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再現答案2(民事系第2問・民法、民訴法)

前回に引き続いて民事大大問です。今回の試験で一番悔いの残る科目でした。後半の崩れ方は、再現していて萎えそうになりました。もっとも、昨年の大大問は設問1から終わっていたので、それよりは何とかなっていると信じたいです。


*できる限り正確に再現していますが、後日再現したため、文章表現については本試験より整理・美化されていることは否めませんのでその点は割り引いてください。答案構成や事実の摘示評価内容、法律論の内容については本番を正確に再現したつもりです
*追記部分に反省点を書いていますが、解説や基本書などを見て書いたわけではないので、間違っているかもしれません。参考にされる方がいるとしたら注意してください


――――――――
民事系科目第2問 民法(設問1,2,5)、民訴法(設問3,4)
問題文


[設問1]
1 Fのした主張の法的構成について
  Fは、AからCに金額に限度のない代理権が授与されたという主張と、1500万円を限度とする代理権の授与があった主張とを選択的にしている。このうち前者は2000万円の借り入れについて有権代理(民法99条1項)が成立しているという主張であり、後者は1500万円の代理権授与を前提として権限外の行為の表見代理による責任(110条)が生じるという主張である。
  以下、これを前提に、それぞれの主張との関係で各事実が持つ法律上の意義を説明する。
2 事実①の法律上の意義
 (1) 有権代理構成との関係
   事実①は、契約に先立つ代理権授与の存在という抗弁事実を構成するものである。以下、理由を詳述する。
   有権代理(99条1項)は、代理人が「権限内」でした意思表示を本人に帰属させるものであるから、本人から代理人に代理権が授与されなければ成立しない。そして、この代理権は、代理人が相手方に意思表示をする時点で授与されていなければならないから、契約に先立って代理権が授与されたことが有権代理の要件事実となる。
   ここで、事実①は、本人であるAが、CF間の契約締結に先立つ3月14日に、「Cに(従前合意していた融資について)話してあるから、あとはCと進めてほしい」旨述べたというものであり、これは融資契約についてCに代理権を授与したというAの意思表示といえるから、前記で見た先立つ代理権授与の存在を示すものとして、抗弁事実の一部をなすことになる。
   なお、後述のように、事実①のAの発言は直ちに無制限の代理権授与を意味しないとも思われるが、この点については本人Aの否認により争われることになる。
 (2) 110条の表見代理との関係
  ア 基本代理権としての意味
    事実①は、Cが110条の主張をする上では、基本代理権の存在という抗弁事実を構成するものである。以下、理由を詳述する。
    110条の表見代理は、その成立の基礎として、基本代理権の存在が要求される。110条が本人に責任を認めるのは、代理権の授与があった場合にその範囲を超えた代理行為が行われた場合に、授与された代理権を信用した相手方を保護するためであり、その反面として本人には基本となる代理権を授与したという帰責要素が要求されるからである。これは、110条が「権限外」の行為と定め、基本となる権限が存在していることを前提とすることからも裏付けられる。
    ここで、事実①は、前記の通り、AがCに対して代理権を授与した旨述べるものであるから、かかる基本代理権が存在していたことを示すものとして、抗弁事実の一部をなすことになる。
  イ 「正当な理由」を争う評価障害事実
    一方、事実①は、110条の要件である、権限を信じた「正当な理由」を争うための再抗弁を構成する意味も有する。
    110条は、表見代理の成立要件として、相手方が代理権の権限を信じたことについての「正当な理由」、すなわち無過失を要求している。これは法的評価であるから、実際に主要事実とされるのは、無過失を根拠付け、あるいは否定する個々の事実である。そして、表見代理を主張された本人Aは、Fの無過失を否定する評価障害事実を主張することで、同要件を覆して表見代理の責任を免れることができる。
    ここで、事実①は、Aが「交渉の経過」を前提としてCに説明をしており、Cはそれを理解したうえで交渉に向かう旨述べたものである。本件での交渉経過は、FがAに1500万円を融資するというものであり(事実3)、ここからすると、Aの上記発言は1500万円の借り入れに代理権が限定されていることを明示したものといえる。そして、事実①は、かかる発言を相手方であるFが認識していたということを示すから、Fが代理権の限界について知っていたことを示すものとして、Fの悪意ないし有過失を裏付ける根拠障害事実となる。
3 事実②の法律上の意義
 (1) 有権代理構成との関係
事実②は、有権代理の主張との関係では、特段の意味を有しない。有権代理は先立つ代理権授与があれば成立するから、事後に代理権の存在について当事者が疑問を抱いたなどの事情があってもその効果は左右されないからである。
 (2) 110条の表見代理との関係
   一方、110条の主張との関係では、事実②は「正当な理由」の評価根拠事実としての意味を持つ。
代理権についての無過失は、代理権が存在することについて疑問を抱くべきであったかという注意・予見義務と、それに基づく調査・回避義務によって判断されることになる。ここで、事実②は、Cが事前の予定と異なる2000万円の融資を申し込んできたことから、Fが念のためAに確認を取ろうとしたというものであり、Cの行為に対応した相応の注意に基づき、確認をしたということで、注意義務及び調査義務の遵守を裏付けるものであるから、Fの無過失を根拠付ける。
なお、事実②のうち、Aに電話がつながらなかった点については、十分調査ができなかったことを意味するから、それにもかかわらず契約したとして調査義務違反を示すものとも解しうるが、本件ではその後A方への連絡もされ、妻のDから確認を受けているから、この評価は成り立ち難い。
[設問2]
1 小問(1)について
 (1) 登記がされていないことの評価
  ア Eからは、抵当権設定契約が物権契約であることから、登記がその成立要件であり、抵当権設定登記がない乙・丙の物件についてはそもそも抵当権が成立していないとの反論がありうる。
  イ しかし、物権契約というだけで登記が成立要件になるものではない。369条は「債務の担保に供した」ことをもって抵当権の成立を認めているし、同じ物権契約である質権についても、登記は成立要件ではない(動産については引渡しが対抗要件。344条)。よって、かかる反論は成り立たず、Fは契約に基づいて乙・丙への抵当権を主張できる。
 (2) 乙・丙のほかに甲土地への抵当権が設定されていることの評価
  ア 次に考えられる反論は、Fは乙・丙のほかに甲土地に抵当権を設定しており、それにより被担保債権が保証されているといえるから、乙・丙物件の価値が毀損されたとしても甲土地で満足できる場合にはFには損害はないというものである。
  イ 確かに、抵当権は被担保債権の保証のため設定されるものであるから、(本件では甲土地の評価額が明らかでないのでこの点明確でないが)他の抵当物件により弁済が保証されているといえれば、その他の抵当物件が失われても損害はないという考え方もありうる。
    しかし、抵当権者はどの抵当物件にかかっていくかについても自由が保障されており、甲~丙について共同抵当が設定されたことも当然それを前提としている。本件の被担保債権は利息が年12%、遅延損害金が年20%と相当の割合で設定されており、被担保債権が拡大する可能性もあること、甲物件の評価額も変動しうることからも、本件で甲土地以外に乙・丙物件の抵当権を実施できることへの期待・権利は保護されるべきである。
    よって、甲土地抵当権の存在によってもFの損害は否定されず、Eの反論は成り立たない。
 (3) 被担保債権の弁済期が到来しておらず、また乙土地抵当権は残存している点の評価
  ア Eの反論として他にありうるものとしては、Fの被担保債権は弁済期が第1回が平成20年3月15日であり、丙建物を取り壊した平成19年8月19日時点で弁済期が到来していないから、乙土地についてEは抵当権を行使できず、また抵当権をEに主張できる地位にも変化はないから、乙土地については抵当権侵害を観念できないというものがある。
  イ この点、抵当権は非占有担保物権であるから(369条1項参照)、弁済期が到来していない段階で抵当権設定者が所有権を移転し、または利用することは妨げられない。よって、原則としてEの言うとおり、弁済期未到来の現時点では、Eの行為は抵当権侵害を構成しない。
    しかし、将来の抵当権行使が困難になったという事情があり、それが抵当権者を害する意図でされた場合には、抵当権者の債権回収可能性について損害を観念することはでき、また抵当物件の利用が制限されてもやむをえないといえるから、この場合には弁済期前の抵当権侵害を認めることができると解する。
    本件では、EはAから乙・丙の所有権を譲渡されて有効に所有権を取得し、それに基づいて乙土地を利用しようとしているから、名目的に賃借を受けるような場合と異なり、それ自体は直ちに抵当権実行を困難にするものではない。しかし、EはFによる抵当権の存在を知りながら、自己の居住用建物を建築するため、抵当権設定のある丙建物を取り壊して乙土地を利用しようとしており、Fの権利を無視しようとする意思が現実に現れている。このような場合には、将来Fが抵当権を実施しようとする際にEがFの抵当権の存在を争い、速やかな抵当権実施が困難になることや、それに伴い評価額が下がることが強く予想される。そして、Eはこれらについて認識した上で乙土地の利用を始めているから、上記の要件を満たし、抵当権侵害が認められる。
  ウ よって、この点でも抵当権の侵害は否定されない。
2 小問(2)について
 (1) 登記の不存在と抵当権の効力との関係
上で見たとおり、登記の存在は抵当権の効力要件ではないから、登記がなくても「他人の権利」の侵害は認められる。
 (2) 対抗要件の欠如の問題
  ア Eの反論として考えられるのは、Fは丙建物の抵当権設定登記を経ておらず、丙建物の所有権移転登記を得ているEに対して抵当権の存在を対抗できない(177条)から、抵当権侵害に基づく損害賠償請求もまたなしえないというものである。
本件ではFの所有権とEの抵当権は両立しうるから、二重譲渡のような典型事例とは異なるが、抵当権の有効な存在を所有者に対抗し、それに基づく権利侵害を主張できるかという問題であるから、177条の適用には問題がない。
  イ 背信的悪意者の再抗弁
(ア) この反論に対しては、Eは背信的悪意者であり、Fに対して対抗要件の欠如を主張する資格に欠けるという再反論がありうる。すなわち、177条は物権関係の調整を図る規定であるところ、相手方の権利の存在について悪意であるばかりか、その権利を害して利益を得ようという背信性まで有する者については、そのような調整により保護すべき理由はないから、177条の「第三者」とは登記の欠缺を主張する正当な利益がある者を指し、背信的悪意者は177条の第三者として保護されないと解される。
(イ) では、Eはこのような背信的悪意者に当たるか。
   Eは、AF間の消費貸借契約や、そのために乙・丙物件に抵当権が付されたものの未だ登記がされていないことについて、平成19年4月頃に聞いており、さらに同7月の時点で登記が未了であることも知っていたから、Eの抵当権の存在について悪意といえる。
   そして、Eは、上記認識を前提としつつ、このような状況で乙土地及び丙建物の所有権を取得すれば、自己の住居を建築できると考え、そのような目的のために乙・丙物件を譲受け、所有権移転登記を経た上でCに確認等することなく丙建物を取り壊し、住居の建設に取り掛かろうとしたものである。これは、Eの登記不備に乗じて自分が住居建設の目的を達しようとしたものであり、Eの権利を害して利益を得ようとした背信性を認めるに十分な事情である。また、上記事情からすれば、所有権の移転自体はAの贈与の申出に端を発しているという事実も、背信行為の契機がAによったというだけのことで、背信性を左右するものとはいえない。
  ウ 以上より、Eの反論は成り立たない。
[設問3]
1 第2訴訟の被告の確定
 (1) まず前提として、第2訴訟の被告がEとGのいずれであるかが問題となる。当事者の確定について行動を基準とする見解によれば、本件では出頭していたGが被告であり、したがって訴訟行為は当然に有効となるとの帰結がありうるからである。
 (2) この点、訴訟当事者が誰であるかは、訴訟要件の判断から訴訟行為の規律、判決効の範囲に至るまで、訴訟全体を左右する重要なものであるから、その判断は訴訟当初から明確にされる必要がある。よって、行動を基準に当事者を確定する見解は、いかなる行動をもって当事者と見るかが不明確であって、支持できない。
   上記要請からは、訴状に表示された当事者名及び訴状記載の事実などから外形的客観的に被告を判断すべきと考える。これによれば、本件では被告は「E」と表示されており、訴訟物も乙土地・丙建物の所有者Eに対する損害賠償請求権であるから、被告はEといえる。
 (3) したがって、被告でないのに出頭していたGのした訴訟行為は無権代理であり、原則として無効とされることになる。
2 訴訟代理が認められるか
 (1) もっとも、本件では、EがGに対して「(訴訟を)任せる」と述べている。ここから、訴訟についてGに代理権が付与されたものとして、Gの訴訟行為は有効とならないか。
 (2) この点、訴訟については弁護士以外の代理は原則として禁止され(民訴法54条1項)、訴訟信託も禁止されている(信託法11条)ことから、Eが弁護士でないGに対して訴訟行為の代理権を付与することはできない。よって、Gの訴訟行為を有権代理として有効と認めることはできない。
3 民法109条の表見代理の成否
 (1) しかし、QはEの命を受けて出頭したGの訴訟行為を信頼し、これを前提として訴訟を追行している。このような場合に、民法109条の表見代理によりQを保護する余地はないか。GはEに訴訟を委ねられ、それに基づき出頭表に本人Eの氏名を記載して(署名代理)行動したから代理権表示があったと解しうるし、QはGが無権代理をしていたことを知らなかったから、民法109条の要件充足は認めうる。では、訴訟行為に民法109条の類推適用があるか。
 (2) この点、訴訟を他人に委ねた本人よりも、相手の行為を信用して訴訟を追行した者の方が保護されるべきであることや、無権代理として従前の訴訟行為を無効とすることは積み重ねた手続をふいにすることで訴訟の安定を害することから、民法109条の類推適用を認める見解もありうる。
   しかし、訴訟行為については、本人の裁判を受ける権利(憲法32条)が問題となっており、これを軽視するべきではない。特に、本件のような私人間の訴訟委任については、不実の登記に基づく表見代表取締役の訴訟行為のように、登記等で公示された権利に基づくものと異なり、そもそも訴訟代理権付与の外観がなく、表見代理類推の基礎に乏しい。それにもかかわらず表見代理を認めることは、上で見た弁護士代理原則や訴訟信託禁止の趣旨にも反する。
   そして、訴訟の安定という点からしても、相手方に表見代理の主張を認める場合、相手方は従前の訴訟経過が不利である場合には表見代理を主張せずやり直しを求め、有利な場合には表見代理による有効を主張するという選択が可能となるが、これは訴訟手続の効果が確定しない点で安定を著しく害するし、また相手方を不当に利することになる。
 (3) よって、民法109条の類推適用を認めるべきではないから、Gの訴訟行為はなお無効と考えられる。
4 信義則による無効主張の制限の可否
 (1) では、Gに一旦訴訟を委ねたEがGの訴訟行為を否定することが信義則(民訴法2条)に反するとして制限され、無効を主張できなくなると解する余地はないか。
   この点、そのような余地が完全に否定されることはないが、前記で見た本人保護や弁護士代理原則等の規定の存在からは、信義則により訴訟行為の無権代理が有効と認められる要件については厳格に解されねばならない。具体的には、訴訟行為を他人にさせることについて本人が積極的に関与し、相手方に信用を生ぜしめたといえ、かつ無権代理に基づく無効を認めることによって本人が不当に利益を得るという事情があってはじめて、信義則上無効を主張できなくなると解する。
 (2) これを本件について見るに、EはGの申出に対して「任せる」と発言はしているが、この時点では弁護士もついておらず、Gに訴訟を任せることの意味なども十分理解していなかったと見えるから、積極的にGの訴訟代理を望んだものとは解されない。Gは単なる同居人であって、本件訴訟に利害を有する者ではないし、無権代理が明らかになった後の第5回弁論期日では、Eは弁護士をつけた上でGの行為の無効を主張しているのであるから、EがGに訴訟をさせる積極的意思は見出せない。その他、EがGの代理権の有効性を作出するため働きかけた事情はない。
   また、本件でGの訴訟行為の無効を認めることで、Eが不当な利益を得るという事情も、本門からは見出せない。
 (3) 以上より、本件でEが信義則上Gの訴訟行為の無効を主張できないと解すべき事情は見当たらないから、Gの訴訟行為は無効であり、その効果がEに及ぶことはない。
[設問4]
1 小問(1)について
 (1) 法律構成①の検討
  ア 長所
    ①構成の最大の長所は、それが②構成と比べて原則の意思に沿う自然なものであるということである。通常、原告が自認部分についてわざわざ放棄という形で不利な効果を認めることは考え難い。例えば、1500万円の自認があった場合に、裁判所が1000万円の債務の存在を認めたという場合、②構成では1500万円の債務の存在につき既判力が生じてしまうが、500万円部分についてわざわざ不利な結果が生じることは原告の意思に反する。これに対して、①構成では、この場合に1000万円の債務の存在にのみ既判力が生じ、存在がなかったとされる500万円については確定されない。よって、こちらの方が法律構成としてより自然である。
    また、①構成は、既判力を説明するにあたって判決の効力であるとする点で、後述するように放棄による制限的既判力という不完全な効力しか認められない②構成より紛争解決力が高い。
  イ 短所
    ①構成の短所は、長所の裏返しとして、それが②構成に比べて被告に不利であるということである。被告としては、自認部分について遮断効が生じるほうが望ましいことはいうまでもない。
    また、①構成はいわゆる一部請求によって説明を試みているが、これは一部請求につき原告の明示の意思表示を求める判例理論に反する。判例では、一部請求が相手方の期待を害しうることから、その明示を求めるものであり、そこには支持すべき理由があるから、この点への配慮を欠くことには問題がある。さらに、一部請求の場合には訴訟物は請求した一部に限定されるところ、①構成は訴訟物が債務全体であると説明しており、この点でも問題がある。
 (2) 法律構成②の検討
  ア 長所
    一方、②構成では、訴訟物が債務全体であることを前提に、自認が一部放棄であるとして説明することにより、訴訟物についての前記の難点を免れることができる長所がある。
    また、自認部分について確定が保障されることで、被告にとって有利であり、その部分について直接審理する必要がないので裁判所の負担が軽減されるという利点もある。
  イ 短所
    しかし、②構成については、自認部分について生じる効果を請求の放棄(266条)で説明することから、その効果が既判力に比べて限定的であるという問題がある。すなわち、請求の放棄は確定判決と同一の効力を有すると定められてはいるが(267条)、放棄は当事者の意思表示に基礎を置く訴訟行為であり、判決と同視することはできないから、意思表示の瑕疵に基づく無効の主張を認めるという制限的既判力しか生じないと解される。よって、②構成で自認部分を確定したとしても、原告は自認について錯誤等があったとして再度争うことが可能となり、紛争が根本的に解決されない。
    そして何より、②構成は自認部分を請求と同時に一部放棄がされたとして説明するが、これは原告の通常の意思に沿わないし、266条1項が「口頭弁論等の期日」に独立した手続として放棄を定めていることとの関係で不自然である。以上を要するに、②構成は訴訟物が全体であることの説明について①構成より秀でるが、法律構成そのものの説明に問題が残ることになる。
2 小問(2)について
(1) 本問では、債務の不存在を前提とする抵当権設定登記抹消請求に対して、債務500万円の存在を前提とした、500万円の支払と抵当権設定登記抹消の引換給付判決を下すことが、原告の申立事項を超えて判決する246条違反になるかが問題となる。
(2) そこでまず前提として、第3訴訟の訴訟物について検討する。この点私は、一部存在を自認した上での債務不存在確認請求の訴訟物は、自認部分を超える部分の債務の存否にとどまると解する。自認部分について原告がわざわざ不利な判決効を及ぼされることを望むことは考えられないから、自認は単に審理対象の特定のためされていると解するのが原告の意思に沿うからである。
(3) 以上によれば、第3訴訟で全部棄却判決がされる場合、その既判力は先決部分である債務1500万円の不存在であることについて生じる。
  これに対して、本問のような引換給付判決では、その既判力は原告の500万円支払義務と、それと引換えにする抵当権抹消登記請求権の存在について生じる。これを全部棄却判決と比較すると、1500万円の債務不存在と500万円の支払義務では、現実の支払義務が生じる点で引換給付判決は原告に不利であるが、その反面として引換給付判決では抵当権抹消登記請求が可能になるという点で原告の意思に沿うものとなっている。また、債務の額についても原告が争っていた1500万円より小さいこと、抵当権抹消の要求に対して被担保債権の残存に基づく支払命令が出ることは請求時に予測可能であることから、判決は原告の予想した範囲内であるともいえる。
(4) 以上より、本問の判決は、原告の申し立てた範囲内でされるものといえるから、246条に反せず許される。
[設問5]
1 本件でAがした遺言は、Eが相続人であることを前提として、CとEの相続分について定めたものであるから、Eが相続人でない場合には効果を生じない。しかるに、本件ではEは認知手続をされていないから、認知準正(民法789条)が生じることはなく、EはAの子でない。したがって、Eは遺言により相続することはない。
2 よって、Aの債務はCが単独で相続し、HはCに対して全額を請求することになる。
以 上



【感想・反省点など】
設問ごとに反省点などを書いておきます。
なお、時間配分は、設問1と2で答案構成に30分弱時間をかけた上で1時間50分くらいで書き上げ、その後設問3と4を答案構成30分弱のあと書き始めて15分弱余り、設問5は混乱して2回書き直したあげく再現の通り残念なことになって終了という感じです。

[設問1]
設問1は要件事実の問題。表見代理は類型別ずばりの内容ではありませんでしたが、聞かれていることは例年同様に実体法との関係での意義と事実の評価であり、その中で複数の意味づけの可能性や時的要素に気を付けるということは変わりないと考え、落ち着いて書こうと心がけました。昨年ウソを書きまくってひどいことになった設問でもあるので、まずはこれをきちんと書いて波に乗れればというように思っていました。
というわけで再現どおりの内容を書きました。事実①の有権代理構成では時的要素として「先立つ」代理権授与であることを強調し、表見代理構成では抗弁と再抗弁両方の意義を有するということを意識した上で、実体法上の説明から丁寧に書くことを心がけたつもりです。事実②は、他に何か指摘すべき点があるような気持ち悪い感じもしたのですが、悩んでもしょうがないのでさらっと書いてしまいました。

[設問2]
全体として法律論をばっちり書いてほしそうなオーラの出ていた設問。事案的にも、わざわざ甲~丙の3物件に抵当権がついていることや、賃借人による抵当権侵害という典型事例とは違って所有権を有効に取得しているということから、いろいろ頭を遣うところなんだろうと思いながら事案を読んでいました。

小問1は、再現の通り3つの問題を提起しましたが、最初の議論(登記がされていなくても抵当権は認められる)は当たり前の内容なので、有害的記載事項だったかもしれません。
2つ目の議論では、甲土地に抵当権があるからそれでまかなえという反論について検討。わざわざ甲土地だけ登記つきで抵当権が成立していることから、これは必ず論じるべきだろうとは思いましたが、甲土地の価額が出ていないので、そのあたりを論述でどう処理すべきか悩みました。結局この点は、被担保債権の利息などが無駄に細かく設定されている点を引っ張ってきて、甲土地だけだと足が出る可能性を指摘するという感じでごまかしておきました。
最後に、非占有担保物権である抵当権の性質から、被担保債権の弁済期もきていないし抵当物件も失われていない乙については未だ侵害は観念できないのではないかという問題。多分これが小問1の本丸なのでしょう。賃貸借による侵害の典型事例について正確な規範が出てこなかったので、規範は適当になってしまいました。問題は当てはめですが、賃貸借ではなく有効な所有権取得にもかかわらず侵害といえるかどうかという点について、Eの背信的悪意ともいえる態度から半ば強引に侵害を肯定しました。ここはどう評価されるか不安です。
そのほかにも指摘すべき論点はあるのかもしれませんが、解答時に思いつかなかったので、割り切って次に進みました。

小問2はどうみても177条の対抗問題と背信的悪意の議論をさせるものにしか見えなかったので、あまり悩まず突撃しました。ただ、普通に書くだけではないのだろうということで、典型的対抗問題である二重譲渡とは違う所有権vs抵当権という事案でも177条が規律することに問題はないという指摘を一応しておきました。しかしこれも当たり前ではないかという気はします。
背信的悪意者論については、177条の解釈としてお決まりの論証をした上で、事実評価へ。直感としてEは悪意だろうと思ったので再現の通り認定しましたが、贈与自体はAが申し出たのだということをもう少し評価すべきだったように思われます。

[設問3]
設問3は、当事者がらみの問題なのか…とやや意外に感じました。これは書きやすそうなので、落とさず処理しきらねばということで丁寧に書いたつもりです。
最初に、前提として被告の確定について。無難に実質的表示説から被告をEとし、原則としてGの訴訟行為が無効であることを確認。
続いてGによる訴訟代理の可能性を検討し、任意的訴訟担当の議論を流用して簡単に否定。その上で、民法109条の類推適用の話がありうるかというところに一つのヤマをもってきました。会社の表見代表取締役による訴訟行為の事案と違い、そもそも登記もないから表見代理というのは無理があるような気もしたのですが、だからといっていきなり信義則というつまらない設問ではないだろうし、109条類推の基礎がないことも含めて問われているのだろうと理解して論述しました。というわけで、代取の事案と対比させつつ厚めに検討した上で表見代理も否定。
最後に信義則ということで、それらしい規範を定立した上、できる限り事実を拾って流し込みました。

[設問4]
また訳の分からない問答がはじまっており、疲れもあって多少げんなりしながら考えていました。この設問が今年一番の難問だった気がします。

小問1は、題意を取るのに時間がかかってしまいました。設定や対話の内容から、わざわざこんな構成を検討させているのは(1)Aの弁済の主張を遮断するため、(2)通説に反して自認部分も含めて既判力を及ぼす(訴訟物に含める)必要があるからだということで、構成①②のいずれがこれを実現させやすいかということを考えさせたいのだろうという理解に至りました。というわけで、法的構成としての説得力を中心に、おまけ的に判決効の問題を書くという感じで答案構成したのですが、今思えば上記の(1)の問題意識との関係で構成①②の判決効を詰める必要もありました(後述)。
そのような観点から構成①②を見ると、①は②に比べれば原告の意思に沿っているといえそうなので法的構成自体の正当化は容易ですが、他方で一部請求論との関係で残部にあたる自認部分が訴訟物に含まれないのではないかという疑問があるため、目的であるところの(2)の理解を正当化できないという弱みがあるように思われました。他方、②は原告が放棄したと擬制するのは無理があるだろうと思われるので法的構成として微妙な反面、その点の説明をクリアできれば、自認部分に(制限的)既判力が生じるとの説明は自然なので目的は達成できそうです。そのようなストーリーを表現できるように書いたつもりではあるのですが、最初に総論として問題の所在ないし検討視角についてまとめておけば分かりやすくてよかったのになぁと反省しています。まぁそんな余裕はなかったわけですが。
内容面の不備としては、そもそも本件でAの弁済の主張を遮断できるかという観点から、構成②の判決効についてもう少し悩むべきでした。放棄の既判力は調書記載時に生じるという条文からは、その基準時は放棄を申し立てたと擬制される第1訴訟提訴時点になるので、その後にされた弁済の主張を遮断できないのではないかという疑問が生じます。これは本問のキモっぽかったので、これを書かなかったのは痛いです。みんなが書けている内容とは思えませんが、じっくり考えれば書けなくもない内容なので、これは自分の力不足としかいえない残念な結果です。
また、一応書いておこうということで制限的既判力論についても簡単に述べましたが、①構成に比べれば制限的であれ既判力が生じているだけでも安定性に優れているわけですから、短所といえるかは怪しいところです。少なくとも題意からは無益な記述だったのでしょう。

小問2は、246条との関係で引換給付判決が許されるかという設問。これは典型だろうと思いつつも、小問1との関係で訴訟物をどう理解するかが問題となるので、最初にその点を検討することに。①②構成を両方検討した後だと、通説に落ち着くのが座りがいいと試験中に納得させられたので、その通りに通説の理解を説明。このへんはすごくよい問題だと思います(対話で「判例べったりはよくない」といかにもなことを言わせてるだけのことはあります)。
しかし、ここまででかなり消耗していたからか、通説からは自認部分に既判力が生じないというべきところを1500万不存在に既判力が生じるというありえない帰結を書いてしまい、ここまでで僕の大大問の解答は実質終了してしまいました(設問5もアレだったので)。検討する観点自体はそう外れてないとは思うのですが、比べてる内容が違うので、どうしようもないですね…。
また、正しく帰結を書いていたとしても、246条の検討に当たっては民事執行法をひきつつ引換給付判決の意義についても論及すべきだったとは思います。

[設問5]
家族法の問題。正直なところ手が回っていませんでした。設問4でかなり力を使ったこともあり、焦り気味で検討に突入。
お恥ずかしいことに、生物学的血縁関係があれば法律的な血縁者でなくても相続資格を有するのではなかったかとか、基本的なところで混乱してしまったので、1回書いた内容を全部消し、書き直した内容を再び消して、最後に再現どおりの実質白紙内容を書きなぐったというひどいことになってしまいました。結論から言うと最初に書いた内容がそれなりに当たっていたのだとは思います。
最初に書いたのは、遺言を包括遺贈ではなく相続分の指定に過ぎないとしつつ、相続人でない者に対して相続分の指定を一方的にすることはできないと考えることから、子の認知の有効性が問題となり、そこで認知の成立に届出を要するか、あるいは被認知者が認知を認めたといえるかどうかといったことを検討しよう…という感じの流れです。途中で上記のような混乱から全部消してしまったのですが、もっと落ち着いて考えたうえで、遺言の解釈方法とか、細かい問題も含めてコツコツ書いてさえいればなぁ…と。
そんなわけで実際の答案はどうしようもないものになりました。あと検討すべき点としては、遺言での相続分指定の内容がEを非嫡出子とするものと同様だったりするので、遺言を認知の意思表示と解する余地などを考えることもできたかもしれません。もっとも、Cは成人なので一方的には認知できませんが。


以上、大大問の反省です。設問4以降は失敗続きだなぁという感じです。失敗の仕方も、精神的な弱さというか、勉強の手薄なところが響いたという意味で、やるべきことをやってこなかったつけが出てしまったのがとても残念です。
全体としてどう評価されるか分かりませんが、前半はそれなりに書けたとは思いますので、昨年の結果との対比からして、100点前後でそんなにひどい点にはなっていないのではないかと期待しておきます。いずれにせよ終わったことですし。
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民事系第2問だけは私と少し違ったりしてます(笑)他の法系はほとんど同じだったと記憶してます。


私との違いは…
設問1で、私は「選択的」抗弁に着目してみたこと、設問2(2)で訴訟物の観点から不法行為者は第三者にあたらないが、受贈者でもあるから第三者にあたるとしたこと、設問5に時間が余ったので食らい付いたこと(少し外しましたが…)の3点です。もちろん、私が書いたことが答えではありません。


一方で…私は大きなミスを2つしています。それは、設問2の(1)にあるということで…管理人の設問2の(1)を読んで、すごいなぁ、と感じました。私は…クソみたいな答案を書いちゃいました(笑)また、設問3で弁護士代理の原則から修正するのではなく、私は訴訟追行権から修正したので、弁護士代理の原則に気付けなかったというミスをしています。


読ませていただいた感じとして、答案の美化を差し引いたとしても100点は越えていると思います。110~115点くらいはとっているのではないでしょうか?そういう印象をうけます。


私と管理人様が、「これが答えかな?」と思う部分が似ている感じがして、少し安心しました。引き続き再現頑張って下さいませ!

返事が遅れました

>さむがりさま

設問2小問2については、確かに不法行為に基づく請求で177条が出されているという特殊性に着目すべきでしたね。結論としては所有権と抵当権の衝突という実質から物権の問題として対抗関係に立つことにはなるでしょうが、論じなかったのは手落ちでした。
設問5も最期までしっかり書いたというのは、印象が良いのではないでしょうか。僕の答案は分かりやすく息切れしてしまっているので。

全ての項目を論じなくてもそれなりに評価されるということは上位答案再現を読んでも明らかなので、多少の論じ落としがあっても致命傷にはならないと思います(思いたいです)。お互い評価されているといいですね。
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眠れる豚

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名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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