のご回答は、いつも大変参考になるので、質問をさせて頂いた限りです。
お時間のある時で良いので、ご回答宜しくお願い致し

生徒を持てるような人間ではないのですが…

>くぅちゃんさま
法律学における体系的理解とは何か…というのは、久しぶりに基礎法の試験でも受けているような感覚に陥ってしまいました。要するに難しい問いであるということなのですが、自分なりに思うところを書いておきます。

法律学における「体系」というのは、原理原則や理論に基づいて個々の議論が関連付けられているという側面と、紛争や訴訟など事案の流れに沿って問題となる議論が整理されているという側面の2つがあると思います。

原理原則や理論に基づく関連付けというのが一番イメージしやすいのは、刑法ではないでしょうか。まず「犯罪とは何か」という考え方から構成要件該当性・違法性・責任という大きな枠組みが与えられ、個々の論点でも、例えば故意概念の理解が誤想防衛など違法性に関係する論点に関係するといった連関があります。
また、民法でも、法典自体がパンデクテン方式を取っているということがあり、また権利外観法理や対抗要件の考え方など、基礎となる概念が様々な場面(民法だけでなく会社法など民事法一般にも)で出てくることになります。
個々の論点をバラバラに覚えるのではなく、こうした連関の存在、そしてなぜそうしたつながりが出てくるのかということを意識することで、知識のつながりが増え、理解が深まるとともに忘れにくくなるということがあると思います。

事案の流れに沿って整理されているというのは、訴訟法が典型です。民訴であれば、訴えの提起から処分権主義・弁論主義に基づく審理、訴訟の終了、判決効という大きな流れがあって、その中で様々な論点が生じています。こういった流れの中で論点を位置づけることで、少しでもイメージが沸くということもありますし、どうしてそのような問題が生じるのかという角度から理解することが可能になります。
流れという点では、要件事実論も、当事者の主張立証がどうやって展開されていくかという流れを整理するためのもので、民法の理解を助ける役にたつということがあるでしょう。こういう請求原因(権利主張)が出てくるとこのような抗弁が出てくるのだという典型例を知ることで、他に良く似た事例が出たときに応用できたり、権利関係が民法でどのように規律されているのかというイメージを持ちやすくなるということです。

上記のような「体系」をイメージして学習することで、個々の論点について「なぜそうなっているのか」「なぜそんな問題がここで出てくるのか」という点を押さえることができるため、理解が深まるとともに、単純な暗記より記憶が定着するという試験的意義があるでしょう。特に、新司法試験では、教科書に載っていることそのままを出題しない応用問題が出題されますから、こうした背景的理解を身につけることが有益です。
というより、将来法律を扱う職業につく以上、そのような理解がなければ法律家としてやっていくことはできないはずです。ちょうどいま、自分でそれを実感させられているところでもあります。

最後に、「体系とは目次である」という言葉の意味について。
基本書の目次が重要であるというのは、よく言われることであり、その点については僕も同感です。その理由は、基本書の目次というのは、その筆者が理解するところのアウトラインであり、そこに上記2つの意味での「体系」が現れているからです。
まず、原理原則や理論という点で言うと、後のほうで繰り返し出てくる概念や原理は、それより前(最初のほう)で論じられることになるはずです。その意味で、目次で示されている順序には必然性があります。
次に、事案の流れという点で言うと、訴訟法であれば顕著であるように、目次に示された順序がそのまま事案の流れになっていたりします。

しかし、こうした体系の存在は、一度全体をさらわないことには、何も見えてきません。「つながり」や「流れ」は、その構成要素を知らない限り理解できないからです。その意味で、いきなり目次を見ても何も出てこないわけで、一通り学習した人が「ここの内容は後のこの部分でも出てくるな」とか「今は○○が問題となっているからこのあたりを読む必要がある」といった形で活用するのが目次だと思います。
もっと言うなら、基本書の目次は、その人の体系的理解の一つの現れであって、それを覚えること自体には何の意味もありません。最終的には、自分なりの目次、自分なりの体系に対するイメージを持つ必要があるでしょう。そこでは、試験に必要のない細かな事項は省かれているかもしれませんが、受験生にとってはそれでも構わないでしょう。自分が知っている個々の知識を再構成して、自分なりの形に位置づけていくのが、理解するという作業です。普通に勉強していけば、そのアウトラインは自然と基本書の目次に似たものになるはずで、そういった作業を経て基本書の目次を読み返せば、「体系とは目次である」ということもまぁ納得できるのではないか、と思います。ちょっと不親切な答えだとは思いますが…。

体系的理解の意味について

こんにちは。眠れる豚様、体系的理解の意味について、詳細なご回答、有り難うございます。御礼の返事が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
体系的理解の意味について、文献を調べたり、また、教授等に尋ねたのですが、なかなか納得いく答えに巡り合うことができず(私の理解力不足も多分にありますが…)悩んでおりました。眠れる豚様のご回答により、ようやく、体系的理解の意味につき納得することができました。本当に有り難うございました。
私は、大学院に入学してから、法律を勉強し始めたのですが、法律というのは、基礎的事項を理解することですら、本当に困難だと痛感しております。しかしながら、基礎的事項を理解することができると、他の理解できなかった部分を理解できるという経験が度々あり、そのような経験をした時は、大変嬉しいです。眠れる豚様のご回答によって、いつも、そのような嬉しい経験をする事ができるので、本当に感謝しております。
もうすぐ、司法修習が始まると思いますが、眠れる豚様の、さらなるご健勝を祈念しております。
では、失礼致します。

勉強頑張ってください

>くうちゃんさま
つたない回答でしたが、少しでもお役に立てたようで何よりです。
法律の勉強というのは慣れるまでは大変な部分がありますが、自分なりにイメージをつかんで地道にやれば、短期間でも十分な理解を得ることができるものだと思います。疑問点をしっかり解消するということも大切ですが、もう一方で、とりあえず全部を学んでみてはじめて分かることというのもあるので、よく分からない部分があってもとりあえず一冊読みきるとか、そういう勉強をしてみるのもよいかもしれません(もちろん、全く意味不明なものを読むのは無駄なので程度によりますが)。

くうちゃんさまは未修ということですが、取り組み次第で既習との差は全く問題になりません。未修で非常に優秀な方もたくさんおりましたが、そういう方はみんな法律を楽しんでいたように見えたのが印象的でした。理解できたときの嬉しさ・楽しさを大事にすることが法律学を理解する近道であり、そういう要素はもしかしたら未修でローに入学して新鮮に学んでいる人のほうが気づきやすいということなのかもしれません。これから大変なこともあるかと思いますが、頑張ってください。

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質問とそれに関する応答

*1月15日に以下のようなコメントをいただきましたが、都合により元のコメントを削除し、そのまま以下に転載した上で、同コメントに対する返答を記載しました(管理人)

*******
こんばんわ。お久しぶりです、くぅちゃんです。眠れる豚様は、修習は、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、民法と民事訴訟法について、質問があり、メールを送らせて頂いた次第です。
まず、民法についてなんですが、一般に、請負の瑕疵担保責任の規律が妥当するようになる時期は、『工事の完成』以後であると言われています。どのような理由により、『工事の完成』という基準が用いられているのでしょうか。「債権各論?第2版」(潮見佳男)P233等、色々な文献を見ても、理由付けが無いので、困っています。
次に、民事訴訟法についでですが、訴えの変更(143条)の要件の1つに、「請求の基礎の同一性」という要件があります。
「請求の基礎の同一性」とは、
?旧請求の訴訟資料が新請求の審理において利用することができ、かつ、
?社会生活上同一又は一連の紛争に関する場合
です(LIVE本等)。
この?の要件についてなのですが、どのような事実をどのように、あてはめしていいのか分かりません。
修習中、忙しいと思いますので、時間がある時で良いので、回答の程、宜しくお願い致します。
これからも、眠れる豚様の活躍を、祈念しております。
*******

>くぅちゃんさま
コメントありがとうございます。
おかげさまで修習生活は大変充実しております。受験対策として学習したことも役立っており、一年回り道したのも悪くないことだと思えています。

以下、ご質問への回答です。

1.瑕疵担保責任の規律が妥当する「仕事の完成」基準の意義について
請負契約は仕事の完成をその内容としているので(632条)、仕事が完成するまでは債務不履行の問題となり、仕事が完成してからは目的物に関する瑕疵担保責任の問題となります。仕事が完成するまでは目的物がまだ存在していない、というイメージでいいと思います。
仕事が完成するまでは、請負人は仕事を完成させる義務を負い、それまでは報酬を請求できません(632条は「仕事の結果に対して」報酬を定める)。仕事の完成が不可能な場合も、危険負担の536条1項より報酬請求権はなくなります。

なので、質問への答えとしては、632条が仕事の完成を請負契約の内容としており、それを前提として完成した目的物の瑕疵を問題とするのが瑕疵担保責任の規定であるから、ということになります。
仕事の完成については請負人の主張立証責任にかかりますが、それが示されれば、注文者に瑕疵担保責任の主張立証責任がかかります。そのような主張立証責任の分配の基準として「仕事の完成」が機能しているといえそうです。
その上で、「仕事の完成」の判断基準について議論があるので、関連事項ということで紹介しておきます。

裁判例(東京高判昭和47.5.29)や多数説は、「仕事の完成」を「予定工程を終えたかどうか」で判断します。
このような基準を取るのは、予定工程が終われば請負人の報酬支払請求を認めてよいと評価でき、それ以降の瑕疵は瑕疵担保責任でカバーすればよいという価値判断によるものでしょう。
ただ、上記のように、仕事の完成という事実を主張立証責任の分配と捉える場合、予定工程さえ終えれば請負人がひとまず請求できるというのは緩すぎるのではないかという議論もできそうです。学説では、目的物が社会通念上完成したといえるか、約定どおり施工されたかといった実質的考慮を入れるべきという主張もされているようです。
逆に、建築請負の場合、予定工程まで終わっていないとしても、建物の大部分が完成している場合には、それに応じた報酬請求権が発生してもよいのではないかと考えられます。実際、建築請負契約の約款ではそのような定めがされているようです。

*以上については、「Law Practice民法Ⅱ」120-121頁(笠井修解説)を参照しています。

2.請求の基礎の同一性の判断基準
訴えの変更において請求の基礎の同一性が要求される趣旨は、被告の応訴の負担を重くしないようにするというところにあります。原告が訴えの変更によって従来の裁判資料を利用する便宜を無制限に認めることは被告に酷であるということです。
また、請求の基礎が同一といえなければ、それは別の紛争を問題としているのだから、別訴を提起するのが筋であるということもいえるでしょう。

このような趣旨からは、被告の負担がどうなるかということを考えながら、請求の基礎の同一性は、主要事実や主要争点の共通性、事実資料の一体性の有無などを考慮して判断することになります。
具体的な例は上手く出てきませんが、事実関係は同じで契約の性質の解釈が異なるだけという場合(売買契約か賃貸借契約か…などなど)などが、社会生活上同一の紛争といった話の典型例の一つだと思います。この場合、旧請求と新請求を基礎付ける事実の共通性として目的物の引渡しなどの事実を指摘しつつ、法的構成が変わっただけで紛争の本質は変わらず、被告が新たに対応すべき負担は少ないといった評価をすることになるでしょう。

当てはめについては要件がふわっとしていると難しいところがありますが、その際には要件の趣旨を想起した上で、それに沿って事実を眺めると上手く行くことが多いと思います。

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質問への回答

大要以下のような趣旨の質問がありましたので、可能な範囲で回答させていただきます。例によって私見なので間違っていたらごめんなさい。
あと、質問文も公開のコメントに残していただきたいので、特段の事情が無ければ非公開コメントではなく公開のコメントで質問していただくようにお願いします。

********
質問
利益相反の間接取引(百選65)と取締役会決議を経ない取引の効力(百選71)の違いについて。
利益相反の間接取引については、判例によれば、原則無効だが会社が取締役会の承認を受けなかったことと相手方である第三者の悪意を主張立証するとその無効を第三者に主張できるとされている一方、取締役会決議を経ない取引の効力は、判例によれば、原則として有効であり、相手方が取締役会決議を経ていないことを知り又は知り得べかりしときに限り、無効であるとされている。この違いはどうして生じるのか?(質問が切れているので最後の部分はこちらが想像して補完しています)
********

利益相反の間接取引についてはいわゆる相対的無効説で相手方を保護し、取締役会決議を欠く取引については民法93条但書類推適用で保護するという違いですね。
まず、利益相反の規制は会社を犠牲にして利益を得るような取引を防ぐための規律であるのに対して、取締役会決議の要求は行為の重さに応じて会社の意思決定方法を定める規律であるという違いがあります。後者については会社の通常の意思決定ということで93条但書類推適用になじむところがありますが、前者はどちらかというと外側からの規律というイメージなのでちょっと合わないということが言えそうです。
また、会社の保護の必要性と取引の安全のバランスから行っても、利益相反取引の場合は会社の損害も大きく、一部の利益相反者が利益を得る(少なくない場合に第三者も不当な利益を得ていると評価しうる)という構造からいって、会社を保護することに強く傾くので原則無効として、本当に知らなかった第三者だけ例外的に救うというのが妥当と考えられます。一方、決議の欠缺というのは会社の内部事情に過ぎないので、原則有効としつつ、内部事情を知りつつ取引したような保護必要性に欠ける者との間でだけ無効にすればいいという判断なのでしょう。

試験との関係で言えば、保護の要件だけでなくその法律構成(93条但書類推適用など。批判もありますが…)を押さえておくことが大事です。その上で、規律の趣旨などを自分なりにイメージして考えてみると、納得がいくし、難しい問題でもそれなりの着地をすることができるようになると思います。頑張ってください。

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コメントへのお返事

久々にコメントをいただきましたのでお返事します。
例によって管理人向けなので以下質問部分だけ転載の上お答えします。
支障のない場合は非公開コメントにせず投稿していただけましたら幸いです。

Q:スタ論でいつもどのくらいの成績をとられていたのか教えていただければ嬉しいです。

A:
得点調整がされてから全員の点数が反映された後の最終順位とかはあまり気にしてないのでよく覚えていないのですが、受け取りに行ったときにはだいたい順位表に番号が載っているくらいの順位ではありました。過去の日誌でも書きましたが、公法系は2回くらい優秀答案に載りましたから、このときは1桁とか2桁上位の順位だったと思います。その他の答練では、イマイチな順位のときもありましたが、全体としてそこそこの成績だったように覚えています。
答練の順位そのものにはあまり意味はないのですが(僕は1年目全国模試論文150位くらいで落ちています)、答練でよくない評価のときは、人が書いてる内容を落としてたり、顕著に分かりにくい記載があったりすることが多いので、そういう部分に気をつけるという感じで受け止めるとよろしいのではないでしょうか。

もう今年の試験まで1ヶ月を切っているので、ささやかながら受験生の皆さまにコメントさせていただきます。
制度上、全員が合格することはできない試験ではありますが、やるべきことをしっかりこなし、当日力を出し切れば、必ず合格ラインは超えられます。自分を信じて、焦ることなく、最後の追い込みに努めてください。皆さまが実力を遺憾なく発揮されることを祈っております。

No title

どうも、お疲れ様です。
ご質問させていただきたいと思います。
よく判例は、縦と横で読むといわれますが、管理人様は、判例の勉強をどのようにやりましたか?
例えば、重要判例は、1審から読むとか。どのようなことに気をつけていたとか。百選だけだとか。憲法はよく読んだとか。何となくは、わかるのですが、それが、試験にどう結びつくのか具体的にはわかりません。
管理人様のご意見いただければありがたいです。
よろしくお願いします。

コメントありがとうございます

のりのりさま

質問ありがとうございます。

判例の勉強方法ということですが、正直なところ、ローの授業で読んだ以外で、判例を精読したということはほとんどなく、百選などで規範部分を中心に読んでいただけです。
ローの授業では、憲法はケースブック憲法(弘文堂)、刑訴法はケースブック刑訴法(有斐閣)、あとの科目はロー独自の教材に指定された判例を読んで授業に望むのですが、行政法は一審から読んだものもいくつかありますが、その他はそういうこともなかったです。ちなむに、民法はいわゆる司法試験向けの授業がないので、初年度にあった判例研究とかいう授業で民集から10本くらい読んだくらいです(なのでこれも一審から読んだことになります)。

試験対策という観点から言うと、まずは代表的判例の規範を知らないと話にならないのですが、これは百選や基本書を普通に読んでいれば当然チェックされるはずです。ただ、理由付けを知っているかどうかで全然違ってくるので(今年の問題も一応目を通してみましたが、民訴の3問目とかはまさにそうです)、理由付けもきちんと押さえるということは意識したほうがいいです。
次のレベルは、答案作成時に、規範を使ってどうやって事案を処理するかという段階になりますが、ここでは判決文を研究し、どういう事実をどうやって評価しているのかということを勉強しておくのが有益だと思います。ここでは、いわゆる重要判例をしっかり読むという作業が役立つと思います。例えば、刑法の共謀共同正犯に関する重要判決とかは読んで損はないでしょう。あと、個人的な趣味で、憲法判例は意見も含めてそれなりに目を通していました。
あと、短答対策という点からは、判例をしっかり聞いてくる問題がよく出る公法系(特に憲法)については、ちょっと長めに判例を読んでおくとよいことがあるかもしれません。

判例をしっかり読むことは勉強になるし、その際には一審から事案を追っていくということをするのも勉強になるとは思いますが、ローの授業などで適切な指導・判例の選択がある場合ならともかく、自分でやみくもに判例を読みまくるというのは、趣味であればともかく、試験対策としては非効率にすぎるでしょう。
むしろ、試験向けの判例対策というのは、基本書を読むときに、論点に対して存在する判例の結論と理由付けをきちんと記憶・理解することと、それに対して有力な批判がある場合には、その批判の概要と、どうしてそんな批判がされているのか(=判例の問題点)を押さえておくことという形で、判例を中心にした勉強をするという姿勢に表れるような気がします。そこで、判例の理由付けとそれに対応する学説という図式で、結論の暗記だけでない勉強ができていれば、判決の原文をしっかり読んでいないとしても、十分試験対策になっているし、法律の実力もついているはずです。

No title

管理人様 
さっそくのご回答ありがとうございました。
参考になります。
確かに重要判例といっても、そのすべての全文を読んでいる時間もありませんし、授業で扱ったものだけはしっかりやろうと思います。
百選などの判旨には、理由づけがないものもありますので、これからは、解説など読むなり理由づけもきちっと覚えていこうと思います。
それだけでも、かなりの分量ですから、あまり欲を出さず、管理人様の言うとおり、10回うけたら、10回とも合格できるような力をつけるように勉強していこうと思います。

また、何かありましたら、その折は、質問させていただきたいと思います。
今回は、ありがとうございました。

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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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