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H20年民事系第2問(商法・民訴法)

遅くなりましたが前回の過去問勉強会で検討したH20民事系大大問の再現。毎回そうですが、答案構成というには長く書いています。実際に解答する時の構成ではラベルと簡単な論証の流れ、要件だけを書いて、細かな事実も箇条書きで簡単にあげているだけです。

H20 民事系  問題 出題趣旨 採点実感
2009.10.24解答

―――――――――
第2問(大大問:商法、民訴法)

[設問1]
第1 保証債務履行請求の可否
1 回答の概要
(1) 丙⇒乙の請求をするには①甲の借入れが有効であること、②乙の保証が有効であることの2点が問題になる
①②について法的に問題となるのは、()②の保証が利益相反取引として無効にならないか、()①②について「多額の借財」(362Ⅳ②)として取締役会の決議を要しないか、()決議の瑕疵につき丙銀行が有効を主張できないか、が問題となる
(2) 以下検討の通り、()は有効といえるものの、()()により丙銀行は主債務及び保証債務の有効を乙社に主張し得ないので請求は認められない
2 ()利益相反取引の点
(1) 乙の保証債務は、乙が甲のためにしたものであるが、実質的には甲株主であり乙取締役のA・Bのためされている⇒間接取引(356Ⅰ③)
乙は取締役会の承認(356Ⅰ柱書・365Ⅰ)を経ていない⇒無効か
(2)But 利益相反取引は会社保護、株主保護のための規定
本件では乙株主はA・Bの2名だけ、本件事情ではともに保証契約に賛成している
よって乙全株主が賛成しているので、承認は不要⇒無効にならない
3 ()多額の借財について
(1) 甲のした30億の借入れ及び乙のした保証は「多額の借財」では?
これは当該会社の資産状況、従前の取り扱い、借入額などを総合して決すべき
本件では額が30億と大きく、余剰資金50億と比べても相当の額であること、乙は閉鎖会社であり甲もマザーズ上場にとどまるから高額の資産運用・事業展開を常としているとは考えられないことから、「多額の借財」といえる
(2) よってこれら取引には取締役会の承認が必要
少なくともDら株主がいる甲社では承認を欠くことはできない
⇒借入れ(主債務)は無効
4 ()丙銀行は保護されないか
(1) But 承認欠く取引を全て無効にすると取引の安全×
⇒心裡留保(民93)に類似する状況であるから、同条を類推適用し、相手方が決議のないことを知り、または知りうべかりし時に限り無効と解すべき
(2) 本件についての評価
ア 判断基準
過失=注意義務違反 これは①結果予見義務と②調査・回避義務に分けられる
これらの判断は当事者の取引上の地位や能力に基づきされるべき
貸付けを業とする銀行は高い注意義務を負う
イ 評価
(ア) 結果予見義務違反の有無
本件ではEがFを欺罔していること、甲の事業が順調なことから、Fが本件融資を正当なものと考えるにつき無理のない事情もある
But 本件融資は甲の経理担当役員DでなくEから持ちかけられている
甲と丙の付き合いは浅く、乙とは取引関係すらない
借入額は30億と多額
⇒特に注意を払うべきだった
さらに、議事録を受け取れなかったので、これを不自然と考えるべき
(イ) 調査・回避義務違反の有無
Fは乙社と関係強化したいとの思惑から、疑いがあったのに調査を全くしていない
議事録不提出にもかかわらず直接役員(特にD)に問い合わせていない
F自ら確認したと稟議書を作り、無理やり融資を成立させている
ウ 結論
以上より丙には過失あり
⇒主債務成立の有効を主張できないから、保証債務の附従性(民448)より保証債務請求もできない
第2 株式交換の問題点
1 検討すべき点
(1) 問題となるのは、①H20.1.17の交換契約承認決議がA・B・乙という利害関係人の参加でされた点、②交換契約の対価が不当な点、③丙に対する各別の催告がなかった点、④丙に弁済等がなかった点、の4点
(2) それぞれについて()無効原因となるか、()無効主張適格が丙にあるか、が問題となる
なお、()の適格は、828Ⅱ⑪より承認しなかった債権者に認められるが、乙への保証債務は不成立であるから、丙は原告適格を有しない
しかし本文では「問題点」のみ検討すればよいのでこの点は省く
2 株式交換契約承認決議が利害関係人の参加でされた点
(1) H20.1.17の甲社決議は、甲株主のA・B・乙(計50%)の参加により成立したと考えられる
A・Bは乙株主であり、乙は交換の相手方当事者であるから、全て利害関係人
50%の議決権は結果を左右するから、著しく不公正なものとして決議取消原因になる
(2) But 株式交換の無効事由は取引の安全から厳格に解すべき
決議に瑕疵があるだけでは未だ無効事由とはならない
決議を取り消した上で無効を主張すべきであるが、決議ビから3ヶ月経っているので出訴期間をすぎている(831Ⅰ)
よって無効の主張はできない
3 対価内容が不当であること
(1) M&Aアドバイザーの作成した虚偽の意見書に基づき、1株当たり5000円も高い対価になっている
⇒不当なもの
(2) But 交換内容の不当さは契約承認決議や債権者の異議により争われるべき
⇒無効事由にはならない
4 丙への各別の催告がないこと
(1) 乙は779Ⅱに基づく格別の催告を怠り、939Ⅰ②・③による代替公告もしていない⇒違法
催告を欠くと債権者の異議申立機会がなくなるので無効事由と解すべき
(2) But 丙は催告を受けていないが、交換を知った上で異議を述べている
⇒異議申立の機会があり、催告不在を主張する利益なし
⇒丙は主張できない
5 丙に弁済がなかったこと
丙は779Ⅴの弁済を受けていないが、そもそも乙債権者でないので、違法はない
6 結論
丙の主張しうる違法は株式交換には存しない
[設問2]
1 丁のとりうる手段
甲・乙取締役A・Bに対して①429Ⅰの損害賠償請求
乙に対して②法人格否認の法理による債権の請求、③乙を事実上の取締役と見て429Ⅰの責任追及
2 A・Bに対する損害賠償請求
(1) A及びBにより甲乙間の財産移転がされ、甲の財務状況悪化⇒429による追及可能か
(2) 丁は間接損害を被っているが、429はこれを保護するか?
429は法定責任を定めている⇒間接損害も包含する、OK
(3) ではA・Bに違法があるか?
この点、Aが甲を代表した財産移転は利益相反取引、しかし甲は乙のみを株主とする会社、乙への利益移転は利益相反とならない
But 甲取締役のA・Bは善管注意義務(330、民644)より甲財産を減少させない義務を有する
⇒これに反した仮装取引に任務懈怠あり
(4) よって丁は429に基づきA・Bに損害賠償請求できる、これはA・Bの連帯責任(430)
3 法人格否認の法理
(1) 甲負債を帳消しにするため乙に財産移転をしている
⇒甲と乙の法人格の違いを利用して債務を免れようとする、法人格の濫用にあたるから、信義則(民1Ⅲ)より乙は独立の法人格を主張できないと考えうる
これによれば丁は乙に直接請求できる
(2) では法人格の濫用はあるか? ①濫用目的と②支配関係で決すべき
①目的につき、A・Bの通謀に基づく財産移転であり、価格の不自然性から、濫用目的がいえる
②関係につき、乙は甲の一人会社であり、甲の代表Aは乙の代取⇒支配あり
(3) 以上より法人格否認の法理の適用がある
4 事実上の取締役
429Ⅰは、取締役が取引において重要な役割を果たし、第三者に損害を与える地位にあることに注目して役員の法廷責任を定める
⇒事実上取締役として影響力をもつ主体にも429及ぼせると解すべき
本件では、乙は甲の一人株主として自らの利益のため財産移転を受けているから、甲の事実上の取締役として429の責任を負う
[設問3] 
1 本件で主観的追加的併合を認めるべき必要性
本件では会社855の訴訟要件を具備するため被告を追加する必要性アリ
追加を認めないと、Jは解任の訴えを提起できない(既に出訴期間30日は経過)
2 本件事案と引用判決の違い
引用判決は①訴訟経済、②訴訟の複雑化、③軽率な提訴・濫訴のおそれ、④訴訟の遅延を理由としているが、以下の通り、これらは本件に当てはまらない
ア ①訴訟経済の点
引用判決は、併合しても新訴で旧訴の訴訟状態を当然に引き継げないから意味なしとする
But 本件では訴訟状態の利用ではなく、訴訟要件治癒のため併合をしようとしている
これを認めないと訴えそのものがダメになり、却下されるので、訴訟経済上の問題は大きい
イ ②訴訟の複雑化の点
引用判決は、併合で訴訟が複雑化するという。たしかに全く新しい当事者が入ると複雑化するかも
But 本件では855の当事者を加えるニスギズ、追加される会社は形式的に参加するに過ぎないから、紛争状況に実質的変化はない
出訴から30日以内(8日後)の追加であり、旧訴といえる実体審理もまだないから、複雑化する基礎がそもそもない
ウ ③軽率な提訴・濫訴の点
取締役解任の訴えでは855で追加対象が限定されているから濫訴できない
Jは弁護士をつけず独自に提訴しようとしたから、855を見落とした点を軽率ということは酷
エ ④訴訟の遅延
取締役解任の訴えは出訴期間が30日と短く、早期に追加を要するから遅延のおそれなし
本件でも未だ本案審理ないから遅延しようがない
3 結論
以上より、本件では併合を認めるべき理由があり、引用判決の言う支障もないから、Jの申立を認めるべき
[設問4]
1 小問(1)について
(1) 224Ⅲの意義
文書提出命令は、証拠の偏在を解消するため、一方当事者に文書を開示させ、申立人の証明の便宜を図るとともに、真実発見に資する意義を有する
But 命令にペナルティがないと、証明妨害として提出を拒むことで、申立を受けた相手方は不利益認定を免れる一方、申立人は証明できなくなって当事者間の公平が害される
裁判所も証拠がないと申立人の主張を採用できず(弁論主義)、真実発見も害される
そこで、224Ⅲは、220の除外事由がないのに命令を拒んだ場合に申立の主張を認めることができるとし、申立人の救済と相手方への制裁を課したものと解される
もっとも、裁判所は自由心証主義(247)に基づき判決をするから、224Ⅲの「できる」との文言からも、それを超えた意義があるとまではいえないと考える
(2) 各説の検討
以上を前提に各説を評価する
ア 転換説
(ア) 転換説は、申立のあった主張につき相手方に不存在証明責任を負わせるもの
これにより申立人は立証責任を免れるから救われる一方、相手方も反証の余地があるから、バランスが取れている
(イ) But 224Ⅲが「できる」としているのに、常に転換を認める同説は文言に合わない
相手方の提出拒否の態様によっては常に転換させるべきかも疑問あり
イ 軽減説
(ア) 軽減説は、提出されなかったことを理由に証明度を軽減し、申立人の負担を減らすことで救済を図る
(イ) But どの程度軽減されるか不明確
224Ⅲは他の証拠によれない場合にはじめて適用されるから、軽減されても救済として不十分
ウ 擬制説
(ア) 擬制説は、不提出により申立にかかる主張を真実とみなすことで救済を図る
最も救済効果が高い
(イ) But 常にそのような効果を認めると文言・実質的効果の上で疑問あり
相手方に反証すら認めない合理的理由はない
エ 心証説
(ア) 心証説は、不提出により弁論主義の第3テーゼの例外として主張について証拠なく認定できることを認めたものといえる
これにより裁判所の心証に合わせて申立人を救済でき、224Ⅲの文言にもあう
(イ) But 救済の有無が心証にかかる点で申立人の救済は常にされず、申立人の側からすると問題がある
(3) 支持すべき見解
上記のうち、軽減説は救済効果が不十分であり、擬制説は反証すら許さない点で効果が強すぎるから、転換説か心証説がよい
ではどちらが妥当か⇒申立人救済・相手方への制裁の必要性を重んじるか、自由心証主義の原則を尊重するかの選択問題
私は、証明妨害でも事案により救済の必要性などは異なるから、これも含め自由心証に委ねるべきと考える
(4) 結論
よって心証説を支持
2 小問(2)について
(1) 心証説の帰結
申立人が事実に関して主張している場合も、その事実につき文書の趣旨や不提出の経過等から真実と認めるべきか個別に判断し、認めてよいと解されるときに限って適用すべき
224Ⅲは通常の主張立証で対象となる事実についてのみ認められるから、法的判断にかかる事実の認定はなしえない
(2) Kの主張事項アについて
KはAが負債を認識していたことを主張している
本件文書の内容、記載から、上記事実は推認可能
甲訴訟代理人はBの認識が争点であると知っており、Aの認識も関連して問題になり得ると分かった上で提出を拒んでいる
⇒アについて真実と認められる
(3) Kの主張事項イについて
KはBもAを介して負債を認識したと主張している
But 本件文書の存在は直ちにBの認識を基礎付けない
文書はA宛であり、ここからBの認識を認めることは合理的心証に反する
⇒イについて真実と認められない
(4) Kの主張事項ウについて
KはBに法令定款違反があると主張している
But これは裁判所の専権たる法律判断
当事者が主張すべきはそのための間接事実である
ウの事実は何ら特定がなく、心証形成する前提を欠く
⇒ウについて真実と認められない
(5) 結論
アにいう事実だけ224Ⅲの適用が認められる
3 小問(3)について
(1) 本件は会社855に基づく必要的共同訴訟
共同訴訟では心証を一にする自由心証主義の要請から、共同訴訟人の一人に対して提出された証拠は他の共同訴訟人に対しても適用される(証拠共通の原則)
これによれば、甲に224Ⅲ適用があれば、その効果は共同訴訟人Bにも及ぶように思われる
(2) But 甲の不提出はBにとって無関係の事項
そのようなBにも不提出の制裁を加えることは224Ⅲの趣旨にも、共同訴訟人独立の原則(40Ⅰ)にも反するのではないか?
特に証拠共通との関係で、本件では文書そのものが提出されず、Bに検討する機会がないから、同原則適用の前提を欠くように思われる
(3) そこで、①効果の及ぶ当事者が当該文書について管理・支配可能性を有しており、②文書不提出効果に対して反証等の機会・手段がある場合に限ってBに効果を及ぼすべき
本件では①Bは甲取締役であり、甲の保有する本件文書を閲覧でき、②本件不提出で擬制されるのはAの認識にとどまるから、Bは独自に反証する余地がある
(4) よって、本件ではBにも文書不提出の効果が及ぶ


消費時間 4:00(商法2:20 民訴法1:40)
答案枚数 14枚弱(商法7枚 民訴法7枚弱)


―――――――――
【反省点】

商法
検討に当たっての問題の所在(なぜそれを検討するのか)を説明しなかったのは、出題趣旨などとの関係でよくなかったように思われます。内容面よりも、そういう場所で丁寧に論じたほうが、印象がよくなるのではないでしょうか。

内容については、最初の問題で丙の債権を全て否定してしまい、株式交換の問題点を検討するに当たって困ってしまいました。主張適格がそもそもないけど検討する、というのはあまりに便宜的です(ただ、設問が「株式交換の問題点」という書きぶりなので、そういうものなのかと思ってしまった)。ただ、どのような構成によっても丙の善意無過失を検討する必要があるところ、丙に過失なしというのは相当に骨が折れる感があり、そちらの直感を優先してしまいました。
今思えば、心裡留保ではなく別の構成(あるいは修正)で善意無重過失に限定した上で、丙の過失を認定できる事実を一個一個潰していく認定をすれば(例えば「Fが計画を調査しなかった⇒海外であるし事業も好調」とか)重過失の否定はできた気がします。答案では、AとBが契約当事者であり、取締役会構成員の過半数が契約に関与しているという重要な事実も落としてしまっていますが、これも摘示すべきでした(しかし普通に考えれば、ここで議事録の件を確認すべき気もします…)。

利益相反取引については、無過失認定がかぶるかなぁという考えもあって、株主の承認という議論で切るつもりだったので、あまり論じていません。間接取引の認定基準に議論があることもあえて省いたのですが、やはり論じてほしかったようで。その上債権者の観点から株主の承認にもかかわらず無効の可能性を探るという要請もあったようで、言われてみれば確かにというところですが、時間不足でとてもではありませんが検討できませんでした。
時間が許すのであれば、利益相反取引についても無効を認め、丙との関係での有効性を別途検討するフルバージョンでの答案は書けるはずです。そこでは、丙が認識すべき事実が「多額の借財」の場合と異なり、利益相反状況につき認識できたかどうかという検討ができます(より無過失といいやすいか?)ので、検討の実益はあるでしょう。ただ、8枚2時間の制約では、今の僕にそこまでコンパクトな検討をする実力はないし、それをつけにいく勉強方法が求められているとも思えませんので、基礎を固めつつ、書けそうな部分で手堅くまとめる力をつけるべきなのでしょう。

株式交換の問題点については時間が足らず適当な検討になりましたが、一応問題点は全て拾えたようです。設問2は配点の割に全然時間が割けず残念な答案になってしまいました。取締役Cへの責任追及の検討ができなかったのは残念です。乙社に対する請求は、まぁこんなものではないかと思いたいところ。隠れた剰余金の配当…とか、そこまで思い至る実力があったらいま頃こんなことしてないです。

民訴法
設問3については、判例との対比でそこそこは書けたのではないか…と思います。多分あまり差のつかない設問でもあるのでしょうが。
改善点とすれば、明文のない主観的追加的併合を認めるべき根拠を一般論として議論できればなおよかったのかもしれません(出題趣旨からすると不要とも思えますが)。あと、より事実を丁寧に摘示する余地もあるにはありました。

設問4の小問(1)は、各説の比較検討過程が適当になってしまった感があります。最初の総論部分で、救済すべき必要性と自由心証主義の話を書いているのですから、それを明示的に援用した上で軽減説と擬制説に退場いただき、その上で残った二説につきもう少し悩みを見せたかったところ。

小問(2)は、各事実の要件事実的意味を考えたかったところ。主要事実の「法令・定款違反」はいわゆる規範的要件といえるので、それを支える評価根拠(障害)事実が主要事実となると整理したうえで、アは間接事実、イは主要事実、ウは法律判断ということになるのでしょうか(アも主要事実?)。そうなると心証説からはアについてはそもそもはじめから自由に認定できるので関係ないという話にもなりそうです。この辺は実際よく分からないところです。

小問(3)は、分かりにくい説明不足の文章を書いてしまったところがあります。証拠共通原則の正当化根拠として裁判所だけでなく共同訴訟人も当該証拠をチェックできる(手続保障)ということが考えられる、ということを明快に指摘したかったです。あと、心証説から証拠共通原則が問題になるのだという説明(自由心証主義から証拠共通が出てくるので)もすぱっと書ければよかったのでしょうが、時間に追われていたのでこれが限界です。


全体として、書けるには書けたものの、まだまだブラッシュアップの余地が大きい感じです(当然ですが)。ただ、それも結局は基本的な知識の定着でカバーすべきもののような気はしています。まだ各法のインプットを集中的にやっているわけではないので、無駄に思い出すことなどで時間を消費している感もあるので…。
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H19年公法系第2問(行政法)

遅くなりましたが検討済みの行政法を。まぁ遅くなっても誰も困らないのですが。


H19 公法系  問題 出題趣旨
2009.11.10解答

―――――――――
第2問(行政法)

第1 設問1について
1 小問(1)
(1) 本件では①5.6にされた退去強制令書発付の取消訴訟(行訴3Ⅱ)、②4.16にされた退去強制事由該当認定の取消訴訟ができる
また、仮の救済として、③退去強制令書の効力の執行停止(25)を申し立てるべき
(2) ①令書発付の取消訴訟
ア 令書はAに対し発付→原告適格(9)あり
出訴期間などもOK
But 処分性が問題に
イ 「処分」=国または公共団体の行為のうち国民の権利義務を直接形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの
令書発付はそれにより対象者の送還・収用を可能とする(入管52)からこれにあたる
ウ 以上より取消訴訟提起可能
(3) ②退去強制事由該当認定の取消訴訟
ア 原告適格、出訴期間OK
認定無効で令書発付要件も失われるから訴えの利益あり
イ では処分性はどうか
この点、認定自体は令書発付の前提にすぎず、処分性なしとも思われる
But 入管法は認定で該当事由あれば令書発付義務付けている
同法は判定・裁決という不服申立ての手段を用意している→処分として予定
よって処分性あり
ウ 以上より取消訴訟提起可能(裁決との関係は小問(2)参照)
(4) ③令書の効力の執行停止
ア もっとも、発付を争っても送還されると訴えの利益なくなりAの目的×
そこで、Aを速やかに解放し、送還可能性をなくすため、令書効力の執行停止(25)をすべき
イ 要件の検討
(ア) 重大な損害
25Ⅱの「重大な損害」=仮の義務付け、差止が「償うことのできない損害」とすることの対比より、回復不可能でなくてもよい、損害の性質や程度なども考慮する(25Ⅲ)
本件では令書執行でAが強制送還→大学卒業不可能、勉学の目的×、重大な損害
Aが収容されている状態も、Aの人身の自由を侵害、学業を妨げていて×
よって重大な損害あり
(イ) 緊急の必要
Aの収容は日々刻々権利侵害→一刻も早く解放すべき
一旦送還されると救済不可能→緊急の必要アリ
(ウ) 補充性
効力の停止では補充性が必要(25Ⅱ但書)
本件では、収容中止のためにはすでにされた令書執行の効力停止が必要
(エ) その他公共の福祉、本案の理由については被告が立証すべきなので省略
ウ 以上より令書の効力の執行停止が出来る
2 小問(2)
(1) 原則的な処理
行訴10Ⅰ=原処分主義
これは、原告の訴訟選択の便宜と、効力の元となる処分の取消訴訟で争わせるのが筋だという理解に基づく
⇒原則として認定の取消訴訟によるべき
(2) 例外的扱いの可能性
ア しかし、個別法で裁決主義を定めることは出来る
ここで、入管法の認定-判定-裁決はそれぞれ出訴期間3日以内
⇒判断の迅速化と対象者の手続保障を図る特殊な制度だから一体として見るべき、との見解あり
これによれば実質的に裁決主義、一体の手続の最終段階で争うべきとも思われる
イ 他方、入管法に裁決主義の明文がないので例外とはいえないとの立場もありうる
(3) いずれの立場が妥当か
ア そこで原処分主義の趣旨に立ち返ると…
10Ⅱは原則明示で原告の訴訟選択の便宜
⇒個別法に例外明示なければ原処分主義で行くべき
イ 入管法も、確かに迅速性は重視しているが、判定・裁決はあくまで認定の誤りの有無を判断するにとどまる(47Ⅷ、49Ⅲ)
⇒認定を別個の処分としていないし、認定を変更するものでもない
よって、あくまで元の処分を争うべきとの実質も変わりない
ウ 以上より、本件では原処分主義から認定を対象とすべき
第2 設問2について
1 入管法24条4号イにいう「専ら行っている」の解釈
ア 認定では入管法19Ⅰ違反から24④イ違反としている
これは19Ⅰ違反⇒24④イ違反という前提に立つが、それは誤り
イ 入管法24④イは、19Ⅰ違反+「専ら行っている」と規定⇒要件付加
これは、同73が「専ら行っている」を欠く19Ⅰ違反を1年以下の懲役・禁錮と200万以下の罰金に留める一方、「専ら行っている」場合は3年以下の懲役・禁錮と300万以下の罰金と重くしていることからも明らか
ウ 以上より、24④イに該当というには、①少なくとも19Ⅰ違反であり、かつ②「専ら行っている」と評価される必要がある
それぞれ本件では否定される
2 19Ⅰ違反のないこと
(1) 資格外活動許可制の解釈
ア 19Ⅱ=在留資格を基礎付ける活動の信仰を阻害しない範囲で、必要経費の一部をまかなうバイトOK
審査官はAがこれに違反というが、その判断は直ちにはいえない
イ すなわち、同項は①専らまかなっているといえなければ問題とならないし、②入国時要件も、一旦入国を認めた以上退去は控えるべきであるから、事情変更があれば滞在経費をまかなうアルバイトを認めるべきである
(2) Aはバイトで滞在経費を専らまかなっていない
Aは滞在経費として月14万+授業料
バイト前は父から月10万、これは授業料に使用されていたともいえる
父の学資がなくなったあと、Aは月10万のアルバイトを開始しているが、他にも奨学金と親戚の仕送りもある
滞在経費自体はバイト外の収入でまかなっていると考えられるからOK
(3) 事情変更のあること
Aの入国後父の会社の倒産でやむなくアルバイト
このような場合には例外として認めるべき
3 入管法24④イに該当しないこと
(1) 19Ⅰ違反であっても、「専ら行っている」のでなければOK
この要件は、就労目的の入国を規制する趣旨⇒Aの在留目的たる留学の目的に実質的な変動がなければ「専ら行っている」とはいえない
(2) 本件についての評価
ア アルバイトの実態
Aは禁止された風俗営業所でバイトしている
But その内実は接客ではなくファミレスと同等
収入面も風俗営業に伴う高価なものとはいえない(時給1200円くらい)
イ アルバイトの動機
Aのバイト開始は学資をまかない留学目的を達成するため
実際、収入は遊興費や蓄財にはあてられていない
AがP店からR店に勤務先を替えたのも、労働時間を増やして学業に支障がでるのを避けるためといえる
ウ 学業への支障
Aは講義に平均8割出席
既に卒業要件の8割近く取得
その成績も、母国語でない留学生なのに半分近くが優・良と十分
R店アルバイトを9ヶ月続けているのに、上記のような成果を上げているから、支障は認められない
(3) 結論
以上より、Aは在留目的変えずにバイトと学業を両立⇒「専ら行っている」わけではない
よって審査官の認定は事実誤認の違法あり


消費時間 1:50
答案枚数 7.5枚


―――――――――
【反省点】

今回はざっと以下の通り。小問(2)は割と頑張ったほうではないかと思います。

1.誘導を読まなかった小問(1)
訴訟法の問題ですが、誘導を十分よまなかったため、書かなくてよい認定の取消訴訟について論じてしまいました。これは無駄な時間・分量を食っただけでなく、印象も落としてしまいます。
さらに、認定の取消訴訟を論じようと思ったことで、そちらの処分性の認定がキモになると考えてしまい、令書発付の処分性について手を抜いてしまいました。本当はこちらに力を注ぐべきでした。
本試験ではこういう読み落としが明暗を分けそうなので、冷静に解いていきたいです。

2.本案の話は誘導から主張を整理しなければ
今回は誘導の会話文が分かりにくく、書くべきことは分かるがそれをどこで書けばいいのかよく分からないという感じでした。とりあえず入管法19Ⅰ違反と24④イ該当性が違うという関係は分かりましたが、それを総論という形で書かなくても、19Ⅰ違反はない(資格外活動許可に違反していない)⇒違反があっても24④イには該当しない(専ら行っているといえないとダメだがそれはない)、と順に論じていけばそれで足りた気がします。
十分整理できていなかったので、風俗営業所の仕事とファミレスの仕事が同等だという話は19Ⅰ違反の不存在で(も)摘示すべきだったとか、いろいろ残念なところがあります。
あと、違法主張の内容については、滞在経費を専ら賄っていない…というところの議論は説得力が弱いですね。個人的に「いや、専ら賄ってるだろう」と思ってしまったのでこんなことを書いているのですが、入国時要件は在留期間全体の滞在費を賄う資力があるかどうかで考えるのでしょうから、在留期間のなかの9ヶ月だけバイトをしていたという事実をここで拾うべきでした。

H19年公法系第1問(憲法)

H19の公法系の勉強会があったので、早めに答案構成をまとめておきます。

H19 公法系  問題 出題趣旨
2009.11.10解答

―――――――――
第1問(憲法)

[設問1]
第1 「C市まちづくり条例」(条例)の法令違憲
1 条例が都計法の範囲を超えていること
(1) 本件では条例18条により計画が妨げられている
しかし同条例は都計法の既成を逸脱し、憲94に反する
(2) 具体的には、都計法は「都市の健全な発展と秩序ある整備」を目的とし、「健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動」や「土地の合理的な利用」を念頭に都市計画を規律し、これを基準に開発許可を定める⇒それ以外の規律を許容しない
But 条例は上記目的にない「安心・安全」や「環境保護」などの目的を付け加え、周辺住民の同意など都計法にない規律を設けている⇒法を逸脱
(3) よって条例が違憲、それに基づく処分も違法
2 条例がB教団の信教の自由を侵害し違憲であること
(1) 本件不許可処分はB教団の協議が要請する集団居住・修行をする場所を奪い、宗教的行為の自由(20Ⅰ:信教の自由の一環)を侵害する規制をもたらしている
憲法上の権利は法人にも性質上認められる限り及ぶ、宗教法人は宗教的行為の自由を持つ
信者個人の信教の自由も援用できる
(2) 信教の自由は20Ⅰで無留保の保障を受けている
これは信教の自由が個人の人格の基礎をなす点で特に価値の高いことの現れ
信教の自由は国家から弾圧されてきた歴史もある
⇒特に厳格に判断されるべき
⇒厳格審査基準、すなわち①目的がやむにやまれるもので、②手段が必要不可欠であることが必要
(3) 本件では以下の通り両方ともダメ
ア ①につき、条例の目的は「市民の安心・安全」というが、その規制からは実質的に「周辺住民と折り合いをつける」というものにすぎず、市民の生命・身体の保護は実質的に見出せない
イ ②につき、条例は住民との開発事業協定がないことを理由に不許可処分を可能とする
しかし、事業そのものを中止させずとも、施設建設後に運営状況を調査したり、住民と継続協議させたりして安全・安心は確保できる⇒不許可は過度に強力
(4) 以上より正当化できず違憲
3 条例が乙の財産権を侵害し憲法29条2項に反すること
(1) 本件条例は法律の定めなく乙の土地利用を妨げる
憲29Ⅱは財産権の内容を「法律」で定めるべきとするから、これに反する
(2) 乙はB教団の信徒、B教団のため土地利用しようとしているから、B教団に援用適格あり
第2 本件不許可処分の適用違憲
1 条例が合憲であるとしても、B教団に適用して不許可にすることは信教の自由侵害
その権利侵害の重大性から、かかる処分をするには、開発許可による明白かつ現在の危険が必要
⇒①重大な危険の生じる蓋然性があり、②危険が具体的に切迫しており、③処分がその回避のためやむを得ない場合にのみOK
2 本件ではかかる事情はない
(1) ①危険の蓋然性
B教団は過去にテロをしたA教団と別物
反省の意思を有している
テロの実行犯は全て逮捕され、B教団にはいない
⇒危険なし
(2) ②危険発生の切迫性
B教団はまだ施設近隣住民と運営上のトラブルを起こしていない
テロの兆候もない
⇒切迫性なし
(3) ③手段の必要性
事後的な運営状況の開示などより緩やかな手段でも大丈夫でしょう
3 よって本件不許可処分は不当に信教の自由を制限する形でされており、違憲違法
[設問2]
第1 法令違憲の点
1 条例と都計法の関係
(1) 市の反論
94条は法律の趣旨に反しなければ上乗せ規制も許容する
条例は都計法の目的の延長線上でありその趣旨に反しない
(2) 私見
ア 94条違反の判断基準
94条は地方公共団体の自主性を尊重しつつ、法律に反する条例の規律を禁ずるもの
⇒法の趣旨に反しない限りで上乗せ規制もOK
条例が法律の範囲内かどうかは、文言のみならず趣旨・目的・効果により決すべき
イ 本件についての評価
条例では安心・安全・環境保護に配慮することで住み良い都市環境の形成を目指す
これは都計法1条の「都市の健全な発展」や「健康で文化的な都市生活」を追求・具体化するもの
このように都計法の趣旨を具体化し、周辺住民などの意見を尊重する新たな規制を否定するものではない
条例の規制対象たる「大規模開発事業」(条例2③)と、都計法施行令の定める対象は同一
⇒都計法の範囲内で規制を具体化したもの
ウ 結論
条例は都計法の範囲内であり94条に反しない
2 信教の自由侵害について
(1) 市の反論
ア 条例はあくまで市民生活の安全などを目的としており、宗教的側面に注目していない⇒間接付随的制約
そもそも不許可処分で宗教的行為の自由が全否定されたものではない
条例は宗教との関係で内容中立的規制
積極目的規制だから正当性の審査密度は低くてよい
イ よって合理性の基準、すなわち①目的が正当で②手段が目的と合理的関連性あればよい
(ア) 目的は市民の安心・安全という重要なもの
(イ) そのためにはトラブル発生前に危険のある事業を中止させるべき、これで不審者の居住などを防止できるので関連性あり
(2) 私見
ア 本件侵害状況の評価及び審査基準
(ア) B教団の言うとおり、信教の自由は重要
宗教的行為の自由は教義との関係で代替可能性に乏しい⇒内容中立でも意味はない
規制が許可制と強力であり、それ自体宗教的行為の制約が認められる
But 条例の目的は宗教的側面ではなく、間接付随的制約であることは確か
(イ) 以上より、厳格な合理性の基準、すなわち①目的が重要で②手段が目的と実質的関連性を有しているかという観点から審査すべき
イ 本件についての評価
(ア) 条例は住民の安心安全を目的としており、条例18Ⅱ各号からすると、そこには市民の生命・身体の保護が見て取れる
C市が以前から良好な住環境に配慮してきた経緯からは、これら目的を尊重すべき
(イ) 手段については確かに事後的監視・是正もありうる
But 生命・身体への配慮からは、危険のある計画を事前にチェックし、中止させるべき理由あり
本件条例は規制対象を告知された推進地区に限定しており、大規模開発事業に限っているから、必要最小限の規制といえる
ウ 結論
以上より目的手段ともにOK、合憲
3 財産権侵害の点
(1) 市の反論
条例も議会を通じて民主的に決まっているから法律とイコール
安全保護のための規制は「公共の福祉」のため正当化される
(2) 私見
たしかに条例も法律と同視しうる
But 29Ⅱの趣旨から、財産権の「内容」を定めるには法律によることを要する
本件では財産権の「行使」が制約されるに過ぎないからOK
第2 適用違憲の点
1 市の反論
本件処分はそもそも宗教的行為の制約としてされていない
そうだとしても、①B教団はA教団と実質同一で危険、②事前説明会で暴れていて危険発生の切迫あり、③そのために透明性欠く施設の禁止はやむをえない
2 私見
(1) 不許可処分がB教団の信仰の中核たる集団居住等を制限しているから、明白かつ現在の基準で判断すべき
(2) 本件についての評価
ア 危険の蓋然性につき、B教団にはテロ実行犯はいない
A教団のテロは教団活動としてされていないし、教義も「理想の社会」を目指すもの
⇒テロはこれを曲解しただけで、教義自体の危険性はない
イ 危険の切迫・蓋然性につき、B教団自体は施設建築後トラブルがあったとの事情はない
説明会でのトラブルは敵対的住民の責任もある
周辺住民以外の「不安」は考慮すべきでないところ、条例18Ⅱ②の「災害防止」に準じるテロの具体的危険は現段階ではない
ウ 集団居住の不安性などは事後的調査、報告要求などでカバー可能
(2) 以上より不許可処分は不明確で漠たる「不安」に基づくものに過ぎない
信教の自由侵害への配慮を欠き、憲20Ⅰ違反


消費時間 2:09
答案枚数 8枚ギリギリ


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【反省点】

今回は以下のような点が主な反省です。

1.住民の同意要件への評価が足りない
出題趣旨でもある、条例の2段階構造についての論述が不十分だというのが一番の反省です。一応多少は論じていますが、手段としての適切さ、すなわち「住民の『安心』として過半数の同意を求めることが、よそ者だったり宗教的少数者だったりに対して不当に働くのではないか」という問題意識を出していくべきでした。そして、目的との関係で、周辺住民の同意というのが本当に合理的なのかという点を論じていけば、厚みのある議論ができたはずです。
そうなると、目的そのものにつき、「安全・安心」と「個性ある住み良い街づくり」の2つがあることの重要性にも思いが至ります。適用違憲の局面では前者だけが問題となりますが、条例そのものの合憲性で言うなら、後者の目的のためなら住民の同意もあながち不合理ではないし、市長は同意がない場合も許可する裁量があるから、そこで憲法上の権利を不当に害さないようにする(あるいは不許可要件を合憲限定解釈する)などの配慮で、悩みを見せつつ条例を合憲にする議論もできたはずです。
ただ、昨日若干愚痴を書いたように、2時間でそこまで書ききれる処理能力は普通ありませんし、もしあったら今頃こんな勉強してないだろうという感もあります。それでもそれなりに論じるべきことはあったので、ここは素直に反省しておきます。教訓としては、規制手段の検討に当たってはその仕組みをきちんと観察すべきというところですね。

2.94条の議論をもう少し丁寧に
僕にはそもそも94条の議論は無理筋だと思えるのですが、出題趣旨によると勝ち目のある議論だそうなので、ここはもっときちんと書くべきでした。
特に、法律と条例の趣旨目的の関係については、適当に文言を拾って書いてるだけという感も否めません。原告からは、都計法が開発許可を義務的にしていることを引っ張って上乗せ規制を禁止する趣旨を主張すべきでしたし、被告及び私見からは、都計法の趣旨にいま一歩踏み込み、それが都市計画の最低ラインを定める趣旨であると認定してしまい、住民の声など都市ごとの個性を反映させる規制を否定するものではないと論じていけば、もっと説得力が出たでしょう。

3.財産権の議論は必要だったか?
今回の答案は、消費時間の面でも枚数の面でも、僕が物理的に書ける最大の量を書いています。しかし、僕が「書くべき」最大の内容を書けていたかというと、それは疑わしいです(それこそ、住民の同意要件をもっと書けたはず)。
その意味では、財産権の議論を書いたのは不正解だったのかもしれません。論点としては確かに存在します(奈良県ため池条例事件)が、それこそ判例で答えが決まっているものであり、いかに私見で別の学説を持ってきたところで、結論に影響はないわけです。そういう論点をあえて書いてしまうのは、やはりどこかに「知ってる知識を書いてやろう」という、問いに答えない姿勢が出てしまっているということもできそうです。
ただ、難しいのは、どの論点が書いてほしい内容であるかは必ずしも明らかでないことと、論点が存在する以上そこに言及しないのも不安であるということです。後者は前者の裏返しであるので前者について言うと、今回の問題で94条の話を論じるというのは、本当にそこまで意味があるのだろうかという感じです。とりあえず統治分野から出したといいたかっただけなんじゃないかと(この程度の条例で94条違反だったら徳島公安条例事件よりもっといい判例が出ているのでは?)。そういう不安もありますが、今回に関して言えば、合格者再現答案と比べても法律論・事実ともに劣らない水準の内容は書けていると思うので、公法系に関しては「より問題の核心を狙う」という意識をもう少し強くしても、大外しはしないのかもしれません。

H20年刑事系第2問(刑訴法)

前回の勉強会で検討した問題の続きです。刑訴法は試験後全く勉強していないので、まぁひどいものです。

H20 刑事系  問題 出題趣旨 採点実感
2009.10.31解答

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第2問(刑訴法)

[設問1]
1 本件ノートの証拠能力につき問題となる点
(1) 立証趣旨の扱い
本件で検察官は「Wと甲の会話状況」「本件覚せい剤を甲から入手した状況及び売却価格」を立証趣旨としている
後者は本件ノート内の甲が発言したとされる内容が問題に⇒伝聞
前者は実質的には甲の供述をその内容とする可能性あり
立証趣旨には拘束力ないので裁判所が別途その趣旨を検討すべき
いずれにせよ実質的立証趣旨との関係で証拠能力を判断することになる
(2) 本件ノートそのものの証拠能力
前提として、本件ノート自体が書証としての証拠能力を有している必要アリ ∵同意なし
本件ノートは「公判期日における供述に代えて」(320)の書面⇒伝聞証拠
伝聞証拠は内容につき供述者の知覚・記憶・表現叙述の各過程に誤りある可能性あり
⇒反対尋問で確認せず証拠とすることは321以下の伝聞例外を除きダメ
そこで以下①本件ノートそのものの証拠能力、②本件ノートの内容と立証趣旨の関係での証拠能力、につき論じる
2 本件ノート自体の証拠能力
(1) 伝聞例外の適用可能性
ア 本件ノートは検面・裁面でないし、専門的知識によるものでもない
では、323Ⅲの書面にあたらないか?
323Ⅲは同Ⅰ・Ⅱに準じて類型的に信用性高い書面に証拠能力を認める趣旨
⇒それらに準じた類型的信用性を認めうる性質が必要
本件ノートはただの日記、類型的信用性なし
よって323Ⅲ書面ではない
イ そこで、個別的作成状況における信用性を理由として321Ⅰ③書面として検討すべき
要件は①供述不能、②証明に必要不可欠、③特信性
(2) 321Ⅰ③の要件充足性
ア ①の供述不能要件は、Wの死亡から充足
イ ②の必要不可欠性要件につき、本件での証拠は覚せい剤とノートしかない
本件ノートしか覚せい剤営利目的所持罪の構成要件該当性は証明できない
⇒要件充足
ウ では③の特信性はどうか?
特信性は内容そのものではなく、外部的状況から信用すべき情況の下作成されたかを判定すべき
そこで()形式面、()内容の特徴、()管理態様の3点から検討する
(ア) 形式面
本件ノートは全て万年筆及びボールペンで書かれており、改ざん・消去は困難
本件ノートは時系列順に空白行・ページをあけずに連続して記載されており、途中に新たな内容を挿入することもできないから改ざんのおそれなし
実際、本件ノートの筆跡は全てWのもの
甲につき言及のある日付についても万年筆・ボールペンが混在しており、改ざんや意識的な記録がされたものではない
(イ) 内容の特徴
本件ノートはH17.10.13~H20.1.15にわたり週3~5回のペースで継続的に記録され、日常についての感想・記録をその都度記録⇒突然作ったものではない継続的記録として信用性あり
最終ページの記述のうち1月6日・1月11~12日の記載は捜査で裏づけあり、内容も事実に基づいているといえる
(ウ) 管理態様
本件ノートはW室内の机の引き出しにあり、引き出しに鍵がかけられていた
その鍵は部屋の鍵とともにWが持ち歩いていた
本件ノートはWのみが記載できるものであり、他人に見せることを予定していない
エ 以上より本件ノートは(ア)改ざん困難な形式で作成され、全てWの手により作成されたものであり、(イ)内容について真実に基づくものとして信用性が高いと考えられ、(ウ)他人に見られることを想定せず、厳格に管理されていたものであるから、特信性あり
(3) 小括
以上より、本件ノートは321Ⅰ③書面として証拠能力あり
3 要証事実との関係での証拠能力
(1) 検察官が「Wが甲方で覚せい剤を発見し、甲と会話した状況」として請求している点
ア 上記請求は実質的には本件覚せい剤と甲の結びつき=甲による所持を立証するもの
内容のうち、Wが白い粉を見つけたところ甲が「それに触るな」と言って取り上げた点が問題となる
イ では、この記載での甲の発言は伝聞証拠にあたるか?
伝聞証拠が禁止される趣旨からすれば、発言の真実性を前提とする場合はその点に誤りが生じうるからで伝聞となる
But 発言の存在自体が問題となる場合、その存否は本件ノートの特信性でカバーされている
⇒加えて別の要件充足は不要(非伝聞)
「それに触るな」という発言は、Wの行為に対してとっさにされたもので、その存在自体が、甲の「白い粉」に対する法禁物としての認識の表れ⇒発言の真実性自体を前提としない
よって非伝聞、そのまま証拠能力肯定できる
(2) 検察官が「覚せい剤の入手状況及び売却価格」の立証のため請求している点
ア この請求は、本件ノートにある甲の発言の真実性を前提としている供述証拠
イ では、これを証拠とするためにいかなる要件が必要か?
320Ⅰは「公判期日における供述に代え」る以外の書面の使用を認めている
よって、書面である本件ノートに記載された被告人甲の供述内容は、324Ⅰにより322の要件を満たせば証拠能力あり
なお、甲の署名要件は、本件ノートの特信性により甲の発言が正確に記載された点がカバーされているので不要
では、322Ⅰの要件たる①不利益性と②任意性はあるか?
本件ノートの記載は、甲と恋愛関係にあるWに対し、自己の犯罪事実につき自ら話したものであり、①②ともに充足
ウ 以上より、証拠能力あり
4 結論
本件ノートはその立証趣旨との関係で証拠能力が認められる
[設問2]
1 本件で問題となる点
本件では①侵入の際にガラス窓を割って入ったことが許されるか、②令状の提示が甲方内に入ってすぐにされなかったことが適法か、が問題となる
2 ガラス窓を割って入った点
(1) Qは令状執行に際し、ドアを開けてもらえなかったので、窓ガラスを割ってそこから入った
捜査のために物を破壊すること自体は法益侵害であり、任意処分とはいえない
But 捜索差押許可状の執行に際してはそのために「必要な処分」ができる(222、111Ⅰ)
必要な処分といえればOK
(2) しかし必要な処分といえども無制限にはできない
⇒必要性・緊急性と被侵害法益・行為態様を比較考量し、相当な範囲内といえる場合に限って適法と解すべき
(3) 本件については以下の通り
ア 必要性
Qは警察である旨及び捜索の意図を伝えたが、甲方の人間は鍵を開けず、Qの侵入を拒んでいる
令状執行のため室内に入るには、甲方に唯一あるガラス窓を破るほかなし
イ 緊急性
本件は覚せい剤の嫌疑、覚せい剤は水に流すなどしてすぐ隠滅可能であり、証拠保全の緊急性あり
本件でもQが声をかけた後、内部で「やばい」として慌しく動いている⇒隠滅行動の疑い
早急にとめる必要あり
ウ 被侵害利益・行為態様
(ア) Qが破ったのは2枚のうち1枚
それも20センチ四方、鍵を外すため最小限の部分だけ
窓ガラスは直ちに修復され、費用も2万と安い
(イ) Qは事前に捜索する旨伝え、その後もチャイムを鳴らすなどしてドアを開けるよう促している
⇒いきなり窓ガラスを破ったものではない
(4) 以上より、Qの行為には高い必要性・緊急性があり、それに対して侵害は少なく、相当の配慮がされているから、「必要な処分」として適法
3 令状の提示が遅れた点
(1) 本件では、Qによる令状提示が入室後直ちにされず、3分後にはじめてされた
⇒令状呈示義務(222、110)に反しないか?
(2) 110の令状呈示の趣旨は、捜査官の職権濫用防ぎ、提示により対象者に受忍すべき理由を伝え、不服申立ての機会を与えるため
とすればこの趣旨を没却しない限り、執行前の呈示は必須ではなく、合理的理由あれば遅れてもよい
現に110も「処分の前に」とはしていない
(3) 本件では前述のように証拠隠滅のおそれがあり、まずはこれをとめる必要があった
Qらは、4LDKと広い室内の全体を確認し、組員の行動を注視できる体制を整えるため、令状執行に先立ち室内の確認をする必要があった
Qは、確認終了後直ちに令状を示しており、呈示前に本格的な捜索をしてはいない
以上より、Qはできるだけ速やかに、合理的理由から事後の令状呈示をしており、3分の遅延は間取りの広さからして適正な範囲
(4) 以上よりQの令状呈示にも問題なし
4 結論
甲方の捜索に違法な点はない


消費時間 1:48 
答案枚数 7.5枚


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【反省点】

久々の割には一通り書けましたが、うろ覚えゆえに適当になっているところもあり、設問1では議論の構造が不明確になったという問題があります。以下、簡単な反省。

1.設問1の全体像をクリアに示せていない
設問1の趣旨は、Wの供述を書面で示す関係での伝聞性と、Wが甲の供述を記録した内容を示す関係での伝聞性を分けて論じ、特に後者について立証趣旨との関係で伝聞性の有無及び再伝聞の可否・要件につき検討するというものと思われます。
一応、上の答案でもそれは一通り触れたはずなのですが、そういう構造をきちんと示せたか、とりわけ総論となる最初の項目立てのなかできちんと書けたかというと、全然そんなことになっていません。
二重の伝聞が問題となっていること、最初の伝聞例外(321Ⅰ③該当)では甲の認識した記述の正確性だけがクリアされていて、甲の発言として記載された内容の真実性まではクリアされていないから、別途そこの伝聞例外も問題となるのだという問題意識を端的に記載したかったところです。

2.事実の評価
刑法でもそうでしたが、事実の評価にもう一歩踏み込みたかったです。
例えば、日記が継続的に書かれ、日々の記録をその都度書いているというのは、記憶が新鮮なうちに書き残しているという意味で信用性が認められるのであって、それに絡めて捜査の裏づけがあったことを書くべきでした。
また、Wが日記を他人に見せる予定がなかったというところまで書いておきながら、それがどういう意味を持つのかにまでは踏み込めませんでした。他人による改ざんの可能性という頭でいたのですが、W自身も改ざんや虚偽記載をする動機がなかったという話までいくべきでした。そうやって考えると、本件ノートは甲にとり不利な内容のため請求されているところ、Wは甲の愛人であり、甲に不利益な形で記載する動機がないということも指摘でき、さらに評価に厚みが出たはずです。

3.設問3は法律論をもう少し丁寧に
勉強してなかったこともありますが、もう少し規範を丁寧に立てたかったところです。必要な処分の規律については、安易に51年決定の基準に流し込んでしまいましたが、せめて比例原則に言及していればまだ理由がついていた気がします。
令状呈示の趣旨も、結構適当です。原則事前呈示ということを述べてから、その例外を論じるという形で展開すべきでした。

H20年刑事系第1問(刑法)

H20刑事系の第1問です。昨年解いたので事案は何となく見覚えがありますが、共謀が問題になるよなぁくらいしか覚えていなかったという、去年何やってたんだという程度の記憶しかありませんでした。結果的には忘れていたので勉強になってよかったです。

H20 刑事系  問題 出題趣旨 採点実感
2009.10.31解答

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第1問(刑法)

第1 乙の罪責について
1 A方への侵入窃盗について
(1) 後述の通り本件では甲が住居侵入&300万窃取&2万強取
これにつき、乙は実行行為そのものはしていないが、協力している
⇒乙に共同正犯(刑60)は成立しないか?
(2) そこで問題となるのは、実行していない者に共同正犯が認められるか
この点共同正犯が「すべて正犯」とされるのは他人と意思を通じて相互に利用しあうことに法益侵害の危険性があるから
⇒かかる危険性があれば実行行為を分担しない共謀共同正犯も肯定すべき
このような危険性は、自己の犯罪として犯行の重要部分に関与したか、すなわち①関与の重要性と②正犯意思により判断すべき
(3) これを本件について見ると以下の通り
ア 関与の重要性
(ア) 乙はA方への侵入方法の立案指導、甲の犯行現場への送迎を担当
前者については、乙の経験から、Aの生活態様・A方在宅者の有無・侵入経路・財物の在り処まで詳細に伝えるもの⇒犯行に不可欠
これらを図面にし、甲を実地に連れて行った上で交付し、犯行時刻等も含めた計画を甲と共有
⇒計画立案は乙が行ったものと評価できる
後者のA方送迎も犯行にとって重要
(イ) 甲と乙は友人関係、年も近く対等
乙も積極的に情報提供している
⇒乙の主体的な犯行関与
イ 正犯意思
(ア) 犯行動機につき、乙は一旦断っているが、自身が実行しないと聞くと積極的になっている
乙は失業中で金に困っており、Aの会社待遇への不満もあった
⇒乙自身の犯行動機あり
(イ) 乙は300万のうち100万を受け取る約束している
実際100万円交付を受けている
ウ 小括
以上より①乙は主体的に犯行に関与し、犯行に必要不可欠な役割を担っており、②それは乙の動機に基づくから、自己の犯罪として甲の犯罪に関与している
⇒打ち合わせのあったA方侵入&財物窃取の点につき共謀に基づく共同正犯成立
(4) 乙に成立する罪責
ア 甲のしたA方侵入窃盗につき、住居侵入罪(130)と300万の窃盗罪(235)の共同正犯
イ 一方、甲がBを脅迫し、2万円を強取した点は?共謀の範囲内かが問題
本件では甲・乙の計画ではA方居住者不在を前提としており、乙もBの存在を知らず
甲がカッターナイフを準備したことも甲の独断、乙は知らず
⇒強盗までの共謀はない
よって甲の強盗は乙の罪責とならない But これは乙からみると窃盗と思ったら強盗
⇒抽象的事実の錯誤
構成要件的に重なり合う範囲で犯罪成立
乙は財物領得の故意はあり、強盗と窃盗では強取以外の領得行為において構成要件的重なり合いあるから、軽い窃盗の限度で犯罪成立
ウ 乙には302万円の窃盗罪、これにつき甲と共同正犯
2 Bを死亡させた点
(1) 乙はA方から出てきたBを殴打、死亡させた
これに殺人罪(199)は成立するか?殺人の故意が問題
本件では、Bは70歳と高齢
その顔面を力いっぱい殴打→死亡の危険アリ
さらに乙は逃げ出そうとするBを更に攻撃、背部・腹部を動かなくなるまで複数回蹴っている
乙に手加減した事情はない
⇒少なくとも未必の故意あり
よって乙には少なくとも殺人罪が成立
(2) では、犯行完遂のための攻撃として、さらに強盗殺人罪(240)の罪責には問えないか?
事後強盗(238)の成否が問題
ア 乙は甲の侵入窃盗につき共同正犯の関係⇒窃盗として事後強盗の主体となりうる
乙の暴行は「どろぼう」と叫び逃げ出すBを抑圧し、逮捕を免れるため⇒事後強盗要件あり
イ では、事後強盗殺人罪は成立するか?
乙は殺人の故意あるが、240後段が故意ある場合を含むかが問題
この点、240後段が故意を含まないとすると、殺人+強盗致死の観念的競合では死の結果を二重評価し、過失致死と強盗の観念的競合では故意なき強盗致死罪の方が罪が重くなる不均衡がある
よって240後段は刑事学上強盗に伴い死傷させることが多いことに鑑みたものとして、殺人の故意ある場合も含むと解する
ウ 以上より乙には強盗殺人罪が成立
第2 甲の罪責
1 A方に侵入し、300万円を奪った点
(1) 甲はA方トイレから無断で侵入⇒住居侵入罪(130)
(2) 甲はA方書斎の机からAの意思に反して300万を持ち出し占有を得た⇒窃盗罪(235)
以上は乙との共謀に基づく共同正犯
2 Bを脅して2万円を奪った点
(1) その後甲は居間でBに出会い、脅して2万を交付させている
強盗罪(236Ⅰ)は成立しないか?
(2) ア 甲はBにカッターナイフ突き付け、Bの胸倉をつかんだ上、刃先を頬に当てて「騒ぐと殺す」と脅している
これは客観的に犯行抑圧する程度に強力な脅迫といえる
実際にBも威圧されて声も出なくなっている
⇒脅迫により財物奪取といえる
イ それにより2万を渡しているから強取あり
ウ BはAの2万円を手渡しているが、暴行・脅迫は財物所有者だけでなくその管理者に対してされてもいいから、この点は強盗成立を妨げない
エ 以上より強盗罪成立
(3) では、その後Bが逃げ出し、転倒して怪我した点につき甲は罪責を負わないか?
①これに強盗致傷罪が成立するか、②甲の行為とBの負傷に因果関係があるかが問題となる
ア 甲は負傷の故意を有していないが、結果的加重犯たる強盗致傷罪の成立余地はある
しかし、強盗といかなる関係にある障害結果が強盗致傷罪に該当するか
この点、同罪の趣旨は刑事学上強盗の機会に傷害が多いことに鑑みたもの⇒強盗の手段から生じたものだけでなく強盗の機会に生じたものも含む(機会説)
But それでは成立範囲が無限定⇒238の趣旨より事後強盗類似の状況に限定すべき
本件ではBは甲から逃れるため逃げて怪我をした、甲が追いかけていたのは逮捕を免れるため
⇒事後強盗類似の機会に負傷、強盗致傷罪に
もっとも、同罪は結果的加重犯、責任主義から加重結果に過失は必要
本件ではBが高齢、必死で逃げる際に怪我することは予見可能⇒過失あり
イ では、甲の追跡とBの負傷に因果関係あるか?
因果関係は行為の危険の結果への現実化の有無で判断すべき
甲の行為は「待て」と怒鳴っておいかけること、前の脅迫と合わせれば必死に逃亡させるだけのもの
高齢のBにとり、必死な逃走を強いることは危険、Bの負傷もそれが現実化したもの
⇒因果関係あり
(4) 甲のBに対する一連の行為に強盗致傷罪(240前段)成立
3 Bが死亡した点
(1) では、甲は乙がBを死亡させた点につき罪責を負うか
乙は甲と共謀した窃盗につき逮捕を免れるためにBを殺害⇒甲も何らかの罪責を負うべきでは?
(2) But 本件では
)計画ではA方が無人であることが前提で、甲も現場の人通り少ないことを確認して犯行を決意したから、誰かに見つかった際の処理は前提とされていない、)甲は乙に「先に帰れ」と述べており、乙が逃走を助けることは予定されていない、)甲はBの負傷も乙に攻撃されたことも知らない、という事情から、Bへの攻撃につき事前共謀も現場共謀も認められない
(3) さらにBの死亡は甲の追跡行為と何らの因果関係もなく、甲の行為がBの死亡につき帰責される関係もない
(4) よって甲はBの死亡につき罪責負わない
第3 結論
1 共同正犯関係の処理
(1) 甲・乙では領得行為につき強盗致傷罪と窃盗罪で故意を異にする
このとき、共同正犯の成立範囲をどう解するか?
(2) この点、犯罪共同説がある
But 共同正犯は他人の行為を介して法益侵害を実現する点に処罰根拠あり、各共同正犯者はそれぞれに固有の違法・責任に基づき処罰される
⇒構成要件による限定は不要、各自の故意に応じた共同正犯が成立(行為共同説、数人数罪)
2 甲の罪責についての結論
甲には住居侵入罪と300万の窃盗罪、2万円の強盗致傷罪につき乙との共同正犯が成立(60、235、240前段)、住居侵入と後2者は結果手段の関係にあるから牽連犯(54Ⅰ後段)
窃盗と強盗致傷は後者につき負傷という別個の法益侵害があるので、包括一罪にはならず併合罪(45)となる
3 乙の罪責についての結論 
乙には住居侵入罪と302万円の窃盗罪(共謀の中には300万以外の金品奪取も含まれており、乙にとっては全て同じ)について甲との共同正犯が成立(60、235)
Bの死亡につき強盗殺人罪(240後段)が成立
強盗殺人罪は窃盗の事後強盗として成立しているから、最終的には強盗殺人罪の一罪につきの共同正犯となり、これと住居侵入罪が牽連犯の関係に立つ(54Ⅰ後段)


消費時間 2:07
答案枚数 7.25枚


―――――――――
【反省点】

論点的には結構拾えたと思いますが、構成の分かりにくさ、事実評価の粗さが気になるところです。あと、以下のようなことを指摘されたり、反省したりしました。

1.規範が無駄に厚いのではないか
優秀答案の分析によれば、もっと論証は削るべきだそうです。個人的には抵抗感があるのですが、確かに共謀共同正犯の成立根拠とか240条後段に故意ある場合を含むかどうかの議論などを厚く書いたところで、点がつかないのであれば単なる自己満足にすぎません。
まぁ論点についてメリハリをつけるべきというのはその通りで、その意味でも問題がありそうなので、基本的には論証は最低限に絞り、特に重要そうな部分で多少厚く書くというくらいのバランスがよいのでしょう。このへんは自分でも研究してみます。

2.事実の評価をもっと厚く
事実は一応拾っているが、それに対する評価をもっと頑張ると点が伸びるようだということです。確かに、100万円の分け前が多いのか少ないのか、といった評価もできますし、他にもいろいろ深くつっこむところはあります。法律論よりこっちのほうが配点が多そうだということもあるので、次から意識していきたいところです。
あと、事実の評価という点では、Bへの脅迫が相手を畏怖させるに十分なものかどうかという点についてはもっと議論すべきだった(カッターナイフで本当にビビるのか、ということ。僕はチキンなので普通に畏怖すると思ってしまいました)し、乙のBへの殺意の認定は無理があるのではないかという指摘もありました。ちょっと感覚がずれているのかなぁ…?

3.もっと構成を練って、論点ごとに分かりやすく区切る
今回は昔に比べると答案構成をじっくりした方なのですが、それでも途中で気づいた論点があったり、うまく整理できていなかったりした点が多々あります。みれば分かるとおり、同じラベルの中に複数論点があったりして、ちょっとなぁという感じです。
現物の答案は字が細かくて汚いため、さらに読みにくい代物であるので、せめて構成だけでもすっきりさせないと、試験官が読んでくれなさそうです。とくに刑事系は答案構成が重要だと思われるので、いろいろ試行錯誤していきたいです。


なにせ今年の本試験でひどすぎる点を取ったもので、刑事系には変な苦手意識がついてしまった感があるのですが、論点的には一回ノートまとめしたこともあってかなり食らいつけるようになった気がするので、あとはシャープな答案と充実した事実評価をできるように演習あるのみですね。もちろん知識の確認も怠るべきではありませんが。
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眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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