スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新司法試験に向けた学習方法に関する私見

今年の合格発表後、コメント欄でいろいろご質問をいただくことがあり、また最近不合格者の方と試験対策について直接お話しする機会があったことから、そこで述べた私見を中心に、再チャレンジに向けて気を付けたほうがよいと考えることについていくつか書きつけておくことにします。
最良の勉強方法は各人にとって異なりうるし、どのような答案が評価されているのかは試験委員でない以上推測するしかないので、僕の考えが正しいと言い張るつもりは全くないのですが、いちリベンジ者の感想として、何かしらの参考になれば幸いです。
*以下の内容は他の再チャレンジブログをいくつか読んだ感想を含んでいますが、特定のブログに記載された学習方法や答案を論難する趣旨ではなく、あくまで私見を述べているだけであることをお断りしておきます。


1.勉強計画は「時間」ではなく「内容」で管理すべき
本エントリを書くに先立ち、再チャレンジしている方のブログを検索でいくつか読んでみたのですが(みなさん頑張ってください!)、その中で「今週は○○時間勉強した」「毎日○○時間勉強する」といった目標が立てられているのが散見されました。個人的には、このような目標の立て方は自己満足に終わってしまうような気がして、お勧めできません。
当たり前のことですが、司法試験というのはある勉強時間に到達したら受かるというものではなく、合格水準の答案を作成できれば受かる試験です。そうであれば、勉強した時間を目標として立てるのは何ら意味がなくて、合格に必要な知識・技術を得るために何をすべきかという「勉強内容」を前提として、それをどれだけこなすかという観点から目標を立てるべきです。

僕の場合、年内にまとめノートを民法以外全科目作る(民法は類型別を中心に簡易なものを作っただけです…)ことと、所持している事例演習の問題集(民事法、憲法、行政法)を完成させること、短答の演習を一通り終えることを目的として、そのために10日で1科目のまとめを行うペースでまとめノートを作成すること、事例演習を1日最低1問解くこと、短答問題集を1日100問解くことがノルマとなり、まとめノートについては各科目の必要項目をだいたい10分して1日の作業目標が決まっていました。その他、勉強会がある場合、余裕のある日にその準備として過去問や指定教材を解く時間を作っていました(その日は事例演習を休んだりしている)。
この結果、思ったより早くノルマが終わったのでゆっくり気分転換した日もあれば、思ったより量が多かったので若干勉強量が多くなった日もありますが、概ね1日6~8時間の学習時間になっています。時間的には平均的受験生と比べて多いわけではないでしょうが、目的意識を持って勉強しているので、それなりには密度のある勉強ができていたとは思います。

2.答案で重要なことは「問題意識」を見せて、それに対応した規範と答えを立てること
答案作成方法について何事か講ずることができるような実力はないので恐縮ではありますが、これまた再チャレンジ者の再現答案をざっと見て、何となく気づいたのは、論点が唐突に出てきているなぁということです(全部読んでるわけではないので、すべての再現答案がそうだという趣旨ではありません)。

例えば、今年の刑事訴訟法の前半メイン論点は、明らかに別件逮捕です。この論点に気づいていない答案は一通もありません。しかし、別件逮捕がなぜ問題になるのかということがきちんと指摘できている答案は少なかったように思われます。なぜ別件逮捕が論点になっているのかと問われれば、すべての受験生は「重大な本件の逮捕勾留要件がないのに、軽微な別件で身体拘束して本件で取り調べをすることは、本件との関係で令状主義を潜脱するから」といった回答ができるはずです。こういった問題意識があってこそはじめて、問題文から事実を切り出して法的問題として論じる必要が出てくるはずなのに、ここを省略してしまうと、読み手としては「この受験生は論点主義だな」と思ってしまうのではないでしょうか。少なくとも、きちんと問題意識を書いている答案より印象は悪いはずです。
問題意識をきちんと書くことは、その後の論証が充実することにもつながります。別件逮捕の論点についても、上述のような問題意識を前提にして各種学説が展開されているわけで、それ抜きに帰結だけ書いても説得力はありません。

コメント欄でも書きましたが、論点について学習する際にも、こういった「問題意識」をきちんと押さえるように心がけて、それとの関係で判例や学説を理解するようにすれば、上記のような点をもれなく論じることができるようになると思います。その意味で、再チャレンジ者が安易に「論点集」のような知識補充に走るのは避けたほうがよいと考えます。そもそも、不合格答案の中で、論点が明らかに欠けているという答案はそんなになくて、論じている事項については合格水準の答案とそこまで違いはないのですから。

3.憲法で的を外さない答案を書くためのポイント
憲法の学習方法について質問を受ける機会が多いので、この点についても少しだけ書いておくことにします。もっとも、この点については宍戸先生の法セミの連載が単行本化された『憲法解釈論の応用と展開』が非常に示唆的ですので(個人的に興味があったので修習とは何ら関係がないのですが買って読んだのです)、そちらを読まれることをお勧めします。

今年の憲法では、グーグルストリートビューっぽいサービスの規制について、原告側に22条を前提とした構成を論じさせて低い評価を受けたのではないかという人が多かったようです。出題趣旨にもそのように書いてありますし、僕も問題をざっと読んだ感想として、原告で21条論をやらないのは筋が悪いのではないかと感じました(もちろん、これは試験を受けていない後付けの感想であって、ハードな本試験で適切な主張選択をすることが難しいということは承知しているつもりです)。

憲法の問題に回答する際のポイントは、出題方式に合わせて、原告の主張、被告の再反論という頭で法律構成を考え、問題の山場がどこかを見つけることだと思います。以下、この観点から今年の問題を少し見てみます。
今年の問題を読むと、原告のサービスは一応表現だけども、表現と評すべきメッセージ性があるわけではなく、便利な情報を提供する営利的行為のように感じられるところです。それで22条論を選択した人が多いのだとは思いますが、22条論を前提とした違憲審査基準では原告の勝ち目はかなり薄くなるところで、原告の立場であれば当然21条論を主張するはずです。被告は逆に、こんなサービスは表現と関係ないから22条論で処理すべきと考えるでしょう。そうなると、このあたりの評価が本問の山場なんだなぁということに思い至るはずです。
すると、原告の主張を組み立てる上で、どうして原告のサービスが表現といえるのかという説明が要になってくるのだろうと頭を働かせることになるわけですが、ここはかなり難しいところで、思想や意見ではなく情報の流通そのものが保護されるべき根拠について、何事かを書かなければいけません。僕も満足な回答は思いつきませんが(ジャスミン革命のように、ネットを通じた情報流通システムの存在が意見表明などの新しい可能性を基礎づけており、こうしたインフラを維持するためには、直接思想や意見に関係しない情報にも強い保護を与える必要があるといった議論を、長谷部先生がおっしゃる「表現の自由の公共財的性質」とか、表現の萎縮を防ぐという学説の問題意識を借りつつ論じるとかでしょうか…)、問題に気付いて何かを書こうとするだけで、評価が違ってくるはずです。知る権利に基づく主張はダメだという出題趣旨のコメントがあり、それはその通りなのですが、それでも22条論よりはずっとよい評価を受けているのではないでしょうか。
逆に、被告の見解や私見を論じる際には、上記立論の弱い部分をついて、21条論が成り立たず22条論になる、あるいは21条論だとしても思想・意見そのものでない情報流通に関しては保護の程度が弱くなるという主張(例えば、レペタ判決にあるような「憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきである」という一段下げた評価)、または萎縮性の観点からして営利性の強いサービスは保護程度が落ちるという営利的表現の自由に関する議論をすることができます。これは、原告の議論が題意に即していればいるほど、書きやすくなるものです。敵が強いと盛り上がるということですね(司法試験に関して同じような感想を抱ける猛者はそうそういないでしょうけど)。

今年の憲法の問題はかなり難しい気がしており、それだけに勉強方針が揺らぐ方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、上記からわかるとおり、若干無理筋で自説を展開すべき部分もあるものの、基本的な判例・学説の知識を押さえていれば、それなりの答案を書くことはできます。前にも憲法の学習方法として書きましたが、違憲審査基準の議論なども含めて、判例や学説を「道具」として使うという観点から、道具を仕込むための勉強をしていくというのでよろしいのではないでしょうか。
それら道具の位置づけや大まかな使い方は『憲法上の権利の作法』や『憲法解釈論の応用と展開』で説明されていますから、基本的な知識をつけた上でそれらの本を読み、事案を読んで原告・被告の頭で考えるという練習(過去問演習)を積めば、高得点ではないにしても、落ちない答案を確実に書くだけの力はつくと思います。


長い割にあまり示唆的でないコメントですが、最近の質問に接して思うところを書きました。
なんにせよ言えることは、司法試験の合格に必要なのは「膨大な知識」でもなければ(とはいえ学習すべき事項は決して少なくないですけど…)「最先端の学説知識」でもなく、みんなが知っているはずの内容をきちんと理解し、事案に即してうまく展開するということだけです。もちろんこれだって「だけです」というほど容易ではないので、その能力をつけるために勉強を積み重ねる必要はあるのですが、そのための勉強方針は自分で考えてしっかり固めるべきだし、それは「何時間勉強した」という形式で振り返られるべきではなく、「今日は何を学んだか」という実質によって反省されるべきものだと思います。

以上、皆さまのご健闘を心よりお祈りして、本稿を閉じさせていただきます。
ここは受験対策ブログではないので、たぶん今後こういう文章を書くことはないと思いますが、ご質問などあれば可能な範囲で従前同様お答えさせていただきます。
スポンサーサイト

お久しぶりです

どうもごぶさたしております。

去る9月8日、今年の新司法試験合格発表がありました。自分にとっては不合格からもう2年経ったということで、時がたつのは早いものです。
このブログなどが縁でコメントを寄せてくださった方も受験されており、再チャレンジの方も含めて合格の報せを聞くことができました。わざわざご報告いただきどうもありがとうございます。そして、合格された皆さま、本当におめでとうございます。

ただ、全員が合格できるわけではありませんので、こちらをご覧になっている方の中には、今年意に沿う結果が出なかった方も大勢いらっしゃるかと存じます。
僕は今年の試験を受けておりませんので、今年の問題について何事かを述べることはできませんが(感想としては、難しく、それでいて基本的理解をきちんと表現することで合格水準に達する問題なのだろうという意味では例年通りだと思います)、一度失敗して何とかなった立場から、僭越ではありますが思うところを書いておきます。

不合格の結果を突きつけられて、今が一番悔しく、また自分に自信を無くしてしまう時期だと思います。僕自身、自分は法律家に向いていないのではないかと真剣に悩んでしまいました。このまま来年受験しても大丈夫なのかと不安な気持ちでいっぱいでした。
僕がこうした不安を乗り越えることができたのは、友人の助けを借りながら、自分の弱点を見直し、勉強の方針を考えることができたからでした。いま不安でいっぱいの皆さんも、失敗と正面から向き合い、勉強のあり方を見直していく中で、不安は自然と解消されていくはずです。

それでも中には、もう勉強しきったとか、自分には力がないのだと感じてしまう人がいらっしゃるかもしれませんが、僕が不合格から8カ月間、自分なりに司法試験に向き合った感想を述べさせていただくと、ロースクールを卒業し、受験までたどり着いている以上、やり方さえ間違えなければ合格することは絶対可能なはずです。
修習の同期を見ても、皆さんそれぞれに個性的でいいところがありますが、みんなに共通する「法律学の才能」とか「絶対的な頭の良さ」みたいなものがあるかというと、そのようなものはありません。僕も含めて、何とか司法試験を潜り抜ける上で必要だったのは、試験に向けた勉強の方法を工夫し、やるべきことをやるということだけです。
そして、その「やるべきこと」を見つける上で、不合格経験があるというのは決定的に有利なことです。落ちてしまった事実は変えられませんが、失敗を分析することで次の受験の結果を変えることは誰にだって可能です。来年の試験まであと8か月、短いようではありますが、毎日コツコツやれば1科目につき1か月あります。そうやって思いながら段々と妥協して時間を浪費するようでは同じ結果を繰り返してしまうでしょうが、不合格者しか感じることのできない悔しさを忘れずにいられれば、弱い自分と戦うこともできます(僕自身もそうでした)。

また、受験勉強自体も、将来に向けて無駄にはなりません。まだ修習段階ではありますが、当たり前のことながら受験レベルの判例・通説に関する知識やものの考え方は法律業務の前提となってきます。自分自身も、一昨年間違って合格してしまっていたら、充実した修習は過ごせなかったのではないかと感じています。
個人的なことになりますが、僕も一年回り道したものの、おかげさまで同じ班のメンバーや各実務庁の指導官にも恵まれ、修習生活は大変充実しています。一振りしたとしても任官や任検という道が閉ざされるわけではありませんし(僕自身も任官についてお誘いをいただき、真剣に検討した時期もありました)、そのほかの可能性についても同様だと思います。偉そうなことを言えた立場ではありませんが、不合格という結果は終わりではなく、自分を変え、自分の進路を踏み出す新たなはじまりなのだと、今では確信をもって言うことができます。

もちろん、法曹としての道が唯一の選択ではないわけですが、その道をあきらめたくないという気持ちがあるのであれば、不合格を正面から受け止めて自分を見直し、再チャレンジすることで道は必ず開けるはずです。自分を信じて、かつ謙虚に勉強を続けることができれば、来年はきっと、笑って修習への準備に臨めると思います。
僕自身、この先に二回試験を控える身分であり、僕のほうが少しだけ先に進んでいるとはいえ、皆さまと同じく法曹を目指す立場です。良き法曹になれるよう、ともに頑張りましょう。

P.S.
1)再受験に向けた学習法の私見はすでに書いているとおりですが、一番大事だと思うことを強調しておくと、「よくばらず基本をきちんとやる」ことにつきます。今度は上位合格を狙うぞ、というのでいろいろ手を出す気持ちはわかりますが、再受験者がホームランを狙うのはリスクが大きいし、試験自体がシングルヒットを重ねると結果的によくなる仕組みになっているように思われるので、とにかく基本の理解とそれを表現する力を固めましょう。難しいことを書けなかったから落ちたという人はおそらく一人もいないし、修習で見る限り、実務でも基本が一番大切です。難しいことは実務家もみんな調べてるわけですから。

2)コメント欄の内容を整理したいと思っていたのですが、なかなか時間が取れなくて作業に着手できていません。参考にされている方がいらっしゃったら不便な思いをさせてしまい申し訳ありません。
プロフィール

眠れる豚

Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。