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2009年新司法試験不合格答案再現(1.選択科目:知的財産法)

とりあえず答案を晒しておきます。
某掲示板などで紹介されると恥ずかしいのでやめていただけるとありがたいのですが、それなら公開するなという話なのでしょうか。その辺は法律家を志望される皆さんの良心にお任せします。

最初に選択科目の知的財産法を。字数制限などあったので少し削ったり表現を変えていたりしますが、書いた内容も含めて正確に再現したつもりです。
追記部分に簡単に反省を書いておきますが、成績通知や採点実感などの公開があれば適宜補筆します。


2日目 知的財産法(100点)  問題

*得点:55.20/100(上位17%くらい)

知的財産法第1問(特許法)

〔設問1〕
1 小問1について
(1)α試薬の発明(以下「本件発明」とする)は、甲と乙が職務上の研究で完成させた職務発明(特許法35条)であり、A社及びB社の勤務規則により両会社に特許を受ける権利が移転している(33条1項)。これは、ABの共同研究に基づくものだから、ABの共有に係る発明である。
 にもかかわらず甲乙はABに無断で本件発明の特許出願をしたものであるが、以下、甲乙がABに対してなしうる請求について検討する。
(2)甲乙が特許を受ける前
ア 甲乙は勤務規則により特許を受ける権利をABに譲渡しているから、甲乙による本件特許の出願はいわゆる冒認出願であり無効である(49条7項)。しかし、ABとしては本件特許を受ける権利に基づいてその登録を受けたいと望むところ、①いかなる方法によるべきか、②AB単独で請求できるか、の2つが問題となる。
イ ①の点について、未だ本件特許の設定登録がされていない段階であれば、ABは特許を受ける権利の確認を求めて甲乙に確認訴訟を提起すればよいと考える。同確認判決を受けることで、手続の移転(21条)により甲乙名義での設定登録を受けられるからである。
ウ ②の点については、特許を受ける権利の確認は権利の保存行為として単独でなしうるとも思われるが、特許法は共有に係る特許につき共同での出願を義務付けており(38条)、審判も共同ですべきと定めている(132条3項)。これは、設定登録までは共有者は足並みを揃えて手続すべきという趣旨であり、これは確認請求でも同様に妥当する。よって、ABは共同して確認請求をしなければならない。
(3)甲乙が特許を受けた後
ア 甲乙が特許を受けた場合、ABは特許を受ける権利の確認では足りず、登録した特許権そのものの移転を求めねばならない。出願後審査中に無断で移転手続をされて登録を逃した権利者からの移転請求が認められた判例があるが、本件のように自ら出願をしていないABにも、そのような請求が認められるか。
イ この点、裁判例の中には、①特許法は出願をした者に対して特許を与えることになっており(36条)、出願をしていない者に特許権を与えることはできない、②特許を受ける権利の所在と異なり、真の発明者の判断は裁判所には難しい、③登録される前に確認請求していれば救済されたはずであり登録後の移転請求を認める必要はない、として、登録後の権利者による移転請求を認めないものがある。
 しかし、上記のうち①については、特許法が出願された特許を一定期間後公開し(64条)それにより真の権利者の後願を妨げ、また冒認出願を無効として万人の使用を自由としているのは、無効な権利に基づく特許を保護する必要がないというだけであり、真の権利者に権利を与えることを否定するものではなく、むしろ移転を認めることが発明の奨励につながる(1条)。②の点も、職務発明の対価にかかる訴訟で裁判所も発明者の判断をしているし、③無断で出願された場合には登録前に請求せよというのは酷であり、本件でもABがことさらに甲乙の冒認を黙認していたという事情はない。
 したがって、本件でも、特許を受ける権利と特許権が連続していると捉え、ABが不当利得請求権に基づき甲乙に対し本件特許の移転請求をすることを認めるべきである。
ウ この請求についても、甲乙の共有に係る特許を受ける権利に基づく請求として、AB共同で行われるべきである。
2 小問2について
 甲は、本件特許の設定登録を受けているから、形式的にα試薬の製造方法につき特許権を有している。しかし、同特許は職務発明であり、ABには通常実施権が付与される(35条1項)。よって、B社はα試薬の製造販売として本件発明を実施する権利を有するから(78条2項)、甲はB社に対して請求をすることはできない。
〔設問2〕
1 甲乙のなしうる請求
(1)甲乙は本件特許の権利をABに譲渡しており、権利者ではないが、甲乙は職務著作として発明をしているから、その特許権をABに得させることで35条3項に基づく対価請求権を有すべきところ、丙による冒認出願はこの請求権を消滅させてしまう。そこで、丙が特許の設定登録を受けた場合、甲乙は丙に対して債権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることができる。
(2)ここで、甲が自ら特許出願をしたという場合についても、乙はB社に有する対価請求権を同様に害されるといえ、乙は甲に対し損害賠償請求をなしうる。設問1のような手段で会社が甲に対し移転請求をなしうるとしても、債権侵害の危険性はあるからである。
2 ABのなしうる請求
(1)設定登録を受ける前
 ABは、甲についての設問1の1(2)と同様、特許を受ける権利の確認請求をすることができ、これにより特許を受けることができる。
(2)設定登録を受けた後
ア ABは、甲についての設問1の1(3)と同様、丙に対して特許権の移転を求める請求をすることができるとも考えられるが、甲が特許出願をした場合と異なり、甲から丙への開示により新規性(29条1項1号)が喪失したとされる可能性があり、この場合ABの特許を受ける権利も成立せず、移転請求はできない。
 この点、新規性については、秘密保持義務を負わない者への漏洩によって喪失すると解すべきところ、丙は共同研究に関与していないとはいえA社の社員であり、また評価のためとして職務上開示を受けているから、職務上の守秘義務を負っているといえ、丙への開示が新規性を失わせるものとはいえない。
 よって、本件発明は無効とはならず、ABの移転請求は認められる。

――――――――
知的財産法第2問(著作権法)

〔設問1〕
1 小問1について
(1)甲は、美術の著作物(著作権法10条1項4号)である絵画Aの著作者であり、その著作権を有する。ここで、以下の乙の行為は、甲の著作権及び著作者人格権を次のとおり侵害する。
ア 乙は甲の意に反して、未だ乙以外に見せていないAを十数名に見せており、特定かつ多数たる「公衆」(2条5項)に提示したものといえるから、甲の公表権(18条)を侵害する。なお、甲は公表しないことを条件にAを譲渡しており、同条2項1号の推定は否定される。 
イ 乙は甲の意に反して、Aを丙に対して譲渡しているから、甲の譲渡権(26条の2)を侵害する。
(2)以上の権利侵害に対して、甲は不法行為として損害賠償を請求をできる(民法709条)。また、甲は差止請求権(112条1項)も有するが、乙はすでにAを丙に譲渡しているため、これ以上の侵害はありえないから、差止めはできない。
2 小問2について
(1)丙は、Aに描かれたキャラクターを彫刻化し、彫刻Bを作成している。これは、甲の翻案権(27条)を侵害するものと考えられるが、丙は絵画そのものに手を加えたのではなく、そこに描かれたキャラクターを元にして彫刻を作ったのであるから、Aからアイデアを得てBを創作したにすぎず、甲の著作権侵害にはならないとも思われる。
 この点、翻案とは、既存の著作物に依拠し、その表現上の本質的特徴を維持しつつこれに増減修正などを加え、元の著作物の表現上の特徴を直接感得させる新たな著作物を創作する行為である。そして、絵画Aに描かれたキャラクターを彫刻化する行為は、Aの二次元的表現を三次元的表現に改変し、元の著作物Aにある表現上の特徴(キャラクター)を直接感得させる新たな著作物の創作といえるから、アイデアではなくAの表現そのものの翻案というべきである。
 よって、丙は甲の翻案権を侵害している。また、同行為は甲の同一性保持権(20条1項)の侵害にもなる。
(2)以上の通り、彫刻Bは絵画Aの翻案物でありAの二次的著作物であるから、Bに対しては甲も原著作者としての権利を有する(28条)。そこで、甲に無断でされた丙の以下の行為は、甲のBに対する原著作者としての権利を侵害する。
ア 丙は、Aの作者を知らず、したがって甲の名前をBに表示していないから、甲の氏名表示権(19条1項)を侵害している。
イ 丙は、Bを甲に無断で玩具店店内に置き、展示しているから、甲の展示権(25条)を侵害している。
ウ 丙は、Bを甲に無断で丁市に譲渡しているので、甲の譲渡権(26条の2)を侵害している。
(3)以上の権利侵害を理由として、甲は丙に対して不法行為による損害賠償を請求できる(民法709条)。また、差止請求権(112条)については、Bは既に丙の手元にないためBに関する差止めはできないが、Aの翻案行為については差止めを請求できる。
〔設問2〕
1 小問1について
(1)前述の通り甲は彫刻Bについて原著作者として権利を有するところ、戊は、Bを映画Cに撮影固定し、DVDとして複製している。これは、彫刻Bについての甲の翻案権(27条)ないし複製権(21条)を侵害するものである。
(2)また、戊は(1)のような侵害行為で作成されたDVDを販売しており、これにより甲の譲渡権を侵害している。
(3)戊によるBの撮影、映画化は甲のBについての同一性保持権(20条1項)を侵害し、また甲の氏名を表示しない点で甲の氏名表示権(19条1項)を侵害している。
2 小問2について
(1)直接感得性の不存在
甲は、戊が彫刻Bを撮影し、映画CにBが映っていることをもってBの翻案権ないし複製権侵害としているが、翻案や翻案というためには元の著作物の表現上の特徴を直接感得させることを要するところ、CにおいてBの表現上の特徴は直接感得されない。すなわち、BはCの中でわずか10秒しか映っておらず、それも単に背景として映りこんだだけであるから、彫刻Bはほとんど意識できない背景の一部にすぎず、その表現上の特徴が映画Cに現れているとはいえない。
 したがって、戊の映画撮影は甲の著作権を侵害しない。そして、著作権侵害でない行為については、法の趣旨から、著作者人格権侵害も否定されるべきである。
(2)公開の美術の著作物の利用
 Bは美術の著作物であり、原作品である。本件ではこの彫刻Bが一般公衆に開放された市民公園内の屋外に丁市により恒常的に設置されたものであるから、46条でその利用が許される。
3 小問3について
(1)戊の行為が翻案ないし複製に当たらないという点について。本件事情においては映画CにおいてBの表現上の特徴が直接感得できる。
 すなわち、Bは子どもの喜びそうなキャラクターであることを理由に設置されており、市民公園にふさわしいキャラクターであることがその表現上の特徴となっているところ、戊は、丁市を中心としたストーリーでのラストシーンの舞台である市民公園を特徴付けるBを、ラストシーンの6分の1に渡る長さで撮影しており、その舞台の描写と相まってBの表現上の特質を感得させる。
(2)46条適用の件について。同条の趣旨は、公衆に開放された屋外に作品を展示した場合にはその著作権の利用を認める著作者の意思が推定されるとの前提で、公共の場の著作物の利用制限による弊害と著作者の権利の調和を図ることにあるから、著作者の意に反して公開された著作物については、同条の適用は認められない。
 本件での彫刻BはAの翻案物であり、その著作者甲の意に反して作成され公開に至ったから、その公開も甲の意思に反する。よって、Bの利用につき46条は適用されない。
<反省>
特許法は、出願者が発明者である場合には条文上冒認にならないということを完全に見落とし、問題のキモを押さえられないという致命的なミスをしてしまいました。この論点は知りませんでしたが、きちんと条文読んでいればそれなりに対応できたと思うだけに残念です。おかげで設問2も題意がつかめず、甲との対比で何を聞きたいのか不明なまま終わってしまいました。
その他の記述は正直こんなことを聞かれていたのかは自信がありません(結果がだめだったこともあるし)。知財はあまり勉強できていなかったので…。

著作権法は、特定の1人に譲渡する行為は契約的効力はともかく著作権としての譲渡権は成立しないという、これまた条文で分かるものを見落として間抜けに書いてしまいました。基本をおろそかにしている悪例ですね。
その他の点はそこそこ触れたような気がするのですが、勉強が手薄な科目なので、自分が出来たかどうかすら不明です。少ない問題文なりに事実は拾えたのではないかと思うのですが、だめだったんでしょうね。

<得点を受けて>
結構よい点数だったので驚きました。選択科目は何だかんだいってみんな手薄だということでしょうか。

内容についてはこれから復習しなおしていく段階なので今のところ特にありません。どっちかというと特許法のほうがしょぼかった気がするのですが、思っていたよりは優先順位を下げてよい科目なのかもしれません。
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Author:眠れる豚
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2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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