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再現答案3(選択科目・知的財産法)

2日目午前中の選択科目の再現です。知的財産法を選択しています。


*できる限り正確に再現していますが、後日再現したため、文章表現については本試験より整理・美化されていることは否めませんのでその点は割り引いてください。答案構成や事実の摘示評価内容、法律論の内容については本番を正確に再現したつもりです
*追記部分に反省点を書いていますが、解説や基本書などを見て書いたわけではないので、間違っているかもしれません。参考にされる方がいるとしたら注意してください


――――――――
選択科目 知的財産法
問題文

第1問(特許法)

[設問1]
1 (1) 甲は、α発明に係る特許権を乙と共有しており、これを単独行使できる(特許法73条2項)。よって、甲は特許権者として単独で丙に対して差止めを請求できる(100条1項)。
    もっとも、丙のイ号製品はα発明の構成要件のうちBの部分をb´に置換しており、Bを充足していないから、甲の特許を文言上侵害していない。よって、甲は丙に対して文言侵害を理由として差止請求をすることはできない。
  (2) 均等論
   ア しかし、特許出願時に全ての侵害態様を予測して構成要件をクレームすることは不可能であるし、もし特許構成要件の一部を置換することで特許発明を実施することが全て認められてしまうと、特許権者が害されて特許への意欲が損なわれ、産業の発達という特許法の目的(1条)に反する結果になる。
     そこで、構成要件の一部を置換して文言侵害を免れた実施についても、置換後の構成が実質的に特許発明と同視でき、権利を及ぼしてよいといえる範囲については、均等侵害としてなお特許権の効力が及ぶと解すべきである。
   イ 具体的には、次の5要件を満たす必要があると考える。すなわち、均等侵害は、①置換部分が発明の本質的部分ではなく(特許発明との同一性を認めるため)、②置換によって同一の作用効果を生じ目的を達成することができ(同上)、③当該置換が当業者にとって公知・容易想到であること(そのようなものであれば権利を及ぼしてよいから)、④置換後の構成が公知・容易推考でないこと(公知・容易推考の実施はそもそも誰も特許権を及ぼせないから)、⑤出願時に当該置換を除外したなど特段の事情がないことを要件として成立する。
2 本件で均等侵害が成立するか
(1) そこで以上の要件について検討する。まず、①本質的部分以外が置換されているかについては、α発明の構成要件A~Cのうち、BとCをそれぞれ置換したイ号製品とロ号製品はα発明と同一の作用効果を生じているから、α発明の本質的部分は残るAにあると考えられる。よって、Aを置換していないイ号製品は①要件を満たす。
また、②を満たすことは明らかであり、③も戊の出願によりイ号製品製造時に置換は公知となっていたといえるから充足し、⑤を満たさない特段の事情も見当たらない。
 (2) では、④要件はどうか。本問では、置換後の構成はα発明の出願時には非公知等を満たすが、その後戊の出願に係る出願公開によって公知となり、侵害時には要件を満たしていない。そこで、④要件がいつの時点で要求されるかが問題となる。
   この点、④要件は、公知・容易推考の構成についてはそもそも特許を受けられなかったのであるから、そこに権利を及ぼし侵害を主張することを排除するために要求されている。これによれば、同要件は権利を得ようとした特許出願時に存在すればよいと解すべきである。したがって、戊の出願公開に先立つ2005年2月3日に出願がされている本件では、④要件を充足するため、丙の実施行為は①~⑤要件を全て充足し、均等侵害が成立する。
 (3) もっとも、本件では戊の出願公開は甲らの出願に遅れているものの、出願自体は甲らの出願に先立つ2003年10月6日にされており、これが認められると、甲らは後願となるため、置換後の構成については戊が特許を受けることになる(39条1項)。すると、甲らはそもそもイ号製品の実施について権利を有さないとも考えられる。
   しかし、本件では未だ戊は特許権の設定登録を受けておらず、特許権は生じていない(66条1項)。よって、甲は現時点では置換後の部分にも権利を主張できると解する。戊との関係では、その後戊が特許を受けた後に不当利得等(民法703条)で調整することになる。
3 以上より、甲の差止請求は認められる。
[設問2]
1 本問でも、文言侵害はないから、均等侵害の成否が問題となる。設問1と同様、①②⑤要件は充足し、Cをc´に置換することが容易でなかったから出願時に④要件は満たしていたといえるが、③要件の充足は認められるか。以下検討する。
2 ③要件を充足するか
 (1) 本問では、③要件はどの時点で必要とされるかが問題となる。この点、③要件は、公知・容易想到な置換行為であれば権利を及ぼしてもよいと考えられること、逆に言えばそうでない置換行為は独立に特許を受けうるとして保護されるべきといえることを理由に要求されているから、その充足は侵害時に判断するものと解される。
 (2) これによれば、侵害時点で要件を充足していた丙の実施については、③要件を満たさないため、均等侵害は成立しないから差止請求できない。
   一方、丁の実施については、丙のロ号製品の解析によって置換された構成を容易に知ることができたから、実施時点で置換行為は公知になっていたといえ、③要件を満たすように思える。しかし、前記の趣旨からは、そもそも置換が公知でなかったということは、当初からα発明は置換部分を特許の範囲に含んでいなかったといえるから、甲は丁にも権利を主張できないと考える。これは設問1の結論と矛盾するようにも見えるが、設問1では出願時には先願者戊の特許が成立していないから未だ甲の権利が認められるのに対して、本問では出願時から置換部分が公知でなく元々特許範囲外といえるから、本問で甲が権利主張できないのはやむをえない。
 (3) よって、甲は丙・丁のいずれにも差止請求ができない。
[設問3]
1 設問前段について
 (1) 丁の実施行為は、発明αの一部を置き換えたものの製造であり、均等侵害として甲の権利を侵害している。これによれば、甲の差止請求は認められそうである。
 (2) しかし、丁は乙の依頼により、乙のために製品を製造し、全量を乙に納入している。乙は共有特許権者として、別段の定めがない限り特許を単独実施できる(73条2項)。そして、丁は前記の通り、いわば乙の機関として発明を実施しているから、丁は乙と同視できる。
   よって、丁の実施行為は特許実施権を有する乙による実施と同視できるから、甲は丁に差止請求をすることができない。
2 設問後段について
一方、甲と乙の間で、甲のみがα発明の実施をできると定めた場合、73条2項の「別段の定」があったものといえ、乙は単独での実施権を有さない。
  したがって、乙の機関である丁も実施が許されないから、甲の丁に対する差止請求は認められる。
以 上


第2問(著作権法)

[設問1]
1 著作権に基づく請求
 (1) Aに認められる権利
  ア αプログラムの著作者
    Aは従業員のCにαプログラムを作成させている。著作権は著作者に認められるから(著作権法21条以下参照)、AがBに請求する前提として、Aがαプログラムの著作者と認められる必要がある。そこで、15条2項の適用があるか検討する。
    本件では、プログラム著作物(10条1項9号)であるαプログラムは、AB間の本件契約に基づく法人Aの業務として、その発意に基づいて従業員のCが作成したものであり、Cに著作権を留保する特段の定めもないから、職務著作としてAが著作者となる(15条2項)。
  イ 本件契約で著作権をBに譲渡したことの評価
    Aは本件契約で、αプログラムの全ての著作権をBが有する旨合意し、Bに著作権を譲渡している。しかし、翻案権及び二次的著作物の権利(27,28条)については、譲渡目的として特掲されていない限り、譲渡者に留保されていたものと推定される(61条2項)。よって、譲渡対象を「すべての著作権」とし、上記特掲をしていない本件においては、Aに翻案権が留保される。
    よって、以下では翻案権侵害の成否について検討する。
 (2) 翻案権侵害の成否
  ア Eの改変行為が27条の翻案権侵害にあたるか。ここで、翻案とは「既存の著作物に依拠しつつ、その表現上の本質的特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に増減・修正・変更等を加え、新たに思想感情を創作的に表現することにより、既存の著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できる別の著作物を創作すること」をいうが、Bは、αプログラムに依拠しつつ、これを改変により修正等することで、元々の物質解析器用の機能を向上させた別のプログラムを作成したから、上記定義に当てはまる。
    よって、Eがした改変は翻案にあたり、Aの翻案権を侵害している。
  イ そして、Eの上記行為は、β製品の製造販売という法人Bの業務のため、Bの発意に基づき、従業員であるEがBの職務として行ったものであるから、βプログラムはBの職務著作となり(15条2項)、Bは上記翻案権侵害の主体として責任を負うことになる。
 (3) 請求できる内容
以上の翻案権侵害に基づき、Aは損害賠償請求(民法709条。著作権法114条など参照。ただし二次的著作物の権利は原著作物の創作性の範囲にしか認められないと解する)と差止請求(112条)をすることができる。差止めの内容としては、製品販売の差止めのほか、112条2項よりプログラムβの消去等を命じることが考えられる。
2 著作者人格権に基づく請求
 (1) 同一性保持権
   Aは、翻案により意に反してαプログラムが変更されたとして、20条1項の同一性保持権を主張できる。なお、Aは法人であるが、著作権法上、法人でも著作者人格権を主張するに妨げはない。
   もっとも、本件のようなプログラム著作物の改変については、効果的な利用のための改変行為は「必要な改変」として20条2項3号より許容されている。これによれば本件でも機能向上のための改変として免責されるとも考えられるが、同項の趣旨は著作物の利用者の自由を保障するところにあり、製品販売により利益をあげるための改変までを「必要な改変」として保障することは、著作者を不当に害することからも、同項の想定外と解される。よって、本件では同項による免責は認められない。
 (2) 氏名表示権
   Aは、氏名表示権(19条1項)に基づき、βプログラムに自己の氏名を表示するよう請求することも考えられる。
   しかし、Aは本件契約でBを著作者として表示することに同意している。著作者人格権も経済的利益のため譲渡できることから、Aは氏名表示権を譲渡しており、もはやBに対して主張できない。
 (3) 以上より、Aは同一性保持権侵害に基づき、著作権侵害と同様に損害賠償請求及び差止請求をすることができる。
[設問2]
1 差止請求の根拠
 (1) 著作権に基づく請求
本件では、Fは翻案権侵害により制作されたβ製品を購入しているが、翻案行為自体は行っていない。そこで、かかるFに差止請求をするには、Fについて113条2項のみなし侵害が成立する旨を示す必要がある。
   具体的には、Fがβ製品をBから購入した時点で、β製品の中のβプログラムがAの翻案権を侵害して作成されたことについて「情を知って」いたことを示す必要がある。これは、FがBの子会社であってBと密接な関係にあることや、Bがβ製品を作成した目的の中にFの業務に使用することが含まれていたことなどを主張立証することで示すことになる。
 (2) 同一性保持権に基づく請求
   同一性保持権侵害についても、113条3項3号により、「情を知って」所持しているといえれば差止請求をすることができる。
2 差止請求の内容
 (1) 差止請求のためには、その内容を特定しなければならない。本件では、112条2項により、侵害により作成されたβプログラムの消去を請求することが考えられる。
 (2) ここで、同一性保持権に基づく請求については、B従業員のEによる改変時点で侵害行為が終了しているから、もはや差止めはできないのではないかとも思われる。しかし、みなし侵害が成立しており、また親子会社として侵害者Bと密接な関係にあるFについては、侵害者と同様の責任を認めてよいといえるから、差止めは許されると解する。
[設問3]
1 Dは、α製品を購入した上、αプログラムの著作権を譲り受けたBに無断で希望者に賃貸している。これは、αプログラムを貸与によって不特定多数の公衆に提供する行為であり、Bの貸与権(26条の3)を侵害している。
2 貸与権の消尽の成否
 (1) これに対するDの反論としては、DはBからα製品を購入し、Bはその対価を受けているのであるから、その時点で貸与権も消尽する(26条の2第2項類推)というものが考えられる。では、かかる消尽規定の類推は認められるか。
 (2) 著作権法が譲渡権の消尽を認めるのは、①一旦譲渡された場合には著作権者は対価を得ており、それ以上の二重利得を得させる必要はなく、②他方で著作権が消尽しないと取引の安全が害されるということに理由がある。
   では、貸与にこれら理由が当てはまるか。①については、貸与では潜在的需要者に対して著作物を複数回提供することになり、著作者を害する程度が大きいといえる。本件でも、α製品は物質分析器であり、一時的使用の需要も少なくないと考えられるから、貸与によってこれらの者への販売機会が不当に奪われるといえる。また②についても、貸与の場合は著作物は最終的に返還されて貸与者に戻るので転々流通せず、取引の安全を図る必要性は薄い。
   以上より、貸与権に消尽の根拠は当てはまらないから、26条の3第2項の類推による消尽を認めることはできない。
3 以上より、BはDに対して貸与権侵害に基づく損害賠償請求(民法709条)や差止請求(112条)をすることができる。
以 上


【感想・反省点など】
問題ごとに感想を書いておきます。
いずれも25分ほど構成して60分解答作成といった感じでした。10分少々余りましたが、内容を直すスペースなどがなかったので字をなぞったりして丁寧にしようとしたくらいでした。

特許法
[設問1]
均等論からの問題で、要件について趣旨から理解しているかどうかを問う問題でした。ちょっと抜けていたところもあり、特に設問2では無駄に考え込んでしまったところがあります。
まずは文言侵害がないことを指摘した上で均等侵害を認めるべき理由と要件について一通り記述。勝負どころ以外で丁寧に書けるかどうかが実は重要な気がしたので、設問1で問題となる第4要件以外の評価をできるだけ丁寧に行ったつもりです。具体的には、本質的部分の置換がないという要件の充足性についてです。
そして問題となる第4要件の解釈ですが、趣旨から基準時を出願時点として要件充足を肯定しました。しかし、それだけにしては事案が複雑なので少し考えたところ、甲は戊の後願になっているという設定があったので、これによって甲の請求が否定されるのではないかという点を検討しておきました。これは加点事由ではないかと思いますが、合ってるかは不明です。

[設問2]
今度は第3要件が問題に。要件の趣旨がすこしずれてしまい、そのせいでいらないことを書いてしまいました。第3要件は実施者の予測可能性から権利を及ぼす範囲を定めるものですが、答案では「第3要件を満たさない部分には独立に特許が発生するから、そこに被侵害者の特許権は及ばない」といったような内容を書いてしまいました。そのせいで、基準時を侵害時点としておきながら、結局のところ出願時が基準とされるような処理になってしまいました。これは間違っているのでしょう。
ここで変に考えたのは、設問3であまり書くことがないなぁと思ったからなのですが、後述のように設問3では検討すべき内容に気づいていなかったわけで、設問2では設問1との対比で趣旨により基準時が異なるのだということをきちんと論じていればよいというシンプルな要求だったのかもしれません。

[設問3]
この問題はいわゆる手足論というか、侵害主体の一体性をどう評価するかということに尽きるのかなぁと考え、再現の通りにあっさりと論じてしまいました。
しかし、この問題では、乙は発明αを共有していたにもかかわらず、あえてその均等構成での実施をさせていたという特殊性があるので、これを評価すべきだったといえそうです。均等構成については侵害主張は及ぶものの、均等構成にまで特許権が生じていると直ちにいえるものではないので、発明αについての規律と同様に論じることはできませんから、均等侵害を肯定すべき根拠が当事者のクレーム記載能力の限界や発明意欲保持にあるということから、共有権利者に対してまで均等侵害を主張させる必要はないということをきちんと論じるべきでした。
というわけでここが落ちてしまったので、設問3の核となる部分を書けなかったことになります。これは痛いところですが、おそらく全員が書いた内容ではないし、選択科目は配点も低いので、しょうがないということにしておきます。


著作権法
[設問1
とにかく条文をきちんと拾って、問題となる点を淡々と処理しようということを考えました。その結果が再現の内容です。
特に問題となるのは、プログラム著作物の事案であることから、翻案に係る同一性保持権の制限をどう考えるのかという点だと思います。もしかしたら、20条2項3号の趣旨から61条2項の特掲の要請を緩めるという議論がありえたのかもしれませんが、解答中に思いつかなかったので、20条2項3号の解釈として権利侵害を肯定しました。

[設問2]
これはみなし侵害の問題だということで、条文を引いて要件を指摘。ただ、条文を適当に読んでしまったので、本来問題にならない同一性保持権の議論も書いてしまいました。これに関連する記述はマイナス評価になるのだと思います。
そのことを差し引いたとしても、何となく検討漏れがあるような気がする、気持ち悪い設問です。

[設問3]
貸与権の消尽の有無について論じてほしいのだろうということで、法律論をしっかり論じようと思って書きました。消尽論の根拠から論じるのは当然のことですが、貸与の特殊性だけでなく、本件事案との関係でも評価を加えるよう工夫しました。結論としては否定です。肯定説は難しいように思います。


全体として、ちょっと飛び出してしまったところなどがありますが、とりあえず足を引っ張らない程度の答案は書けたのではないかと思います。
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プロフィール

眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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