スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

再チャレンジ成功までの記録(5.まとめ)

5.まとめ

以上が、僕が不合格になってから今年合格するまでにやってきたことです。具体的な内容については、勉強日誌として各日に書いていた通りです。

ここまでご覧になっていただいた方には分かると思いますが、僕がやってきた勉強内容は決して多くないし、特別なことをしたわけでもありません。司法試験は毎年2000人が合格できる試験であって、特別な試験ではないし、頭が良くないと受からないというものでもなさそうです。逆に、(僕はそうではないですが)優秀な方でも順位が振るわなかったり、落ちてしまうということもある試験です。そういう試験への対策というのは、必然的に「普通の勉強」ということになるのだと思います。
試験で求められていることをきちんと把握した上で、とにかく基本的なこと、法律学として当たり前のことを、普通に淡々と書いていけば、合格の枠に入る。僕はそう信じてやってきたし、その結果何とか合格することができました。しかし、不合格から再試験までの8ヶ月間を通じて実感したのは、その普通のことをきちんとできるようにすることはものすごく大変なことだということです。終わってみればなんということのないように思われる試験でも、その結果に至るまで受験生はみんな必死に勉強しています。不合格を期に受験に正面から向き合って、そんな当たり前のことに初めて気づくことができました。

昨年の僕と同様、試験で失敗してしまった方に向けてのメッセージを述べさせていただくと、それは「失敗から逃げず、諦めないでやれば、絶対上手く行くはずだ」ということに尽きます。
司法試験合格者の中には運がよかったという人もいるでしょうし、僕の成績がそれなりに良かったことについても、運の要素が含まれていると思います。しかし、その反対である不合格について言うなら、そこには必ず自分に原因があります。それを認めるのは辛いことですが、その分析から始めなければ、確実に合格することはできません。今年失敗した方にとって今が一番辛いときだと思いますが、ここで負けては本当に失敗したままで終わってしまいます。
一番よくないのは、自分には実力がないとか、頭が悪いとか、そういった良く分からない理由で諦めることです。実際、僕も落ちた翌日くらいは、自分には試験は向いてなかったんじゃないかとか、今年の問題でダメだったのは頭が悪かったからだろうとか、そういう不安でいっぱいでした。そんな理由で失敗をごまかすことは実は簡単で、自分が勉強できていなかった事実を受け入れて勉強をやり直すことのほうがより辛いことでしたが、その辛さから逃げたらすべてはおしまいです。もちろんいろいろな事情があるでしょうし、法律家としての道は数ある進路のなかの一つにすぎませんから、司法試験と異なる道を歩むことが間違っているとは全然思っておりませんが、その理由が自分に自信を失ったということであれば、それはとても残念なことです。
僕は偉そうなことを言えた立場にはないのですが、僕自身は友人たちに励まされて前向きになることができたので、敢えてこういうことを書かせていただきました。今年不本意な結果に終わった方も、自分に自信を持って、あきらめずに挑戦すれば、必ず成功するはずです。むしろ、失敗という経験がある分、それがない受験生より有利だと考えるべきです。

これからはじめて司法試験を受験されるという方に対しては、繰り返しになりますが「普通のことを普通に書けるようにしよう」ということを述べておきます。焦らず欲張らず淡々と学習を積み重ねていけば、結果はついてくるはずだということです。
これから受験される方は、今年の問題や出題趣旨を見て、とてつもない試験だと思われるでしょう。実際、本試験はすごくレベルが高い問題です。しかし、その全てに答えきる必要はありません。自分のできる範囲を少しずつ広げていけば、出題趣旨の7割8割に手が届き、その結果何とか合格している、そんな試験だと思います。偉そうなことを言っているローの教授だって、実際に7科目で完全な答案を書けるわけではないだろうし(書ける人もいるのかもしれないが、そういう奇人は少ないので気にする必要はない)、実務家だって自分の司法試験受験時にそんなすごい実力を発揮できていたとは思えません。要求が高まっているとしても、自分がやれることは限られているし、またその限られたことをしっかりやるだけでも、合格に十分な実力はつくはずです。
自分もそうでしたが、ロー生活の中で授業についていくにせよ、自分で勉強するにせよ、自分を律して学習するということは容易ではありませんし、何となく合格するんじゃないかという気分になってしまいがちです(そういう人間は往々にして勉強が足りていないので気をつけるべきでしょう)。でも、今年勉強してきて分かったことは、勉強したこともしなかったことも、全ては裏切らずに結果に現れるということです。今年僕が比較的書けたように思った部分は事前に学習していたことだし、書けなかった部分はノートまとめを怠ったりしていた分野でした。やれるだけのことをやっておくという、これまた当たり前のことが、司法試験においては全てです。結局、自分との戦いだということです。

受験について長々書いてきましたが、最後に、僕自身が不合格を経て感じたことを書いておきます。
昨年不合格になって、様々な方に迷惑をかけてしまいました。自分自身にとっても、1年間法律家としての進路が遅れてしまい、正直なところ不毛な回り道だったということは否めません。
しかし、僕は不合格をきっかけとして、さまざまなものを得ることができました。試験と正面から向き合ってこられかった自分の弱さに気づけたということもそうですし、そんな弱い自分を支えてくれるたくさんの友人・親などのつながりがあることを改めて知ることができました。法律家としての進路についても、一つ上の63期にはローの同期などたくさんの友人がいて、そして今年64期の司法修習生として、新しい人とのつながりを作る機会を得ることができます。その意味で、僕には不合格をきっかけとして二倍の同期ができるのだということで、前向きに思っています。
再チャレンジを成功させ、このように思うことができたのも、このブログの読者も含めた、たくさんの方々の支えのおかげです。本当にありがとうございます。このお礼は、僕が法律家として成長していくことを通じて、返していく所存です。


さて、今後のこのブログについてですが、もう試験について書くこともありませんので、おそらく新しい記事を書くことはないと思います。ただ、せっかく試験について記録を残してきたということもあるので、参考にされる方が少しでもいればということで、何か問題がない限りはこのまま残しておきます。
個人的な進路について言うと、実は合格発表前に昨年の内定先から再度内定をいただいており、そこで弁護士として働かせていただく予定です。というわけで割と余裕はありますので、もし何か僕に答えられることなどあれば、コメント欄に書いていただければ可能な限りお答えいたします。ただ、所詮は普通の受験生にすぎませんし、実際に面識がないと適切なコメントをすることは難しいと思いますので、そのあたりは最初にお断りしておきます。
スポンサーサイト

再チャレンジ成功までの記録(4.具体的な学習方法・各論)

*長文なので注意してください
*正直に書いているので、恥ずかしいことも書いてある一方、不快に思われる表現・内容が入っているかもしれませんが、ご理解ください。また、試験に関する分析などはすべて私見なので正確性は保証できません。内容について信じるも信じないも自由です
*個人的には、自分のことを直接知っている人に生で話を聞くのが一番ためになると思っています。自分に合った勉強法を見つけるには、自分のことをよく知っていて、客観的に見てくれる人のアドバイスが有益だからです


4.具体的な学習方法(各論)
ここからは科目ごとのインプット・アウトプットに使用した教材などを書いていきます。短答対策は既に書いたことに尽きているので、基本的には省略しています。

4.1 民事系
§1 民法
民法は苦手な科目で、正直対策もさぼってしまった感はあります。もし今年落ちていたら、真っ先に民法をやり直していたと思います。

インプットとしては、まとめノートの作成をやっていたのですが、民法では基本書をまとめることはせず、類型別を基本としつつ、『要件事実論30講』や内田民法なども参考にして実体法の議論を適宜加筆するという形式でした。絶対出題される要件事実問題に対しては、実体法の解釈と関連させてきちんと指摘できるようにすべきだと考えたからです。もちろん、基本書をベースにしたまとめも作るべきではありました。おかげで家族法は散々でしたし、設問2小問2も問題の所在を外してしまいました。サボった結果はきちんと反映される試験です。
基本書によるまとめノート作成に代わってやったのは、『Law Practice 民法』(Ⅰ・Ⅱ全2巻)をざっと読み、解説を要約してテーマごとにまとめたということです。代替手段なのでインプット方法としてはムラがあることが否めませんが、知識の確認・整理には役立ちました。

アウトプットについては、『事例研究民事法』をやっていたのですが、役立つ設問もあればそうでもない設問もある…というところではあります。しかし、出題形式はともかく、総じてよい演習になったと感じています。
民法は要件事実も含めた知識の整理が最重要であり、インプット優先でよいのではないでしょうか。特に要件事実問題は、どういう要素を書くべきなのかを出題趣旨から研究し、それに合わせてインプット・アウトプットの対策を行うべきです。僕が気をつけたのは、単に条文から要件を切り出すだけでなく、実体法的説明も踏まえて記述すること、事実が複数の意味を持ちうることに気を付けること、時的要素を意識することの3つですが、直接事実と間接事実の区別などにもっと意を払うべきだったと反省しています。

§2 民訴法
民訴は新司法試験で最も理論的に難解で、対策も難しいような気がしています。こういう科目だからこそ、基本をしっかり押さえるということに気を付けたつもりです。

インプットに関しては、『民事訴訟法講義案 改訂補訂版』をベースにしつつ、高橋宏志先生の『重点講義民事訴訟法』を参考にして補筆していく形でまとめノートを作っていました。
講義案は殺風景ではありますがかなりよい本で、解答に当たって必要な知識はほぼ過不足なく入っているように思います。その上で重点講義ですが、実はこの本も注などに入り込まなければ分かりやすい本で、講義案のシンプルさを埋めて判例・学説の流れを理解するには好適の本だと思います。あと、ローで高橋先生に教わっていたという事情もあって、ノートが存在していたということも大きいです(ちなみに高橋先生は授業で「何か基本書一冊をしっかり読めばよい、論文とか読む必要はない」とおっしゃっていました。難しい科目でも、あまり手を広げる必要はないということでしょう)。その他、百選も一応1周くらいしています。
インプットに関する反省点としては、重点講義に入っていなかった内容のまとめが手薄だったということです。今年はその一つである処分権主義がモロに出題されてしまい、設問4小問2はかなりしょぼい内容しか書けませんでした。現在法学教室で連載が再開されているようですが、頑張って欲しいものです。

民訴のアウトプットに関しては、試験の水準がとても高いので、これも過去問で勉強するほかにはないんじゃないかと感じています。誘導の趣旨を踏まえて検討する方法や、要件事実的な理解を踏まえて答える必要性などを感じることができます。ただ、いずれにせよ難しいので、完全な答案を書きに行くのではなく、基本的な知識・思考をしっかり表現するということを目標にして書いていました。これは後でまとめておきます。
その他やったのは、勉強会で取り上げた『事例演習民事訴訟法』です。これは解説があっさりしていたり必ずしも試験を意識していなかったりということで試験対策向けかというと微妙なところもありますが、あまり考えてこなかった用語の意味など、基本的なところを確認するという意味ではよい本です。そういう基本的な理解の正確さが他の科目以上に問われるのが民訴という科目なのだと思います。

§3 商法
商法は民事系のなかでは一番対策しやすいような気はしています。論文で出題されそうな主要領域は限られていること、基本的な条文の理解をしっかりさせておけば多くの場合に対応できるからです。もっとも、現場で考えないと出題趣旨を完全に捉えることはできないわけですが、司法試験レベルの議論であれば、理解が難しいとか、範囲が膨大すぎるということもないので、きちんと対策すればそれなりの水準には達せるでしょう。

インプットに関しては、江頭先生の『株式会社法』をベースに、論文に出そうなところだけを拾って要約する形でまとめていました。分厚い本ですが、まとめるとA4に60ページくらいになりました。あとは、百選の記述などを適宜反映させたり、演習書の記述で参考になる部分を入れたりといったところです。
手形小切手・商法総則については、ほとんどまとめていません。手形の基本的論点だけシケタイから(!)拾ってきてまとめたのと、会社法でも出題されそうな会社登記などの問題について少しまとめたくらいです。

アウトプットについては、たまたま手に取った『ロースクール演習会社法』(中村信男・受川環大編、法学書院)を使用しましたが、これは結構よかったです。一通り論点をさらっているということ、解説が試験を意識しており分かりやすいことなどがその理由です。解説で触れてあった理由付けや、論述に当たって指摘すべき事項などは、ノートまとめに反映しておきました。
あと、京大で使用されているという『会社法事例演習教材』も一通りやりました。解説などは友人にもらっていたのですが、やはりひとりで解くものではなく、みんなで検討するものかなぁという感はありました。しかし設問の問題意識などはさすがに鋭く、よい教材であることは間違いありません。

4.2 刑事系
§1 刑法
不合格の年は刑事系がひどい点だったので、まずは刑法をしっかりやろうという一年でした。

インプットについては、山口先生の『刑法総論』『刑法各論』を要約してまとめノートを作成しました。110ページくらいになってしまいましたが、勉強になりました。論点を網羅的に、かつしっかりと理解するための作業としては、基本書をしっかり読んでまとめるというのが結果的に一番の近道だと感じています(なんだかんだいって10日くらいで終わりましたし)。あと、僕が東大出身だからなのかもしれませんが、山口先生の本は意外と読みやすいと思います。刑法が一冊にまとまっている山口先生の『刑法』(いわゆる青本)でもいいのでしょうが、二冊本の方が先生の問題意識や理由付けがしっかりしていて、まとめるには都合がよかったです。
あとは、西田先生の総論・各論も適宜参照しているほか、山口・西田両氏のロー講義の書き起こしも参考にしました。普段よく暴れている山口先生は、ローではとても無難な試験向けの授業を展開しています。出題もそういう姿勢であってほしいものです。
百選はそもそも持っていないこともあって読んでいませんが、重要な規範については、ローで指定された判例を別途読んだりして補強しています。そのレベルで重要な判例は基本書でも触れてあるわけですが。

アウトプットについては、『事例から刑法を考える』を勉強会でやっていました。この本は解説が若干ぶっ飛んでしまうところもありますが、基本的には受験を意識して解説してくれているし、問題の質はかなり高いです。一通りやればほとんどの論点が網羅されているということもあり、よい教材です。
しかし、現時点で最高の教材は何かということになると、僕の知る限りでは『刑法事例演習教材』ということになりそうです。勉強会の時点で出ていなかったので結果的に独習で答案構成だけやることになりましたが、問題の質・量の充実ぶり、そしてコンパクトながら解説の適切さを兼ね備えており、全科目通してもこれだけ完成度の高い教材を僕は知りません。これを真面目に全問書いて検討していれば、今年の問題でもより適切な答案を作成できていたと思います。

§2 刑訴法
刑訴法は論点が多めで、ボリュームの多い科目です。理論的な記述も必要だという話で、しっかり勉強していく必要のある科目といえそうです。

まとめノート作成にあたっては、ローの上級刑事訴訟法という講義の内容をベースにしています。この講義は『ケースブック刑事訴訟法』を教材として刑訴を一通り扱ったもので、東大ローで最も試験に有益な科目ではないかと思っています。一回目にしっかり復習して試験に臨まなかったことが悔やまれます。
僕の講義の担当は検察官出身の古江頼隆先生でした(現在は同志社のローにおられるようです)。昨今話題の捏造検事と違って紳士的な方で、非常に理論にも明るい素晴らしい先生でした。ちなみに講義内容については先生が法学教室316号~342号に演習を連載しており、それに近い内容が展開されています(まとめでも参考にしました)。個人的には極めて水準が高いものだと思います。また、同じ講義を担当されている川出敏裕先生の講義書き起こしなんかも参考にしています。

あとは、講義でも言及されていた酒巻先生の法教連載「刑事手続法の諸問題」(法学教室283号~306号)や『演習刑事訴訟法』(長沼範良・田中開・佐藤隆之・酒巻匡・大澤裕、有斐閣)などを読んでいます。特に酒巻連載は、基本原理についてしっかり説明してくれていて、論証の深みを増すのによいと思います。
また、刑訴については、息抜きも兼ねて論文をいくつか読んでいました。講義で指定されたもののうち有益そうなものに限ったので量はそれほどでもありませんが、一部はまとめにも反映しています。特に有益なものとしては、伝聞については大澤裕「伝聞証拠の意義」『刑事訴訟法の争点[第3版]』182頁、違法収集証拠排除法則について川出敏裕「いわゆる「毒樹の果実論」の意義と妥当範囲」『松尾浩也先生古稀祝賀論文集 下』515頁などが挙げられます。法学教室で不定期連載している「対話で学ぶ刑訴法判例」も参考になるものが多かったです。
刑訴については新しい判例から出題される傾向があるので、百選はもちろんのこと、重判もしっかり読んでおくのがよさそうです。今年も設問1はそうでしたが、僕は読んでいたものの適当になってしまい、外した内容を書いてしまいました。こういうところを抜かりなくやれなかったのは心残りです。

アウトプットについては、よい演習本が見つからなかったので刑訴については過去問だけですが、今はよいものがあるのかもしれません。
今年もそうだったように処理量の多い問題が出されるので、きちんと基本的な規範などを準備しておいた上で、それを適宜要約した形で書けるようにしておく必要があります。これは時間管理のトレーニングと、暗記ではなく基本的な考え方から理解するように努めるといった部分でフォローすべきことだと思います。刑事系は処理するという側面が強いので、書くべきところは書くとして、相対的に重要でない要素は流すという意識が必要な気がしています。

4.3 公法系
§1 憲法
憲法は知識量としては少なめで、勉強しやすい科目だと思います。というか僕もあまりやってません。どちらかというと、書き方のイメージを掴むことが大事な科目でしょう。
そのための教材として一番オススメなのは、『「憲法上の権利」の作法』(小山剛、尚学社)です。これは言ってしまえば、憲法の問題を解く枠組を解説したマニュアルで、受験生必読だと思います。ここに書いてある三段階審査、すなわち保護範囲→侵害→正当化の順序を守れば、外した答案にはならないはずです。
特に新司法試験では、いわゆる違憲審査基準(正当化)の前段階である、そもそも保護範囲内なのか、侵害があるのかといった部分(タバコパッケージ規制に関する消極的表現の自由の問題や、遺伝子に関するプライバシーの基本権としての位置づけなど)が山場だったりする出題があるので、三段階審査の考え方は論述のきっかけを作る上で極めて重要だと思います。ただ、14条の審査基準に関してはちょっと記述が不足しているような気がします。この部分は高橋和之先生の『立憲主義と日本国憲法』に分かりやすい説明があるので参考にしました。

以上が答案作成方法のマニュアルについてです。その上で知識として必要なことは、三段階審査の各要件の記述を構成する材料とでも言うべき「考慮要素」についてです。各基本権ごとの価値や性質、二重の基準や積極-消極二分論などの学説、判例が考慮する諸要素などを、①どういう事情があれば②どういう理由で③審査基準を高く/低くするのか(審査密度を高める/低めるのか)という観点でピックアップして、ネタとして仕込んでおくという感じです。
このための材料は、芦部先生の『憲法』と百選でほぼ事足りると思います。長谷部先生もそんなことを言ってたので、知識的にはそんなものではないでしょうか。大事なことは、上記3つの要素に着目しつつ、判例や学説の言っていることを事案に適用できるようにしておくということでしょう。そういう勉強をしていれば、事案の特殊性にも気づきやすくなるはずです。きちんとネタを仕込んで、学説への批判なども含めて違憲審査基準論を上手く展開できるようになれば、自動販売機だとか言われることもないんじゃないかとは思います。
個人的な反省点としては、もっと判例を読み込むという対策をやっておけばよかったと感じています。出題趣旨にもありましたが、選挙権について判例の要件を正確に出すということはできていませんでした。昨年公法でよい成績だった人のなかには、百選掲載判例の規範を全部丸暗記して、本試験でもそのまま書いたという方がいらっしゃるのですが、そのくらいやるのが正解なのかもしれません。少なくとも、判例を知っていることのアピールは有益でしょう。

アウトプットについては『事例研究憲法』を使っていましたが、解説が試験向けでないということもあり、あまり参考にならなかったかもしれません。むしろ、上で書いた「ネタ仕込み」の材料として活用していた感があります。
憲法については、過去問で書き方を研究するのが一番でしょう。特に、法令違憲と適用違憲の書き分け方(立法事実に関係する事実にかかっているか、その事案・適用対象だけに当てはまる事実にかかっているかで分ける)や、原告・被告・私見の論述分配のイメージなどは、憲法固有の書き方なので、事前にしっかり準備しておくべきです。

§2 行政法
行政法についても、あまり特別なことをやったという意識はありません。基本的な知識と判例を押さえて、あとは個別法を見て考えよう、という感じです。

インプットについては、櫻井=橋本『行政法』を元にしてまとめノート作りをしていました。これは内容が薄めのところもあり、それでも試験対策には足りるのだとは思うのですが、ローの授業でやっていた内容を適宜反映させて理論的な厚み(?)をつけていました。ただ、出題されることはなさそうな気はするので、若干趣味が入っていたことは否めません。個人的には塩野行政法が好きなのですが、試験対策用ノートまとめのベースにはちょっと違うと思ったので、参考として適宜織り込むに留めています。
行政法はあまり百選を読んでいません。宇賀行政法がたくさん判例に言及しているので、まとめに際してこれを参照することで済ませていました。そのかわり、百選判旨を要約した短答用の対策プリントを友人にもらっていたので、これを短答に向けて読んでいました。

アウトプットについては、『事例研究行政法』を用いてトレーニングしていました。これは良著で、解説も適切で問題もそれなりに試験を意識しており、一冊やればかなり力がつくでしょう。僕はやっていませんが、後半についている応用問題を勉強会でやるというのはよさそうです。
行政法の答案は誘導に乗れるかが最重要で、知識については訴訟要件の処理方法など誘導を理解したうえで展開すべきものなので、出題方式に慣れておくことが大切です。その意味で、事例研究だけでなく、過去問もしっかりと押さえて、書く練習をする必要があるでしょう。逆に言えば、書き方さえ押さえれば安定して点数が取れるはずなので、公法こそ他の科目に比べて予測可能性の高い試験ではないかと感じています。

4.4 選択科目(知財法)
選択科目である知的財産法については、勝負を左右するものにはなりにくいということもありますが、一応は対策しておきました。

まとめノートについては、法学教室で連載中の「知的財産法の重要論点」(大渕・茶園・上野・横山)や高林龍先生の『標準 特許法』をベースに、特許法と著作権法を一通りまとめました。中山先生の『著作権法』も辞書的に使いましたが、良い本だとは思うもののこれは受験向きでないです。
それから演習本として、田村善之編『論点解析 知的財産法』や 小泉直樹・駒田泰土編『知的財産法演習ノート』などをみていました。答案構成だけで解説を主に読んでいたので、実質インプットに使ったようなものです。『重点演習 知的財産法』というものもありましたが、これはいらなかったかもしれません。

選択科目は結局去年と同じくらいの点数で、特に進歩もなければ退化もしていないというところでした。ちょっと勉強したからか、無駄に難しく考えてしまったところなどもあります。いずれにせよ勝敗を決定付ける科目ではないので、それほど時間を割かずに準備すればよいでしょう。そういう意味で、年内にまとめノートを作って、あとは読むだけという状態でいられたのは、選択科目対策として経済的でした。

4.5 答案作成にあたって
以上が各科目の勉強方法ですが、このほかに、答案作成時の心がけを中心に、全科目を通じて気をつけてきたことを書いておきます。

§1 答案はイチから積み上げていく
第一に気をつけていたことは、司法試験の答案では「当たり前のこと」もきちんと書く、ということです。
これは昨年の不合格答案を見てもらって合格者に指摘してもらったことでもあるのですが、問題を考える上で当たり前のように処理している内容も、答案ではきちんと書く必要があります。これは理論的に難しい民訴などの科目で特に重要だと思います。
例えば昨年(H21)の民訴であれば、立証責任の分配方法や主張共通原則などの基本的な議論を書いた上で主張の成否について検討に入る必要があるし、今年(H22)の民訴でも設問3なんかは、当事者の確定があってはじめて訴訟代理の成否などが問題になります。判例なんかでは当たり前なので書かれないことや、感覚的に当たり前だろうと思う部分でも、きちんと書かなければならないのが答案という書面なのだ、という意識をもつように心がけました。
また、同じような意味合いとして、きちんと適用条文をあげるということも挙げられるのでしょうが、僕の場合はこの部分がちょっと弱かったような気がしています。

§2 趣旨から論じていく
第二に、よく言われることですが、必要なところではきちんと趣旨から論じようということに気をつけました。
これは伝聞ですが、山口先生曰く「基本書で当該論点のちょっと前に書いてある原理からきちんと書いてあると好印象」らしいですし(しかし一方で「法律論頑張って書いてもそんなに点数にならない」らしいのですが…)、そもそも行政法なんかは趣旨を論じなければ答案ができません。

ただ、何でもかんでも趣旨を論じればよいというものでもないでしょう。趣旨を論じるべきは、論点の理解を示すために書く必要がある場合と、知っている判例・学説では対応しきれない場合に限られます。この両者に共通しているのは、基本的な理解が前提になっているということです。趣旨から解釈論を論じるに当たっても、これまで勉強してきた内容から類推することが必要なので、やはりここでも基本的な積み上げは重要です。行政法の場合は個別法を見てのイメージプレイ的な要素がありはしますが、これも自分の知っていること(例えば今年の場合は住民自治の意義や競争入札が原則となっているという事実など)をスタートにすればはかどる部分もあります。
要するに、何でもかんでも趣旨で乗り切れるほど、司法試験は甘い試験ではありません(昨年落ちるまでの自分はそう思っていました)。逆に、趣旨から論じなければいけないという姿勢でしっかり勉強することで、理解が定着するという性質のものだと思います。きちんと勉強していれば、趣旨から論じる必要があるところで、気兼ねなく趣旨からの解釈論を展開できるようになるということでしょう。

§3 難しい議論は省いてよい
これは勉強の基本方針でも書きましたが、司法試験の本質は「みんなが書きそうなことをきちんと書く」ことであって、出題趣旨に問われていることをすべて書きに行くという夢(!)は捨てるのがある意味賢いと思います。出題趣旨に書いてある内容は、言われてみればその通りという内容で、力のある受験生なら全部書けるというように思えなくもありませんが、本番の緊張感や時間制限のなかで達成することは極めて困難です。

結果が出て自分でも実感しましたが、主要なテーマを1個2個外しても平均以上の得点は得られるわけで、一桁合格しないと殺されるといった特殊事情がないのであれば、最初から完全を望まないという姿勢が試験的に正しいと思います。たとえ期待される得点が下がったとしても、(少なくとも再チャレンジの自分にとっては)外してしまうリスクを取るより10回受験して10回とも合格できるような答案を全科目で揃えることが大事です。そうやっていると結果的にそれなりの点数が付くという試験でもあると思います。
以上の方針については答案作成時は言うまでもなく、日々の学習からその姿勢を貫くべきです。細かな学説を覚えていくとか、マニアックな論点を押さえていくという時間があったら、絞り込んだ基本的論点(どの教科書にも載っていそうなもの、もっと言うなら受験生がみんな知ってはいそうなこと――知っていることと書けることは違う)を何度も復習するほうがよいはずです。

答案作成時には、1科目につき答案構成は30分で、問題文を読んで論点を摘示するのはそのうち15分以内に限るというルールで、自分に縛りを入れていました。15分で思いつかない内容は他の人の多くも思い至らないだろうから、それよりも思いついた内容をしっかり書くということです。この縛りのせいで、会社法の損害論を最初に思いつかず落としてしまったということはありますが、試験全体で見ればこれが上手く働いたように思います。とにかく処理しきることが大事なので。
ただ、処理という側面から言うなら、答案パターンや処理手順の訓練はもっとしっかりやるべきでした。刑法なんかはその辺で損をしてしまった気もします。内容面では「基本を押さえる」という意識がありましたが、形式面にまで十分意識が及んでいなかったのは、受験生としてよくなかったです。

§4 事実の評価をきちんとする
みんなが書きそうなことを書く、ということをしっかり実践すると、答案構成や法律論の記述にかける時間が節約できます。高得点を狙う場合にはここでより細かい論点の検討などに入るべきなのでしょうが、僕はみんなが検討しているはずの事実面の記述をより厚く書くことを目指しました。事実の評価が重要であることは出題趣旨でも書かれていますし、事実に関しては書きすぎても外すことがないため、安定して高評価を狙えると考えたからです。
もちろん、論点の検討も同じくらい深くやれればそれに越したことはないのですが、そんな実力があれば去年受かってただろうということでその辺は割り切っています。何かを得るには何かを捨てる必要があるということです。

事実の評価については、最初に結論を考えた上で、その結論を妨げる事実をしっかり拾い、それを上回るような形で自分の結論に沿う事実を挙げるよう心がけたつもりです。特に、反対事実にきちんと言及するということは、必然的に自分の結論をしっかり論じることにもつながるし、必須だと思います。
事実の評価については苦手な人もいると聞きますが、そういう方はまず判例をしっかり読んでどういう要素が考慮されているのか自分なりにまとめてみるのがよいのではないでしょうか。あるいは、実務向けの事実認定本などを読んだりするのがよいのかもしれません。個人的には事実の評価が弱点ではないと感じていたので、そういう対策はしていませんが、演習などを解いているなかで事実の評価についてなるほどと思ったところがあった場合、一応チェックはしていました。

再チャレンジ成功までの記録(3.具体的な学習方法・総論)

*長文なので注意してください
*正直に書いているので、恥ずかしいことも書いてある一方、不快に思われる表現・内容が入っているかもしれませんが、ご理解ください。また、試験に関する分析などはすべて私見なので正確性は保証できません。内容について信じるも信じないも自由です
*個人的には、自分のことを直接知っている人に生で話を聞くのが一番ためになると思っています。自分に合った勉強法を見つけるには、自分のことをよく知っていて、客観的に見てくれる人のアドバイスが有益だからです


3.具体的な学習方法(総論)

3.1 学習の基本方針
基本を固めるという目標のためには、継続して勉強するという当たり前のことをきちんとやる必要があります。僕はこれまでそういう継続的な学習ができていなかったので、そういう習慣を作ることが第一だと考えました。

そのための方法としては、日々の目標をきちんと決めるという典型的な方法を実践しました。目標の立て方として気をつけたのは、(1)勉強時間ベースではなくやるべきことベースで目標を立てること、(2)一日ごとに細かく定めるのではなく期間を設けて柔軟にやること、の2点です。

(1)については、きちんと勉強するということと時間をかけるということは別物で、時間目標にこだわると時間ばかり気にして中身がおろそかになりがちだと考えたからです。また、僕は反復的な学習を長時間できる性格ではないように感じたので、長さではなく質(中身)を重視して勉強するのがよいだろうという判断もありました。
(2)については、目標を立てるのが目的になってはいけないからあまり神経質になってもしょうがないというのと、やはり日々の気分などで勉強に乗ってくるときとそうでないときがあることは否めないので、そのあたりを調整しながらやっていけるようにしようという意図によります。

これらに従い、とりあえず年内(2009年)の最低限目標としては、7科目+選択科目のまとめノートを一通り作ること、事例演習民事法・憲法・行政法を全部片付けること、短答の問題集を1周解きなおすことの3つを定めました。そこから考えると、だいたい10日で1科目ノートまとめを行い、事例演習は1日1~2問、短答問題集は1日100問くらいといった感じで、勝手に日々のだいたいのノルマが決まっていきます。
結果としては、勉強していた時間は、おそらく平均すると1日5~6時間くらいだと思います。その他、何となく基本書を眺めたりする時間も多少ありました。これを多いと見るか少ないと見るかは人によるでしょうが、少なくとも僕のこれまでの過ごし方からすると結構な量になります。ただ、ストイックだったとか、猛勉強したというイメージでないことは確かです。
これ以上学習量を増やすことも不可能ではなかったでしょうが、無理なくやることが最終的な結果につながると思うので、サボるのではなく、かといって焦るのではなく、淡々と自分の決めたノルマを守って、それをこなしたら息抜きもするといったスタイルで日々を過ごしていました。これは、前に書いた「上位合格を目指さない」という一種の割り切りからもきていて、無理なく試験までを目指すことが合格に向けて一番安定するだろうという判断をしています。実際、合格した友人の多くは、勉強もしっかりやってはいたものの、それなりにゆとりをもって過ごしていたように思います。

継続的な学習を行うにあたっては、このブログも大いに役立ちました。このブログを立ち上げたのは、日々の勉強記録を残すことで動機づけにしようということでした。最初は単純な記録として自分だけのために書いていたのですが、少ないながら読者がいらっしゃるということを知ってからは、読者の方々に恥じないように学習しなければという気持ちを持つことができました。その意味で、読者の皆さまには大いに助けられました。

学習内容については、とにかく基礎を固めるということに集中しました。これは2つの意味があって、第一に「まずはみんながやっていそうな教材を押さえること」、第二に「難しすぎる内容は適宜切り捨てていくこと」に気をつけました。理由は不合格原因の分析で述べたとおりです。
特に気を付けたのは、第二の部分です。後で触れる勉強会などでは、法律的に難解な論点が議論になったりもしますが、そこで法律論を詰めるのではなく、そうやったら無難に処理できるかという観点で学習するように心がけ、マニアックな学説はとりあえず脇に置くことにしました。実は、このように割り切った方が、結果として難しい論点への理解も深まるようにも思います。
教材選択については、後で科目ごとに記しておきます。

3.2 主な学習内容
§1 論文用のインプット
まずは昨年落ちた原因である論文対策からはじめました。最初にすべきことは、全科目を体系的に学びなおすということです。今思えば冗談のようなことですが、不合格だった一度目の受験に際しては、全科目について頭からしっかり勉強していくということはなく、定期試験対策で細切れに勉強していたり、気まぐれに基本書を読んだりしただけだったので、ムラのない理解とは程遠い状況にありました。

そのための方法としては、先輩の薦めもあって、各科目のまとめノートを作成する方法を採りました。この方法のよいところは、情報を集約することでその後ずっと使える教材ができあがるということもさることながら、まとめを作るためには最初から最後まで体系的に内容を押さえる必要があり、したがってまとめノートの作成自体が科目全体の復習になるということです。
というわけで、あまりに量が多かった民法を除いて(これはまぁ言ってしまえば妥協です…)すべての科目で、基本書の要約に近い形でまとめ作業を行うことになりました。詳しくは科目別の学習内容として後で述べますが、この作業はとても勉強になりました。大切なことは「自分でまとめる」ということです。実はそんなに大変な作業でもないので、自分の普段の学習に自信がない人は是非一度やってみてはどうでしょうか。普段からコツコツ勉強できている人は、こういう作業がなくても別の形でまんべんなく勉強できているのでしょうけど。

論文対策としてのインプットは、ほとんどがまとめノートによるものでした。演習書などから適宜よさそうな解説などを拾ってきてノートに織り込んだりもしていますが、とにかく基本的な論点を押さえるということに注力しています。年明け以降は、論文向けインプットはまとめノートの通読と百選などの判例回しがほとんどでした。結果的には、まとめノートの内容だけで本試験はほとんど対応できたと感じています。

§2 論文用のアウトプット
論文対策のもう一つの要は、アウトプットの練習です。ここでは、独りよがりの答案を書かないこと、みんなが書きそうなことに的を絞ることを中心にしています。

最初のうちは、文章力が危なかったのではないかということで、事例演習の問題を普通に書いていました。その後、自分の弱点が別のところにあると分析した以降は、フルで書くのは時間配分などのトレーニング用にとどめ、多くの問題について答案構成の作成にとどめることでこなす数を増やす方向にシフトしました。
答案構成のポイントは、自分がきちんと論点を拾えているか、余計なことを書いていないかということのチェックです。もちろん、形式的に論点に触れているかどうかではなく、適切な形で法解釈や事実評価をしているかということも重要ですので、答案構成は毎回割と詳しくしています。実際に紙には書かないとしても、書くとしたらこういうことを書くかなぁ…というイメージをしてから、解説を読むようにしていました。

アウトプットの練習としては、後で触れる勉強会や予備校の答練も役立っています。これらの機会でも同様に、みんなが書きそうなことをきちんと書くという意識をもって取り組みました。そのおかげか、予備校答練では点数が割と安定していた気がします。

§3 短答対策
短答対策は正直好きではない作業だったので、正直追い込みが足りなかったと思います。
具体的にやったことは、短答問題集と肢別本を回し、間違えた肢をピックアップしてまとめ、それを覚えるという作業です。年明けはほとんど誤答肢まとめを読んで短答対策にしていました。
これのいいところは、問題を解くのはだるいけど、出題される可能性がそこそこ高くて、かつ他の受験生がやっている一般的な勉強を最低限抑えられるという点にあります。しかし、この方法だけでは、8割以上の得点を取りに行くのはちょっと不足していたように思います。

僕は短答については論文に精神上響かない出来が確保できれば良いと考えていたので、上述の対策にとどめましたが、問題集や肢別の傾向だけでは解けないような問題も出題されているように思われるので、そのあたりは地道に条文判例を読むべきでした。判例六法や条文判例本のようなものを読み込むということです。
判例六法については刑法の判例部分だけ読んでいましたが(これは有益)、条文判例をしっかり押さえれば全体的にもっと安定しただろうと思います。

僕は2回目受験なので短答についてはあまり問題視していませんでしたが、初めて受験されるかたは、まずは問題集なり肢別本なり過去問なりを各科目一冊こなして、短答でどういうことが聞かれるのかを体感したうえで、基本書や六法などを読んでいく作業に移るとよいかと思います。短答の切り口を知ってから条文などを読むと、見え方が違ってくるからです。あとは、どれだけ読むかということでしょう。やればやるだけ高得点に近づけるはずです…と友人は言っていました。8割以上の高得点を狙うという意味では、僕はちょっとやり足りなかったです。

3.3 勉強会
ひとりで勉強を続けるのは精神的にも大変だし、人と理解をすり合わせることで自分が変な方向に行くことを避ける必要があるだろうということで、勉強会を組めればよいと考えていました。そんな中、声をかけてくれる友人が何人かいたので、2つの勉強会に参加することになりました。

1つ目の勉強会は、新司論文の過去問を書いて検討するという勉強会でした。学部の同級生や、僕と同じく不合格だった人など、僕も含めて4人の勉強会です。答案検討だとこれ以上人が増えると大変かなぁという感じです。
具体的な内容としては、1週間に1回、事前に決めた年度の一法系について答案を作成してきて他の参加者に配り、読んだ上でひとりづつ感想などを述べつつ検討するという感じです。検討に当たっては、出題趣旨や優秀答案などを参照しつつ、法律論で外れている部分がないか、論点落ちがないか、構成や表現で分かりにくい点はないか、といったことを見ていきます。ここでも注意したのは、無駄に法律論で議論するのではなく、どうやって書けば効率的か、何を書くべきで何を省いてよいか、といった観点で見るということです。
この勉強会は、過去問演習のペースメーカーになり、一通り過去問をやったという自信につながったことと、人の答案を見る中でいろいろと参考になったということの2点で、勉強になりました。他の人の答案の良い部分が参考になる部分もあるし、逆にあまりよく書けていなかったり分かりにくかったりしたような部分を読むときでも、どうしてそう思うのかということを説明したりする中で、自分にとっての教訓を見つけることができます。自分の答案だとそういう見方がなかなかできないので、こういう経験は大切だと思います。もちろん、参加者から自分の答案に向けられるコメントも、たいへん参考になっています。

2つ目の勉強会は、演習本を解いてその答案を検討するものでした。これも学部の同級生でローの後輩に当たる友人や、僕と一緒に落ちてしまった友人の計4人で組んでいます。最初に『事例から刑法を考える』(島田聡一郎・小林憲太郎著、有斐閣)を一通り解き、次に『事例演習民事訴訟法』(遠藤賢治著、有斐閣)を終わらせています。
刑法の方では、週1回2つの問題について担当者を定め、担当者が参考答案を作成してきて、それを元に議論するという感じでした。解説が難しいということもありましたが、論点はかなり網羅できていて、答案にするにはどうすればよいかという観点からいろいろ議論ができてためになりました。文書偽造罪の答案構成方法とかは人の書き方を聞いたりする中で自分なりにイメージがつかめましたし、今年出題された過失犯の書き方についても、この勉強会でやっていたから書きやすかったです。
民訴については、参考答案方式をやめ、週1回3問くらいを解いていって検討するという感じでした(何問か関係なさそうな問題は省いている)。正直期待はずれ感のあった教材ですが、要件事実的な考え方も踏まえて基本概念から確認するよい機会になりました。人の答案を見ると自分では気づかなかった視点が見えるし、自分の答案について指摘を受けることで自分の弱点が分かります。そして何より、他の人に質問したり、質問に自分が答えたりする中で、単に知識として知っていた学説や処理方法について具体的にイメージし、理解を深めることができました。

結果としては、最初の勉強会では僕も含めて4人中3人が合格し、2つ目の勉強会では4人全員が合格していました。1人不合格が出たのは残念なことではありましたが、それでも全体としてお互いに力をつけることができた、意義ある勉強会だったのだろうと思います。前の年の勉強会も僕以外の受験者は合格していたのですが、僕は勉強会の成果をフィードバックできていませんでした。今年は勉強会自体に自分なりの目的意識を持っていましたし、勉強会で気づいたことをまとめノートに入れるなど、できるだけ形として残すことを意識していました。

3.4 予備校の答練
予備校の答案練習は、昨年に引き続いて辰巳の答練を第2クールから受けていました。これも答案を書く練習のためで、ここでも無難さを追求していきました。点数にばらつきが出ないようにするということを目指しており、前の年に比べれば得点は安定していました。

答練の問題の質についてはいろいろ議論があるようですが、本試験の水準を満たすような問題を作れるわけないので、最初からそのようなものは求めていません。試験終了後にバイトの募集があることからお分かりのように、問題を作っているのは受験生です。大学教授や弁護士が監修などはしているのでしょうけど。
大切なことは、少なくない受験生が同じ答練でトレーニングしているということであって、そこに何を求め、何を得るかというのは、結局のところ本人次第でしょう。

予備校の答練では、書きにくい処理パターンの問題があったときには、自分なりに処理方法を考えて整理したりしていました。また、単純な論点知識についても、解説を読んで納得できた部分はノートまとめに反映させたりしました。ただ、正直なところ学説が古い記述などもあるので、そのあたりはローの授業などで話されていたものを優先させています。試験委員(候補者)の言うことに従え、ということです。

再チャレンジ成功までの記録(2.不合格原因の分析)

発表後一段落して暇だったりするので、書きためた分を連続でアップしておきます。例によって大したことは書いてありません。

*長文なので注意してください
*正直に書いているので、恥ずかしいことも書いてある一方、不快に思われる表現・内容が入っているかもしれませんが、ご理解ください。また、試験に関する分析などはすべて私見なので正確性は保証できません。内容について信じるも信じないも自由です
*個人的には、自分のことを直接知っている人に生で話を聞くのが一番ためになると思っています。自分に合った勉強法を見つけるには、自分のことをよく知っていて、客観的に見てくれる人のアドバイスが有益だからです


2.不合格原因の分析

2.1 論文成績の検討
しばらくして論文の成績が届きました。結果はこちらでご案内の通り、総合でいうと僅差で落ちていたとはいえ、民事系と刑事系の不出来はどうしようもないもので、落ちて当然というべきものです。

僕の得点の特徴としては、公法系がなぜかよくできている一方、民事刑事が不出来である(特に刑事は分かっていたとはいえひどすぎる)というムラのある成績でした。
そのうち、できている方の科目である公法と知財に着目すると、これはどちらかというと他の受験生の勉強が相対的に進んでいない科目であることや、公法にいえるように論点知識そのものがあまり必要でないということから、勉強がおろそかでも勝負できてしまう(とはいえ点数がよかった理由には運のよさもあるだろうが…)という特徴があるように思います。他方、民事や刑事はみんな普通に勉強してくるし、基本的な論点の理解や知識の正確さ、処理パターンの確立などが求められる点で、勉強の積み重ねが必要な科目です。そういう科目で差をつけられているというのは、自分の準備が足りなかったということの表れなんだろうと考えました。

再現した答案も見直してみると、確かに民事と刑事では基本的な理解の欠如が答案に現れており、ウソを書くという悲惨なことになっていました。思い返すと、これらの科目では「どこかで見たことあるけどどうするんだっけ」といった迷いがあって、そこから焦って訳の分からないことを書き綴ったような気がしました。
というわけで、僕が次の受験までにすべきことは、基本的な知識や理解をきちんと定着させ、当たり前のことを当たり前に書けるようにするための対策だろうという結論にひとまず至りました。

2.2 友人への相談
しかし、これだけだと自分の独りよがりな分析になってしまう可能性があります。もしかしたら、知識や理解ではなく、文章力や事案分析のズレなどが問題になっているということもあるでしょう。それらの要素は、自分だけでは気づかないものです。

というわけで、基本が欠如しているという自分の仮説を裏付けるため、一緒に勉強会を組んでいたメンバーや昔からの友人、ローのクラスメイトなどに、僕に足りないものは何だろうと聞いてみることにしました。
文章の問題については、(このブログからも分かるかもしれませんが)一文が長かったり、難しい内容に入ると少し分かりにくくなるところがあるので、整理して書くとよいかもしれないという指摘がありました。確かに、あまり推敲せずに思ったことをざっと書いてしまう性格なので、そのあたりは問題だろうと納得しました。あと、字が小さく詰まっていたり汚かったりして読みにくいということも改めて指摘されました。答練で何度も「字が読めない」と指摘されていたので、それは覚悟してはいました(これは本試験でもまったく改善されていません…)。
そういう指摘はありましたが、普段から僕の答案を読んでもらっていた友人からは、文章力とか事案の把握力のようなもので落ちたという話ではなく、やはり勉強にムラがあったのではないかという意見がありました。他の友人も、僕の普段の姿を見ていたこともあり、受験対策を真剣にやる必要があるということを力説してくれました。

友人には上位合格者やその知り合いが多くいたので、どういうふうに勉強していたのかを聞いてみました。すると、みんな共通して言うのは、すごい答案を書く必要はないし、そんなものを目指して勉強する必要もないということでした。
特に印象に残ったのは、(失礼ですが)普段クラスで授業中あまり目立たなかった人が2桁順位をとっていたということです。その人の答案は法律論の内容についてはかなり淡白らしいのですが、その分とても読みやすい答案らしく、新司ではそういうものが評価されるのではないか…という伝聞情報でした。もちろんその人はその人なりのノウハウを確立していたはずで、それが評価されることは真っ当なことなのだとは思うのですが、少なくとも、学部やローの試験とは全く方向性が違うのだということは感じました。

その関係で指摘されたもう一つの問題は、僕が細かい論点にこだわったりしてバランスを失しがちだということです。理解していたかどうかは別として、法律論を展開することは割と好きなほうだったので、気になるとつい出題趣旨を意識せずに大展開してしまう…ということが、過去にも何度かありました。自分が書きたいことではなく、みんなが書きそうなこと、点数がつきそうなことを書くべきであって、自我を抑えろという、獣をあやすかのようなアドバイスをもらうことになりました。

別に僕の不合格原因が難しいことを書きすぎたからとかそういうわけではないのですが(分かってもいないのに変なことを書いただけです)、法律論で凝っても良い結果にならないというのは、何度も言われたことでした。有名なエピソードとして、憲法の助教になった優秀な方が、総合で見るとよい順位で合格しているものの、公法系では会心の出来の答案を書いたと思ったらひどい点数がついていたといった話があったりするようです。
そこまではいかないにせよ、求める方向性はシンプルで、みんなが書きそうなことをきちんと書く、ということに尽きるのだというイメージを持つことができました。繰り返し書くことになりますが、その後の勉強での僕のテーマは、ずっとこの「みんなが書きそうなことをきちんと書く」という点で一貫させていたつもりです。

なお、「みんなが書きそうなことをきちんと書く」ことで足りるという点については、それなりの裏づけもあるようです。これは伝聞なので証拠能力は保障しませんが、修習に行っている友人が今年(H22)の刑法について採点委員からぽろっと聞いた話によれば、今年の問題は因果関係が一つの山場ではあったが、予想以上に書いている人が少なかったので、配点の見直しがあったそうです。配点表は試験後に作り直すというのは前にも聞いたことがあるのですが、その配点も「みんなが書いているかどうか」を基準にしているらしい…ということです。もっとも、書けたほうがいいのは言うまでもないことでしょうけど。

2.3 上位答案の分析
最後に、実際に上位合格した人の答案をきちんと研究しようということで、出版されている上位答案集や、上位者が書いた答案を個人的にもらったものを読んでみました。

上位答案については前の年にも勉強会で読んだことがあり、そのときには形式の丁寧さなどに感心しつつも法律論のアラが気になってしまい、こんなものなのかなぁという生意気な感想を抱いてしまっていました。
しかし、上述のような反省のうえで読み直すと、細かい部分の議論の不備はむしろどうでもよくて、満遍なく論点を拾えている点や、コンパクトに議論できている点などが素晴らしいと感じました。これは推測に過ぎませんが、上位合格者の中でも特に優秀な方の答案の場合、書けるけど書かなかった部分というのも一定程度あるように思います。そのあたりのチョイスが絶妙というか、みんなが書きそうなことを一通り論じて、一つ二つ出題趣旨との関係で踏み込んだ考察がされているにとどまってはいるのですが、総合すると書けそうで書けない答案になっているという感がありました。実際、一発勝負の制限時間内でこれだけの内容を書くのは、大変なことです。

こうして読み直してみると、論文試験で評価されるのは無難な議論をきちんと積み重ねて展開している答案であるということを再確認することができました。
新司法試験というのは2000人が合格する試験であり、また実務家登用試験である以上、その本質は「特殊な才能」ではなく「実務に必要な基礎理解+処理能力」を測るところにあるはずです。そもそも天才は数が少ないのがその特徴であって…と、刑法の某教授がよく言っているのですが、それは司法試験でも当てはまることで、自分が目指すべきは、淡々と基本理解を示していく答案なのだということだと確信した次第です。本番の極限状況下で、限られた時間の中で答案を作成していくという条件を考え合わせても、それ以上の答案を作りに行くことはなかなかできないし、また逆に「基本」を論じるだけでも十二分に大変なことなのだということに気づくことができました。

2.4 不合格の原因とその対策のまとめ
以上のような過程を経て、自分が不合格だった理由は、(1)勉強不足のために基本的な理解が欠けていたこと、(2)そのため「普通に書くべきこと」が分からず、自分が書きたいことを勝手に書き連ねる独りよがりの答案になっていたこと、の2つが主なものだという結論に至りました。そうなると、あとはこれを修正するだけです。

とはいえ、これは容易なことではありません。基本理解と一口に言っても、その量はそれなりにあります。答案作成上のくせについても、自分を抑えて答案を書くということはこれまでやってこなかったことであり、ある程度意識してトレーニングしないとうまくいかない可能性が高いことは明らかでした。
というわけで、基本理解を定着させること、そしてその範囲で淡々と無難な答案を仕上げていく技術・心構えの習得という2つを目標として、そのための勉強を進めることにしました。

この段階で、僕の目標は「上位合格」ではなく「少しでも合格の確率を高める」ということに固まっています。上位合格を目指すことと合格確率をあげることはかなりの部分で重なるとは思いますが、上位合格という変な目標を立ててしまうと、かえって上記2つの目標からそれたことをしてしまうのではないかという気がしたからです。むしろ、書けそうな論点や気になる部分があっても、時間がかかりそうだったら割り切って省いて先に進むという方針で答案を書こうと心に決めていましたし、それでも平均以上の答案になるくらい基礎的な力をつけるのが勉強の目的なのだと考えました。
昨年度の失敗は、「これまで何とかなってたし、今度も何とかなるだろう」という認識の甘さがその根底にありました。これを払拭するためにも、自分は上位合格を目指すとかそういう立場にあるのではなく、何も分かってないダメ受験生なのだという認識からスタートするよう自分に言い聞かせました。とにかく人並みのことができる実力に達して、何が何でも次に受かるという意気込みです。
そのために、合格に比べれば飾りでしかない順位を目標にするのではなく、確実に合格する1000人くらいの枠に安定して入っていける自分を目標にするというイメージで勉強を進めることにしました。性格上どうしてもどこかで「よいことを書いてホームランを」みたいな欲が出てきてしまうのですが、それは少なくとも再チャレンジ中の自分には許されないことなのだと、本試験の前にも自分に言い聞かせていました。

というわけで、具体的な得点のイメージとしては、特に穴のあった民事刑事について、各科目50点が平均的答案ということで、それより少し良く書けた55点平均くらいの答案が常に書けるような状態を理想にして考えていました。全科目それだけ書ければ500位くらいにはなりそうなので、現実的でもあり、また十分高い目標だと考えていました。失敗の中でもよく出来た公法と選択は、今度は運ではなく確実に同じくらいの点数+αを取れるように抜かりなくやるというのが目標でした。
実際の結果を見ると、ほとんどその通りの成績がついていました。まぁ無難と言ってしまえばそれまでですが、自分のやってきたことの正しさが実証されたようで、その点ではとても満足しています。

再チャレンジ成功までの記録(1.不合格に至るまで)

成績表が返ってきたので、これを受けて、今年合格に至ることができた理由を自分なりに考えて書き残しておくことにします。
といっても、受験に向けてやるべきことは人によって違うと思いますので、僕ができるのは「自分がどういう理由で、どういう勉強をしてきたか」ということを、淡々と書くことだけです。普通に勉強してきただけなので、特別なことを書くことはできないし、またそのつもりもないので、面白くもなければ参考にもならないかもしれません。そういうものだと思ってお読みいただければ幸いです。

*長文なので注意してください
*正直に書いているので、恥ずかしいことも書いてある一方、不快に思われる表現・内容が入っているかもしれませんが、ご理解ください。また、内容について信じるも信じないも自由です。後で書きますが、個人的には、自分が直接知っている人に生で話を聞くのが一番ためになると思っています

1.不合格に至るまで
どういう人間の勉強記録であるかを書かないことには参考にならないと思いますので、最初に新司法試験までの自分の取り組み方、というか、いかにダメな受験生だったかを書いておきます。経歴なども割と明らかにしているため、読む人が読むと誰か特定できてしまうと思いますが、そのへんは無粋なことをせずにスルーしてもらえるとうれしいです。あんまり変なことになると消さないといけなくなったりしそうなので…(まぁ、そうなっても困る人は僕だけなのかもしれませんが)

1.1 新司法試験不合格までの軌跡
§1 大学
某地方公立高校から東京大学文科Ⅰ類に入学。この頃は何となく法律を勉強したいと思っていただけで、司法試験なんて受けるとは思ってもいませんでした。大学受験も、部活を引退した9月からは人並みには勉強したと思いますが(といっても他の人がどうだったか知りませんけど)、大変な思いをしたという記憶はなく、運良く受かったという感じです。思えばこのときから、受験というものを甘く見ていたのでしょう。

法学部に進学してからも、授業は退屈だったのでほとんど出席せず、友人のノートなどに助けられながら単位を取っていました。学部試験というのは出題範囲も限定されているし、講義内容に現れた教授の問題意識を意識しつつ勉強すれば対応できるため、試験前直前の詰め込みでもよい成績がくるものです。おかげで成績最優秀という謎の称号がつきましたが、一度落ちたことからも分かるように、実態を反映したものではありません。結構人数もいますし。

司法試験を意識したのは、3年の冬学期くらいからです。就職活動を少しだけ覗いたら自分に合わなさそうだったというのと、ゼミでの法律の議論がとても面白かったこと(司法試験と全く関係ないことは後で気づく)から、ロースクールに行って法律家を目指すのもよいかと考えたからです。あと、前述のように成績もよかったので、4年になってから対策してもロー入試には間に合うだろうという判断もあります。

実際には、ロー入試対策をはじめたのは3年の冬、年が明けてからくらいです。というのは、友人に旧司法試験を一緒に受けてみないかと誘われ、まぁ記念によいだろうということで、1月くらいから短答の勉強をはじめたからです。といっても旧司論文過去問を一周やり、民法の択一六法を通読したくらいですが、旧司では刑法がパズルで知識が不要ということもあり、本番で48点を取って通過してしまいました。その運が新司で欲しかった。
そこで、ロー入試対策にもよいだろうということで、7月の論文式試験に向けて一応勉強を始めました。とはいえ、これまでそういう勉強を何もしてこなかったので、下三法は伊藤塾のシケタイを急いで買って読み始め、上三法も論証などに思い至るまでもなく基本書を読み直すだけという情けないことに。当然、答練など行く余裕もその気もなく。
旧司論文は難しく、はっきり言って歯が立ちませんでした。結果は、憲法A民法F刑法G商法F民訴C刑訴Bで総合Fという、どうしようもないものでした。ちなみにこの年の民法で即時取得、刑法で間接正犯が出題されていて、新司で失敗したときの死因とかぶっていました。間違いから学ばない限り、同じ過ちを繰り返すということなのでしょう。

そんなわけで旧司は当然のように失敗したのですが、ロー入試はそれなりに上手く行き、慶應ローと東大ローに合格していました。というわけで、学費も安くて大学が変わらない東大ローに入学を決定し、新司法試験への道を歩むことに決まりました。

§2 法科大学院
前記の通り、東京大学法科大学院既習コースに入学することになりました。有名なことではありますが、東大ローは基本的に受験対策をするつもりのない場所で、特に民事系はほとんど試験と乖離した授業ばかりです(実務基礎を除く)。民法に至ってはレポートだけで、しかも内容も特別法とかだったりするので、受験対策としての体系的学習は完全に自学自習に委ねられています。

そういう場所ではありますが、他のロースクールに比べると課題などはあまり大変でもなく、民訴や刑訴を除けば予習をしなくても何とかなったりしたので、きつい授業も減ってローにも慣れてきた2年の冬学期以降は、授業で扱う判例を読んでくるなど最低限のことをするほか、ほとんど予習復習をしなくなってしまいました。授業中もかなりの時間爆睡しており、この事実だけで同級生に特定されてしまうんじゃないかというくらいです。また、自習室の空気も好きになれなかったので、結局在学中一度も自習室で勉強したことはありませんでした。かといって家でやってるわけでもなく、今思えば何やってたんだというところです。
とはいえ、ローの試験も学部と同様、ノートなどを入手した上での短期詰め込みで何とかなってしまうので、さすがに学部ほどではないとはいえ成績もそこそこで、上位15%以内には入っていました。先輩からは「ローの成績と司法試験は関係ないから」と聞いてはいましたが、正直このときは油断していました。
自分の来し方を振り返ったら勉強不足なのは明白だろう…と言えるのは、一回落ちて現実を知った今だからこその話です。受かった人も受かってない人も「自分はそれなりには勉強した」と思ってしまいますが、客観的に見ると全然違います。今、過去の自分を客観的に見て、それを痛感しています。

司法試験対策は、クラスの友人に誘われてはじめた、辰巳法律研究所の答練からでした。答案の形式などについて勉強になったのと、細かい論点も押さえる必要があるのだろうということが参考になりましたが、このときはあまり真面目に復習せず、受けっぱなしでした。成績はムラがあるものの全体としてそこそこで、この結果もあって、こんなもんなんだなぁと危機感を持たずにだらだら勉強することになってしまいました。
あとは、友人との勉強会で過去問を2年分くらい解いたのと、短答対策ということで早稲田セミナーの問題集を一周解き、ついでに肢別本も一周回していました。それから基本書を読んだり百選を読んだりといったところで、正直なところ戦略も何もあったものではありませんでした。

直前に受けた辰巳の全国模試では、短答は微妙でしたが、なぜか論文の点数がとても高く、総合で150位くらいになっていました。これで完全に調子に乗ってしまい、論文で何とかなるんだろうということで、直前期は短答の追い込みに時間を使っていました。まぁ、直前期に論文対策をやってれば何とかなったというレベルではないわけですが、結果を見る限り、類型別をきちんと読んでいれば民法がもう少し何とかなって受かっていたのかもしれません。もっとも、それで受かっても危なかっかしい法律家になってしまっていたでしょうけど。

そして、そのまま本試験に臨み、そして不合格だったということは、ご案内の通りです。
ここまでで自分に該当すると思い当たる現役生の方がいらっしゃるとしたら、悪いことはいいませんからすぐ改めたほうが良いです。死ぬ気で勉強しろとまでは言いませんが、司法試験というのはそうフワフワと受かるものでもないし、外したときのショックは大きいです。そんな当たり前のことを1年もかけて気づく必要はありません。

1.2 不合格の結果を受けてから
試験後はロー在学中に行っていたインターン先の事務所を回っていて、既に内定が決まっていたため、ゆるく過ごしていました。そういうこともあって、何となく受かっているだろうと思っていただけに、自分の番号がなかったときにはびっくりしました。今思えば、あんな答案書いて受かってたと思ってたことが恥ずかしくてなりません。
今でも覚えているのは、掲示板に番号がないことを確認しても、涙が流れるとかそういうことがなかったということです。しばらくしてからそういう機会はあったのですが、不合格の瞬間に割と冷静でいられてしまったのは、受験に対する覚悟が足りなかったことの証左なのでしょう。

不合格が分かった日は、各方面に報告とお詫びなどした後で、この先どうしようかということでぼおーっと考えていました。勉強しないといけないんだろうなぁということで、近くに転がっていた内田民法を読み始めたら、その年の問題で出ていた錯誤の記述などが目に入り、ああいうこと書けばよかったのかなぁ…などと頭によぎってきて、ようやく自分の至らなさが実感できました。

そんな感じで数日は落ち込んでいたのですが、同じ年に受験して合格した友人などが連絡してきてくれて、事務作業などで忙しい中、いろいろ相談に乗ってくれました。このときに励ましてくれたことが、再チャレンジに向けてすぐに動き出せた大きな理由になっているし、その後も自分の勉強を支えてくれました。友人たちには本当に感謝しています。

というわけで、不合格が分かってから比較的短い期間で、次の試験に向けて前向きに考えることができるようになりました。まず最初にすべきだと思ったのは、自分が落ちた理由を明らかにするということです。
次回は、ここまでの軌跡を踏まえて、自分なりに不合格の原因を分析しようとした方法と、それに基づく分析結果を記します。
プロフィール

眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。