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再現答案5(刑事系第2問・刑訴法)

続いて刑事系第2問の刑事訴訟法。これも昨年微妙だった科目なので、無難にまとめたいと思って書いていました。無難にまとまったかは謎です。

*できる限り正確に再現していますが、後日再現したため、文章表現については本試験より整理・美化されていることは否めませんのでその点は割り引いてください。答案構成や事実の摘示評価内容、法律論の内容については本番を正確に再現したつもりです
*追記部分に反省点を書いていますが、解説や基本書などを見て書いたわけではないので、間違っているかもしれません。参考にされる方がいるとしたら注意してください


――――――――
刑事系科目第2問 刑訴法
問題文

[設問1]
1 捜査①②について
 (1) 捜査①②については、()甲が捨てたごみ袋を捜査官が無断で入手した点、()ごみ袋の中にあった裁断されていたメモ片を無断で復元した点の2つが問題となりうるので、以下検討する。
 (2) ()ごみ袋の入手について
  ア 甲が捨てたごみ袋を捜査官が入手した行為は、令状なくして物の所有権を取得する領置(刑訴法221条)に当たるように見える。しかし、同条は領置の対象物を遺留物や任意に提出された物としており、ごみ袋はこれに当たらないように見えるから、本件捜査は無令状で他人の物を差し押さえたものとして、違法とも思われる。
    この点、領置が無令状での物の取得を認めるのは、それが所有権放棄のされた客体についての取得であり、侵害利益がないからであるから、それと同じ実質を有するごみの取得についても、領置の規定が類推適用され、適法に取得することはできると解すべきである。
イ もっとも、任意の領置といえども、プライバシー等何らかの利益を制約する可能性はあるから、基本的人権の保障の見地から(1条)、比例原則に基づき捜査の必要性・緊急性と被侵害利益を比較考量して社会通念上相当な範囲にとどまる限りで許容されるものと考える。
 (3) 領置に関する捜査①の評価
  ア 領置規定の類推適用があるか
    捜査①では、甲が公道上に捨てたごみ袋が持ち帰られている。公道は誰もが通行可能な場所であり、かかる場所にごみとして物を置いた場合、もはや取りに帰ることは考えられず、他人の手が及んでも仕方ないという意思が見て取れるから、所有権は放棄されているといえる。よって、221条の類推適用により領置できる。
  イ 相当性の評価
   (ア) 必要性・緊急性
     ごみ袋領置にかかる本件嫌疑は、けん銃の組織的密売という、規模も大きく、凶器の供給で他の犯罪を誘発する点で摘発の必要性が極めて高い犯罪であり、内偵情報などから甲の関与が強くうかがわれている。一方、本件ではA組が慎重に犯行を進めており、顧客が暴力団関係者のみであることから、証拠に乏しく、甲のごみ袋を証拠として調べる必要性が強く認められる。
     また、ごみ袋はしばらくすると収集されて処分されるため、直ちに入手して調べる緊急性が認められる。
   (イ) 被侵害利益
     他方、捜査①のごみ袋は、甲によりごみ袋の所有権が放棄されており、公道に捨てられたことからプライバシーへの期待もほとんど認められないから、その侵害は軽微といえる。
   (ウ) 以上より、捜査①の領置行為は必要性・緊急性が被侵害利益に大きく勝るから、社会通念上相当といえ、領置は適法となる。
 (4) 領置に関する捜査②の評価
  ア 領置規定の類推適用があるか
    捜査②では、甲は居住するマンションのごみ集積所に捨てたごみ袋の内容物が持ち帰られている。甲がごみとして捨てた点では①捜査と共通しており、集積所も誰でも立ち入れることから、甲による所有権の放棄は認められる。
    他方、捜査②では公道と異なり、マンション管理人が管理しているごみ集積所から持ち出されているから、管理人との関係で所有権侵害がありうるのではないかが問題となる。しかし、ごみ集積所は管理されているとはいえ施錠はなく誰でも立入り可能であったのであり、集積物はごみとしてそのまま処分が予定され、対象物が資源ごみであったなどの事情もないから、管理人との関係でも所有権侵害の実質はない。よって、領置規定の類推が認められる。
 イ 相当性
捜査②でも、捜査①と同様、A組の犯罪に関連して高い捜査の必要性が認められる。また、捜査②では捜査①により甲のけん銃売買関与が疑われるメモ片が見つかっており、嫌疑はさらに高まっているといえる。
他方、甲はごみの所有権を放棄しており、誰でも出入りできる集積所にごみを捨てているから、プライバシー侵害は認められず、施錠されていない場所への一時の立入りにすぎないから、マンション管理人の関係でも侵害は乏しい。
よって、相当性も認められ、領置は適法となる。
 (4) ()メモ片復元行為について
  ア メモ片の復元は、領置物を証拠として利用可能にするための「必要な処分」として許容されうる(222条・111条)。ただし、これもプライバシーなどの権利を侵害する可能性はあるから、比例原則に基づく相当性が要求されるものと考える。
  イ そこで相当性について検討するに、捜査の必要性は領置について見たところと同様、極めて高いものがある。さらに本件では、「5/20 1丁→N.H 150」など、けん銃1丁をイニシャルN.Hに150万円で5月20日に売却したという、けん銃売買の記録をうかがわせる記載のされたメモ片が大量にあったから、これらメモ片と組織的密売との関連性が強く疑われる。また、あえて裁断されていることから、証拠隠滅の意図も見て取れ、証拠物として復元すべき必要性・緊急性は極めて大きい。
    これに比して、メモ片はごみとして捨てられており、焼却などできたのに裁断するにとどまっているのであるから、これを復元されることもやむを得ないと考えていたと見てよく、甲のプライバシー侵害はさほど大きくない。よって、相当性も認められる。
 (5) 以上より、捜査①②は持ち帰りの点でも復元行為の点でも適法である。
2 捜査③について
(1) 捜査③では、押収された携帯電話のデータを復元・分析した行為の是非が問題となる。これは、差押物についての「必要な処分」であるから(222条・111条)、捜査①②の復元行為と同様、相当性について検討する必要がある。
(2) 相当性の評価
 ア 必要性・緊急性
   捜査③の押収は、前記の通り摘発必要性が大きいA組の組織的犯罪について、捜査①②を経ても未だに甲の直接関与を示す証拠がない中でようやく得た協力者乙の、甲とのおとり捜査のやりとりの結果を入手するためにされている。そして、消去されていたデータには、同嫌疑についての甲の関与を示す、乙が連絡した相手の記録である発着信履歴が含まれているから、これを復元することはけん銃密売捜査との関係で高い必要性が認められる。
   さらに、本件では乙が自宅で死亡しており、乙が暴力団関係者であることからも、他殺の可能性が十分考えられる。他殺の場合、それ自体が殺人罪(刑法199条)という重犯罪であり、またA組の証拠隠滅行為の可能性もあり、協力者であった乙がわざわざ携帯のデータを消すことも考えられないから、これら犯罪の証拠隠滅としてデータが消去されたおそれもある。よって、殺人等の犯罪捜査のためにも、捜査③の復元行為は必要であったといえる。
 イ 被侵害利益
   他方、発着信データの復元は、乙と通話した相手方の情報を明らかにするものであるから、これら相手方のプライバシーを侵害するおそれがある。もっとも、このデータは通話内容そのものを復元するものではないし、連絡したという事実が乙の携帯に残ることは相手方も知っていたといえるから、これを復元等により見られないという利益は大きくない。
 ウ 以上より、復元行為は社会通念上相当な範囲にとどまるといえる。
(3) よって、捜査③は適法である。
[設問2]
1 前提捜査の適法性について
 (1) 本件捜査報告書は、協力者乙が甲にけん銃密売を働きかけ、その際に甲と会話した内容を録音した結果などを元に作成されている。これら捜査が違法な場合、捜査報告書の証拠能力に影響しうるから、この適法性について以下検討する。
 (2) 秘密録音の適法性
  ア 秘密録音の法的性質
    本件では、会話一方当事者の乙ないし丙女の同意を得た上で、会話相手方の甲に無断でその会話を録音している。これは、220条1項2号の状況でないのに無令状で検証をしたものとして違法捜査とも思えるが、憲法31条以下が国家の捜査権を当然前提としており、刑訴法197条1項但書も軽微な処分について全て法定を要するという無理を定めたものとは解せないから、①相手方の意思に反して②重要な権利利益を制約しない処分であれば、任意処分として許容されるものと解する。
    秘密録音は、相手方に秘密で会話を録音しているから、その黙示の意思に反して相手方のプライバシーを制約しているといえる。しかし、会話の内容自体は相手方も乙ら対話者に聞かれることを認めており、捜査官はその対話者の了解を得て録音しているのであるから、ここではプライバシーが本質的に制約されているとはいえず、未だ重要な権利利益の制約には至っていないと解すべきである。よって、秘密録音は任意処分である。
    もっとも、任意処分であっても何らかの権利利益を制約するおそれはあるから、前記で見たとおり、比例原則の統制に服し、社会通念上の相当性が求められると考える。
  イ 相当性の評価
   (ア) 必要性・緊急性
本件秘密録音は、前述の通り極めて検挙の必要性が高く、また捜査が困難なけん銃密売犯罪について、協力者乙や丙の同意を得て、容疑者甲との会話を証拠として記録するためにされているから、強い必要性が認められる。また、会話内容は録音しなければ確かな証拠とならないから、これを録音すべき緊急性も認められる。
   (イ) 被侵害利益
      これに対して、秘密録音は相手方甲に無断でされているから、そのプライバシーを侵害することは否めない。しかし、前述の通り、甲は会話の内容自体は対話者に委ねているし、会話において甲に特定の発言を強要することもなかった。また、6月8日の録音では、誰に聞かれるかも分からない喫茶店で会話がされており、甲の会話の秘密への期待はさほど高くなかったと認められる。
  ウ 以上より、本件秘密録音は社会通念上相当な範囲にとどまる任意処分として適法である。
 (3) おとり捜査の評価
ア 本件では、乙の協力を得て、甲にけん銃を売るよう働きかけさせ、もって甲にけん銃密売をさせている。これはいわゆるおとり捜査であり、相手の意思決定の自由を完全に制約するものではないから重要な権利利益の制約ではなく任意処分ではあるものの、国家が犯罪を作り出すという側面から、その相当性について慎重な検討を要する。
イ そこで相当性について見ると、前記の通り本件では検挙すべきけん銃密売について他の捜査方法では十分証拠が集まらなかったという事情があり、そのために乙を介して甲に犯行を働きかけたものである。これに当たり、乙は甲に犯罪を強要することはなく、甲が自発的にけん銃売却に応じたものであるし、けん銃の売却先は協力者乙であるからこれによって新たな犯罪が行われる危険性はない。
  よって、本件おとり捜査は犯罪創出の実質を欠き、相当なものとして適法であるといえる。
 (4) 以上より、前提捜査に違法な点はない。
2 本件捜査報告書の証拠能力-総論
 (1) 本件捜査報告書は書面であり、320条1項の伝聞法則の適用を受ける。そして、本件捜査報告書は、司法警察職員Kが録音を反訳したという検証結果を記載した書面であるから、321条3項の書面として、Kの真正である旨の供述により伝聞例外として証拠能力が認められうる。
   もっとも、本件捜査報告書は、甲らの会話内容を記録したものであるから、その会話内容の真実性を前提とする場合には、各供述者との関係で伝聞例外の要件を満たす必要があると解される。伝聞法則の趣旨は、伝聞証拠には供述者の知覚・記憶・表現叙述の各過程に誤りが含まれる危険があるため、これを反対尋問等でチェックする機会を保障することにあるから、書面が供述をその内容とする場合、その供述者との関係でかかる機会に代えるための例外要件が認められねばならないからである。
 (2) よって、以下では、要証事実との関係で、伝聞法則にもかかわらず証拠能力が認められるかどうかを検討する。
   なお、本件では検察官は会話の存在・内容を立証趣旨とするが、立証趣旨については裁判所が実質的に評価して決すべきである。証拠の評価は裁判所に委ねられているし、立証趣旨の明示は審理の便宜のためされるにすぎないからである。
3 本件捜査報告書の証拠能力-各論
 (1) 反訳1(6月7日)の内容
  ア 甲の会話との関係
    反訳1での甲の会話は、聞き取れなかった部分が多く、それ自体としてけん銃譲渡罪を立証する意義を有するものではない。よって、この点について証拠能力を問題とする必要はない。
  イ 乙の会話との関係
    一方、乙の会話については、甲との会話後に「甲がけん銃を売ることについての話し合いに応じてくれた」というのは、それが真実であれば甲からけん銃譲渡の申出があったことを証明することになるから、捜査官に対する第三者の供述として321条1項3号の要件を満たさなければ証拠能力が認められない。
    そこで同号の要件を検討すると、本件では乙は死亡しており、供述不能要件を満たす。また、その内容は甲のけん銃譲渡罪を証明するものであり、捜査の困難さからその他に有力な証拠がないため、犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものといえる。そして、特信性については会話状況や内容から認定される外形的付随的事情により判断すべきところ、問題となる反訳部分は甲との会話の後、協力者である乙が会話内容を任意に要約して記録したものであるから正確といえ、喫茶店で打ち合わせがされたという客観事情にも沿うから、特信性があるといえる。
    もっとも、本件反訳には供述者乙の署名押印(321条1項柱書)が欠けるが、これは供述内容と記録内容の同一性を担保するためのものであるところ、本件では反訳は録音内容をそのまま再現したものであり、録音の分析等により同一性も検証できることから、署名押印は不要と考える。
    以上より、乙の会話部分は321条1項3号の要件を満たし、証拠能力が認められる。
 (2) 反訳2の内容
  ア 甲の供述との関係
    反訳2の甲の供述内容は、「1丁150万円」などとけん銃らしきものの売却を申し出る部分についてはその存在自体がけん銃譲渡の申出をうかがわせる証拠価値を有する。また、「りんごの箱に入れて(乙の)マンションに宅配便で送る」旨の内容は、乙方にりんごとともにけん銃2丁が宅配便で送付されていた客観事実との符合から、甲が乙にけん銃を送付したことを推認させるものである。これらはいずれも、会話内容の真実性と関係なく甲の犯行を証明するものであるから、非伝聞であり、伝聞例外によらず証拠価値を肯定できる。
    また、甲の発言であるかどうかという点についても、乙による「甲と話した」旨の供述部分や、録音内容の分析などによって甲が発言したと分かるから、関連性も肯定できる。
  イ 乙の供述との関係
    反訳2の乙の供述部分は、甲とけん銃の取引について取り決めた旨の内容であり、反訳1部分と同様に321条1項3号の要件を満たすから、証拠能力が肯定される。
 (3) 反訳3の内容
  ア 甲の供述との関係
    反訳3の甲の供述内容は、「物がりんごと一緒に届いただろうから300万円を支払え」というものであり、前述した客観事情と合わせると、けん銃の対価として300万円を要求した事実という、けん銃譲渡罪の証明につながるものといえる。これも、内容の真実性に関係なく、要求したこと自体が証明に役立つものであるから、非伝聞として証拠能力が認められる。関連性についても、通話記録などから甲が相手と分かるので、問題はない。
  イ 丙女の供述との関係
    反訳3の丙女の供述は、甲の犯行を示す意味を持っていないから、検討するまでもない。
4 以上より、本件捜査報告書は前提捜査を考え合わせても証拠能力を肯定できる。
以 上






【感想・反省点など】
刑訴法はとにかく書くことが多いなぁという感想でした。いかに要領よくまとめるかがポイントかと思いましたが、刑訴法は法律論も評価してくる科目のようなので、人が書くくらいの論証+αの議論をしたいなぁとも思いつつ、結局そんなに頑張りませんでした。これも守りにいったつもりです。
時間配分は、30分構成90分解答です。

[設問1]
設問1の捜査①②は、ごみの領置に関する最高裁判例があったなぁと気づきましたが、理由付けがあやふやだったため、本来占有を問題にすべきところを所有権の問題にしてしまいました。そのため特に②で論述が外れ、評価すべき事実を軽視してしまったところがあります。結論として②を適法にしたことについては、占有を問題にするとしても、誰でも入れるごみ処分場について管理権が及ぶだけで保護すべき占有が生じるとは直ちに言えない(刑法的に言えば可罰的違法性の問題になりそうです)でしょうから、どちらでも良いのだと思います。それも含めて占有の側面から検討したかったところですが、所有権を問題としつつも一応事実には触れているのでそんなに減点されないと思いたいです。
法律論については、領置は刑訴法上に規定はあるものの任意処分ですから、そのあたりをどうやって処理しようかということでも悩みました。条文にある以上はそれに当てはまるかということを書くべきだろうと判断しつつ、強制と任意の区別論を書かずに任意処分の限界について論じることで理解を示せば大丈夫かなぁということで再現のような書きぶりになりました。
また、捜査①②ではメモ片の復元行為も問題になり、こちらは「必要な処分」として任意処分の限界論で事実の評価がポイントになるのだろうということで、一通り事実を拾って当てはめたつもりです。

捜査③についても、メモ片復元と同様に「必要な処分」が問題になるのだろうということで事実評価に力を入れましたが、ここは捜索差押の対象物であるということで、携帯の差押が実質的には内部のデータを入手することを目的としていた点について言及したほうがよかったとは思います。
当てはめについては、事実を単にあげるだけでなく、できる限り評価を加えるように心がけました。ただ、時間もなかったので予定より粗い記述になったところもあります。結論は何となく適法っぽかったのでそのように書きました。

[設問2]
これまた書くことが多いなぁという設問。どれだけ捜査好きなんだと。
捜査パートは、違法にすると違法収集証拠排除法則の論述が避けられず、伝聞の検討が十分できないと感じたことと、秘密録音やおとり捜査で違法になった事例はこれまでないし本件で違法にすべき悪質性があるとは感じられなかったことから、適法の方向性で書くことに決定。排除法則を書かないことで点がつかないというものでもないでしょうから、この判断は間違ってなかったと思います(違法としても排除に至るということはないでしょうし)。

まずは秘密録音について。これは強制か任意かという法的性質の決定論が重要な論点ですから、区別論について割と丁寧に論じた上で、秘密録音で制約される自由の性質について検討して非強制と結論。これは定型的な議論ではあります。
事実の評価については、3つ録音があるのでそれぞれ別途検討する必要があるかとも思ったのですが、そんな時間もないので、まとめて検討しました。時間の関係で少し検討が粗くなったのは残念です。
おとり捜査については、法律論をフルで書くことはできないので、法的性質の議論で制約される権利の性質を簡潔にまとめて非強制の結論を導いた上で、おとり捜査の特徴である犯罪作出の側面を指摘してそれとの関係で相当性を見るという筋で、論証を簡略化した検討をしました。そういう割りきりが要求された試験だったのだとは思います。個人的には秘密録音の方がメインだと感じたので、おとりについては少し力を抜いて書いた感じです。

そしていよいよ証拠法へ。毎年伝聞が出ているわけですが、今年は録音の反訳ということで、毎年何らかのひねりがある事案に感心させられます。しかし感心しているだけだと点がつかないので、時間に追われつつ処理していきました。
まずは伝聞法則の趣旨から要証事実との関係で伝聞例外を満たす必要があるということを説明。ここで本来ならば再伝聞の論証をすべきところで、構成時点ではその予定だったのですが、時間が足りないと感じたので省略することに。しかし、そこを省略するのであれば、立証趣旨について実質的に判断すべき理由についての説明を省けばよかったなぁと反省しています。再伝聞の論証もそんなに長くなく書けるのですから、ここは省くべきではなかったか。
それから反訳ごとの検討に。聞き取れない部分が結構あることについてどう考えるのかと気にはなりましたが、決定的な会話内容にしないことで書くべき内容を減らしてくれているのだろうと割り切って気にしないことに。そこで反訳1では乙の供述だけが問題となり、321Ⅰ③の要件を検討することに。特信性についてはもう少し検討したかったのですが、時間がないので粗くなるのはしょうがないです。また、昨年の問題と同様に署名押印が欠けることの評価が検討されねばならないのですが、写真と違って完全に機械的再現とはいえないことが特殊な点としてあるので、録音の分析ができるから大丈夫だという理由付けを加えておきました。これも本当なら問題提起から丁寧に論じたかったのですが、そんなことが許されるボリュームの問題ではなかったので仕方ないです。昨年は論点自体落としていたので、進歩はしたと考えたいです。
反訳2では甲の供述が問題となりますが、これは客観事実とあわせると発話自体が証拠価値を有するので、非伝聞であるとして処理することに。ただ、これも録音再現という事案の特殊性から自然的関連性が問題になりそうだということで、問題提起まではしないものの、関連性の充足について検討しておきました。乙については特信性を改めて検討したかったのですが時間の都合で省略。
反訳3も同様に非伝聞として処理。丙女の供述は、乙が死んだのでストーリー上出てきただけで、証拠価値としてはどうでもいいのかなぁと。ちょっと不安でしたが時間もないので丙女はスルーしました。


といった感じで一応最後まで書き終えましたが、いろいろと省いた部分もあり、完全な答案とはいえないところです。ただ、時間が足りないという点ではみんな同じだと思いますので、書ききったというだけで普通の点数にはなってほしいです。
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複数の点で、気になる部分があります。


1.集積所を「誰でも入れる場所」とするのは危険な感じがします。マンションなどの集積所には「住居者以外ゴミ捨て禁止」と書いている場所はありますし、本問では私有地内にありますから…捜索の要素が加味されるかと考えられます。

2.設問2で、前提捜査の適否だけというのは、ちょっと怖いですね…。問題文は「捜査報告書の証拠能力について」論じるということですので、前提捜査も証拠能力と関連させた方がよかったのでは?と思いますが…やはり時間が厳しいですよね…。

3.伝聞の箇所で、反訳1だけ「会話」として、反訳2以降は「供述」としているのが気になります。ちょっと細かいですね…。あとは、伝聞禁止は、供述性と「要証事実」との関連性が問題となるのであって、「立証趣旨」との関連性とするのは、何か奇異に感じます。「立証趣旨」って、証拠目録の個々の証拠の標題みたいなものですよね…。


もっとも、設問1はピカイチな答案だと思いますし、秘密録音部分も良好ですし、伝聞例外も反訳の性質をしっかり書いて署名不要とするなど、良い点数がつきそうですね♪

私は、領置書きませんでした…書き方が分からなかったから…嘘を書くより、設問2で勝負しようと思い、諦めました…。その点、管理人様の設問1を読んで、大変感銘をうけました。


と、採点官でもない私が言っても何の説得力はないですが…でしゃばって申し訳ありません。ですが、合格ラインより上に位置する答案だと思います。

No title

設問一
領地を任意とするのはどうか?

刑訴はちょっと適当になってしまいました

>さむがりさま
1.の点については、問題文に「誰でも出入りすることが可能な場所にあった」とあることを捉えて、家の中のように高度のプライバシーがあるわけではないというイメージで書いたものです。ただ、占有を問題とするべきこととの関係で、管理権が及ぶことで占有が認められることの評価をすべきだったし、私有地に入るという要素も評価すべきでした。
この辺は正直手落ちでしたが、結論がありえないわけではないと思います(判例では本問のような事案がないので射程外ですが、おそらく実質的侵害がなければOKという議論もありうるでしょう)。

2.違法収集証拠排除法則は前提捜査が違法でないと出てこないので、論理的には僕の結論を取れば検討しなくてもよいとは思います。確かに書かないのは怖いですが、結論に影響しない(これで証拠排除するのは筋が悪いように思います)ところに時間を割いて他を落とすのも怖いので、そういう問題だと思い切ってしまいました。

3.用語法はかなり適当になっています。再現と本番の用語法が同じかは分からないのですが、少なくとも再現時点で間違っているので、焦って書いた本番でもミスをしているとは思います。このあたりは意識が不足していました。
特に、立証趣旨と要証事実はしっかり書き分けたかったですね。前者は当事者の主張する証明主題で、後者は実際にその証拠が示す事実、という感じでしょうか。

全体として時間に追われつつ書いたのでよくわかりませんが、評価されていればよいなぁというところです。

>すいかさま
最高裁の判例で、領置における取得行為は任意処分であるというものがあります。なので本問に限れば任意処分といってよいと思います。
ただ、領置には占有を継続するという要素もあり、返還を要求されても返さなくて良いという部分があるので、ここについては議論が分かれそうです。確かにこの部分は差押えの実質があるので強制処分のような気がします。

僕の答案ではそもそも領置の法的性質を論じなかったので、むしろそのあたりがマイナスになっているのかもしれません。最高裁判例が条文にある領置の可否という形で議論していたので、それに沿って(しかし占有と所有権を取り違えて)検討したので法的性質は議論しなかったのですが、一言あってよかったとは思います。

No title

最高裁は領置の前提となる取得行為(すなわち任意提出)が任意であると述べたのではないか。
領置が強制処分であることは争いがないと思うが。
そして、本件では遺留物に当たるかの問題ではないか。

No title

「領置には占有を継続するという要素もあり、返還を要求されても返さなくて良いという部分があるので」

いや、領置はこの意味でしか無い。

答えは分かりませんが…

>すいかさま
僕も一受験生であって答えはよく分かりませんし、答案でも任意処分だという見解を押し出しているわけではないので(類推適用という言い方は微妙ですが、一応「遺留物」の解釈を問題としているので)なんともいえませんが、以下、思うところを書きます。

最高裁の判例は以下に示したものがあり、そこでは「押収中には強制処分としての差押の外任意処分たる領置も含まれるのであるから…」とあり、取得行為とその後の占有継続を分けていません。ただ、これは領置が取得行為と占有継続の2つの側面を持つことを意識していなかっただけのような気がするので(判示自体が傍論のような感じになっている)、占有継続についてまで任意としたものと解するのは違うのでしょう。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319133759989651.pdf

すいかさまが「領置が強制処分であることは争いがない」というのはどのような根拠に基づくのかよく分からないのですが、領置のうち占有を継続するという点について強制処分というのでしたら、争いがないのかどうかはともかく、賛同します。

この点、手元にあった教科書には次のようにあります。
「法221条[注:領置]は(…)物の占有を取得する唯一の任意捜査である。客体は、遺留された物と任意に提出された物に限られる。もっとも、一度占有を取得したら、強制的に占有を継続することができる。占有所得時は任意でなければならないが、領置した後は強制的な占有なのである。」(池田・前田『刑事訴訟法講義[第2版]』P.137)
これによれば、占有の取得行為は任意で、その後の占有継続は強制だという理解が正しいことになります。遺留物については提出がない(したがって任意提出ではない)が、占有放棄の実質があるので差押えと異なり任意処分として取得できる、ということでしょう。もっとも、所有権は残っているので、その後返還を求められた場合に占有を継続することについては強制処分と考えなければならないのだと思います。
*ちなみに、犯罪捜査規範では、任意捜査の章(第4章109-111条など)に領置についての規定があります

本問との関係で言うなら、設問1ではごみの取得とメモ片再現行為の2つが問題となっており、このうちごみの取得については、領置の規定はあるものの任意処分として考えてよいのだと思います(法的性質を論じる必要もないように思われます)。領置規定の適用の有無という意味では遺留物に当たるかどうかという話になりますし、そう書くのがH20最高裁判例との関係でも正解だと思いますが、任意処分として論じてもそんなに的外れでもないような気はします。
他方、メモ片再現については、捨てられたとはいえ甲の所有物ですから、これを勝手に再現することは強制処分というべきなのかもしれません。ただし、領置に基づく占有継続については必要な処分ができるという条文があるので、必要な処分としての許容性を検討するという形で再現行為を正当化する余地があるということになりましょう。このような理解を示せればよかったのかもしれませんが、本試験では無理でしたし、そこまで書けなくても支障はないと思います。

>「領置には占有を継続するという要素もあり、返還を要求されても返さなくて良いという部分があるので」
>いや、領置はこの意味でしか無い。
というのは、どのような根拠に基づくのでしょうか。参考のため典拠などを教えていただけないでしょうか。僕としてはここで法律論について論争をするつもりはないのですが、あくまで勉強のためということでご教示願えましたら幸いです。

No title

領置の適宜を述べて判例の強制処分の定義にあてはめてごらん。
どの文献でも任意処分と断言するのは無理だから。
条文からはなれている印象。

No title

>すいかさま(でしょうか?)
領置を占有取得と占有継続の2つに分ければ、最高裁昭和51年決定の趣旨からしても、前者の部分は任意処分となるはずです。先に引用した池田・前田『刑事訴訟法講義』はこのような理解に基づいていると思うのですが、この文献の記述は誤っているという立場に立たれるのでしょうか?

少なくとも、本問の前提と思われるH20判例では、遺留物の解釈は問題となりますが、領置の法的性質は問題とされていません。これは、取得行為に限れば領置の強制処分的側面は問題とならないからだと理解しうるでしょう。本問ではその後に復元行為があるのでまた違ってきますが、領置が取得と占有継続の2つに分けられるという理解が唯一のものとはいえないとしても、それが成り立たないという理由についてはよく分かりません。

無礼な物言いであったとすれば申し訳ないですが、特に理由もなく「どの文献でも任意処分と断言するのは無理」などの断定は、解釈論として説得力に欠ける印象を受けます。
もし差し支えなければ、領置について取得行為と占有継続を区別することが出来ない(引用した池田・前田の記述あるいは僕の理解が誤っている)という理由を教えていただけないでしょうか?

No title

そんなこといってない。

あなたの答案は領置をすべての点を任意としている点で問題だと思うと言いたかったのである。
遺留物を取得することと任意提出を得ることは強制の訳ない。それは、領置の法的性質を論じるまでもなく明らか(説得力を欠かないと思うが)。あなたの場合は、遺留物にも任意提出にも該当しないとしたのに、なぜ持ち帰ることができるのか。そもそも領置は任意だからというのはやはり問題ではないか。また、任意でありながら類推適用によって適法とするのか。前田や判例を引用しているが、あなたの設定した論点と異なるので同列に論じることはできないと思う。

No title

>すいかさま(?)

>あなたの答案は領置をすべての点を任意としている点で問題だと思うと言いたかったのである。

そういう趣旨でしたか。最初からそのように指摘していただければよかったのですが、こちらも意図を読み取れず申し訳ありませんでした。

僕の答案において、領置の法的性質について十分意識せず、とりわけメモ片の再現行為において強制処分の側面があること(領置の強制処分的側面を前提としてはじめて「必要な処分」の問題が生じるので)を表現していない点は、ご指摘の通り答案上の瑕疵だと思います。正直なところ領置の意義について勉強していなかったため、重要判例をうろ覚えしていたので飛びついてしまったという感はあり、不出来な内容を書いてしまったと反省しています。

>遺留物を取得することと任意提出を得ることは強制の訳ない。それは、領置の法的性質を論じるまでもなく明らか(説得力を欠かないと思うが)。

という点については、再現答案の内容とは直接関係のない、領置の理解にかかわると思います。僕が判例や池田・前田を引用して述べたのは、領置には任意処分と強制処分の2側面があるという理解があるということを示すためです(自分の答案を正当化するためではありません。そもそも、こんなところで自分の答案を正当化しても、採点に影響するものでもないので、そのようなことに興味はありません)。
遺留物を取得することは強制のわけがないといいますが、刑法254条では遺留物(遺失物)の横領を所有権侵害の点から処罰しており、遺留物取得行為にも所有権という法益の侵害があるといえるので、昭和51年決定の趣旨から「意思に反する重要な権利利益の制約がない」点を踏まえなければ、任意処分とは即断できないのではないでしょうか。そして、このような点を踏まえて、刑訴法221条は、遺留物を領置できるとして、無令状での占有取得とその後の占有継続が可能である旨を定めていると見るべきでしょう。
判例は占有取得行為である「押収」には「任意処分たる領置も含まれる」としており、領置という行為の中に占有取得行為があるとの理解を示していますし、池田・前田もこの点を捉えて、領置の中に任意処分たる占有取得があると述べているのだと思います。

以上の「領置には占有取得と占有継続の二側面があり、前者については任意、後者については強制処分の性質がある」という理解について、やはりおかしいとお考えでしょうか。僕自身も確証はないので、特に領置を2つの性質で捉えるという理解について、ご意見があればお聞かせください。
結論として占有取得が任意であることは相違ないと思いますので、おそらく僕とすいかさまの理解の相違点は、占有取得行為が領置といえるのかどうかという点にかかるのだと思います。刑訴211条は取得行為も領置としているように読むのが自然ですし、領置に対比される差押については取得行為+占有継続の両方が含まれているということからしても、領置には取得行為も含まれると理解するのが正しいと思うのですが、どうでしょうか?

そして、領置を占有取得と(所有権に反する)占有継続と理解すれば、本問のうちゴミ袋からメモ片を持って帰ってきたことは任意たる占有取得であり、(領置の条文を介さないとしても)相当性が検討されるべき問題となる一方、占有継続中のメモ片を所有者の(黙示の)意思に反して再現する行為が強制処分であり、強制処分の側面に係る領置のため必要な処分として許容されるかを論じなければならない、ということになるのではないかと考えています。
いずれにせよ、自分の答案ではそのような思考を展開できなかったわけではありますが…。

以上、ご指摘への答えではない部分もありますが、思うところを書かせていただきました。
改めて自分の答案の不備について反省させられました。ご指摘ありがとうございました。
またなにかございましたらご教示ください。

No title

任意提出と遺留物以外に「領置」という手段があって、それによって占有を習得できるという考えか?

No title

いつも拝見しております。

管理人さんではなく、すいかさんに質問させて頂きます。
・領置が強制処分であることは争いがないと思うが
・領置の適宜を述べて判例の強制処分の定義にあてはめてごらん。
どの文献でも任意処分と断言するのは無理だから。
と貴方は述べています。

しかし、寺崎嘉博「刑事訴訟法(補訂版)」111頁の脚注20には、「領置は任意処分だと解する」と明言されています。(110-111頁にかけて、「占有を取得するときに、これ(注:押収)を強制的におこなう場合を差押えといい、任意によるときは領置とよぶ」とされています。)

少なくとも寺崎教授は、領置を「任意処分」と明言されています。
貴方の上記発言は誤りですね。撤回しますか?反論を試みますか?

管理人さんがかわいそうな絡まれ方をしていたのでついつい書き込んでしまいました。

No title

なんで?

追記

別に間違いではないと思うが

No title

領置の前提となる任意提出と遺留物取得も領置とするならばそれは任意でしょう(前田、寺崎もそのように解しているのでは)。しかし、領置は占有継続も含む。その点は、両者は何も触れていない。
それなのに、任意提出と遺留物ではないのに答案は任意の領置で適法としていることが問題と思ったまでである。

「絡む」というのは不適切なので撤回してください。

No title

そうだとしても、管理人様には行き過ぎがあったことは認めなくてはならない。

不快の思いをさせることが真意ではないことはわかってほしい。嫌な思いをしたと思うので謝りたい。





いろいろありましたが

とりあえずこのブログの趣旨は新司法試験に向けた記録と試験の反省ですので、答案の内容についてご意見いただけることは大歓迎です。その上で、穏やかに意見交換などできればということでお願いします。

>とおりすがりさま
コメントありがとうございます。
寺崎先生は領置を任意処分と解されているのですね。占有取得後の継続を領置に含めつつそれも任意とするのか(一旦占有を放棄しているのでその後の占有復活を言い立てる権利もなくなっていると考えれば有りうるのでしょうか)、領置は占有取得行為のみだと理解しているのかは分かりませんが、少なくとも占有取得の点については任意と言ってよいのでしょうね。

>すいかさま
コメントについては、本試験では十分考えることがなかった領置について考えるきっかけをいただいたということで、感謝しております。
その上で本問との関係でコメントしておきますと、(繰り返しではありますが)設問1のごみ袋収集自体は(領置の条文の適用を指摘する必要はあるとしても)任意として考えればよいのだと思います。強制の側面はメモ片の再生という占有継続中の物に対する復元行為にあるということで、そのことを意識しつつ「必要な処分」としての正当化ができるか検討するというのが題意ではないかと今のところは考えています。この辺は出題趣旨などを見て考える機会があればと思っています。
プロフィール

眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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